02巻:ヴァニタスの手記

ヴァニタスの手記(2) (ガンガンコミックスJOKER) [ 望月淳 ]

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「僕の血を飲みたい…?」

昔のなつかしい頃の夢。

夢の中で、自分の事を「血を暴く牙」と言うノエ。
そのせいで血を飲みたくても気軽に飲めないようです。

夢から覚めたノエ。
ヴァニタスと屋根の上で朝食です。

かつてのパリは煤汚れていたのに、今は万能石「アストルマイト」のおかげできれいな青空。
研究が進むアストルマイトですが、その発生は過去の大規模な事故「混沌(バベル)」からできた石と、その正体は謎に包まれています。

 

朝食後、オルロック伯爵の元を訪ねた二人は、トマ・ベルヌーが亡くなった事を知ります。
こちらは現在、調査中。

一方、アメリアは約束通り解放。
監視と新しい生活のために、ノエたちが泊っているホテルに住み込みで働くことになりました。

そして、ヴァニタスによるアメリアの問診が始まります。

 

「君は、シャルラタンを見たか?」

…というヴァニタスに質問に、首をかしげるアメリア。
どうやら、この「シャルラタンのパレード」というのが、呪持ちに関係する重大なキーワードのようです。

必死に思い出そうとするもまったくダメな状態に、オルロック伯爵が「君が視てやったらどうかね?」とノエに振ります。

 

ノエの本名は、「ノエ・アルシヴィスト(血を暴く牙)」。
血を吸う事で相手の記憶を読み取る力をもつ一族です。

アメリアの腕から血を飲み、その記憶を探るノエ。

そこで見たのは、アメリアが体験したシャルラタンのパレード。
その禍々しいパレードは、思わず悲鳴を上げてしまうほどの禍々しさと恐怖がありました。

 

「シャルラタンを視ました」と、手帳にその時の様子を描くノエ。
でも…

 

多くの吸血鬼に呪いをかけるシャルラタンに怒り心頭のノエ。
そんな中、一人の客人が訪れます。

ドミニク・ド・サド。
ノエの幼馴染であり、先生のお孫さん。
サド家は異界領主の侯爵家ですので、いわゆる貴族です。

ちなみに、祖父でありノエの先生は、「貌(かたち)持たざる者」と呼ばれて恐れられている存在。

 

ドミニクはノエに首輪を嵌めると、その場から連れ出してしまいます。

その行く先は、境界の向こう側でおこなわれる仮面舞踏会。
エスコートさせるためにといいつつ、実はノエの事を心配して追ってきたのでした。

 

とある店の隠し通路から境界の向こう側に行こうとすると、そこに追ってきたヴァニタスが飛び込んできます。

境界は「混沌(バベル)」によって発生した場所で、同じく「混沌(バベル)」から生み出された吸血鬼しかわたることができない場所。

とっさに腕をつかんで引き寄せるノエ。
無事に境界の向こう側に。
激怒するノエに、「異界にくるのは初めてじゃない」と涼しい顔のヴァニタスです。

 

外に出ると、そこにはきらびやかな街が。
大きく豪華なサド家の、着替えもできる馬車で仮面舞踏会へ移動です。

馬車の中で、ドミニクの血を飲むノエ。
外で待たされているヴァニタスは、そんな二人の様子を背中に感じつつ、ドミニクから聞いたノエの出生話について考えていたのでした。

 

ノエの回想録。

「世界式」理論について講釈する先生。
「混沌(バベル)」という実験事故を起こし、これまでなかったものを世界に存在させたもの。
吸血鬼も、その結果生まれた新たな種族だと説きます。

そして現在。
仮面舞踏会。

颯爽と踊るノエとドミニク。
ノエは、仮面舞踏会の雰囲気から、シャルラタンのパレードを少し思い出していました。

一方、ヴァニタスは手品の品を子どもたちに披露しており…目立つことこの上なし。
人間だとばれたら大変なのに、その自覚がまったくありません。

 

ノエが他の事に気を取られている隙に、ドミニクはヴァニタスをサド家所有のボックスに招き入れます。
二人がいないことに気が付いたノエは、探しに行く途中でルカにバッタリ。

ドミニクは、ヴァニタスに「ノエをどうするつもりなんだ?」と詰め寄ります。

ドミニクとしては、ノエが望むならヴァニタスと行動を共にするのは止めないし、必要があれば協力も惜しまないつもり。

でも、ヴァニタスがノエを利用しようとしているのであれば別。
この場で肉をそぎ落としてやると脅します。

さらに、「なぜ、蒼月の力をもつ貴様が、紅月の吸血鬼を救うなどとほざく」と本音もポロリ。

ドミニクの追及に、ヴァニタスは狂ったように笑い出します。

「そもそも俺のやり方が逆だったのか」と、ホールの天井にぶら下がっているシャンデリアに飛び乗ります。

そこで、自分は蒼月の吸血鬼よりヴァニタスの書とその名を受け継いだ人間だと声高に宣言。

証拠となる所有印とヴァニタスの書を見せ、「ヴァニタスの書を殺戮ではなく、貴様らの救済のために使ってやる」と。
なぜなら、そうすることがヴァニタスの蒼月の吸血鬼への復讐になるからだと宝かに叫ぶのでした。

 

静まる場内。

激情から我に返ったヴァニタスは、いつものふざけた口調で「吸血鬼専門医が必ず救ってやるぞ」と言うも、同じく我に返った吸血鬼から大ブーイング。

そこに、騒ぎを聞きつけたベロニカが駆けつけます。

めっちゃ人間(しかも男)嫌いの様子。
後ろにいる、仮面舞踏会の主催者・マキナ侯に始末するように言うも、「(ヴァニタスに)興味あるな~」と、つれない返事。

自分で始末するしかないと動くと、仮面をかぶったジャンヌが颯爽とヴァニタスを連れ去ってしまいます。

ベロニカはふふっと笑うと、高らかに人間狩りを宣言。
他の吸血鬼たちが一斉にヴァニタスを見つけんと動き始めました。
騒ぎを観ていたノエとルカもヴァニタスを探し始めます。

 

その様子を、影からみている怪しい者たちが…。

人の声と機械音が混ざったような耳障りな音を発生させ、呪持ちを次々と発生させてしまいます。
正気を失い、場内は一瞬にしてパニック!

ルカとノエは、シャルラタンと名乗る謎の人物達の襲撃に遭います。

 

一方、ジャンヌに助けられたヴァニタス。
ジャンヌの様子がおかしいことに気が付きます。

どうやら、薬で抑えていた吸血衝動に苦しんでいる様子。
呪持ちとは異なる様子に、ヴァニタスは自分の血を飲めと促します。

もしかしたら殺してしまうかもしれないと一度は断るジャンヌでしたが、一刻も早くルカのもとに駆け付けたい気持ちから、ヴァニタスの申し出を受けて噛みつきます。

 

シャルラタンの名を聞き、怒り心頭のノエ。
周囲の邪魔者を吹っ飛ばしシャルラタンに挑みますが、実態がないかのような不思議な姿を捉えることはできず、逆にノエの精神に入り込まれてしまいます。

シャルラタンによって呼びおこされた、古い記憶。

ノエが先生に引き取られ、そこでルイとドミニクに会った事。
ノエのおじいさんとおばあさんの事。
ルイがサド家の中では隔離されている存在である事。
呪持ちになったミナが処刑されると聞いて、皆で助けようとした事。
そして、ルイの死…

シャルラタンの甘い言葉を受け入れようとしたノエを引き留めたのは、ヴァニタスでした。

ジャンヌもルカを守るべく参上。
その様子に、シャルラタンは「楽しいなぁ」と不気味に微笑みますが、仲間が引き留めます。

シャルラタンと思っていた不気味な影の名は「ネーニア」。

「女王の牙(ベロニカ、マキナ侯爵)」に気が付かれたら厄介だと、再び奇妙な音を発生させて撤退。
音に感化された吸血鬼がノエたちを襲う中、「次にあった時こそは真名をちょうだいね」という言葉を残し…。

 

その後を追うルカとジャンヌ。
ノエとヴァニタスは、合流したドミニクと共に呪持ちにさせられた吸血の救助に向かいます。

今回の件は、「獣達の楽団(ディソナンス)」と呼ばれる特殊な禍名。
ドミニクの援護も加わり、次々と呪から解放していきます。

最後の一人を呪から解放しようとしたとき、そこに怒り心頭のベロニカが現れます。

こわい!
めっちゃ怒っています!!

 

ドミニクにまかせ、ノエとヴァニタスは最後の一人・カトリーヌに駆け寄るのですが、時すでに遅し。

肉体の浸食が進み、すでに助けられない状態まで進行していたのでした。

「殺して」と嘆願するカトリーヌに、ルイの姿を重ねるノエ。

止めようとするノエを、ヴァニタスは一撃。
ヴァニタスの書により、カトリーヌは砂となって消えてしまいます。

怒るノエに「オレは、お前たちの意志に関係なく、必ず吸血鬼を救ってやるといった」と、静かに言います。

その言葉に、ノエは「救い」とは一体なんなのか?
泣きそうな顔で「わからない」とつぶやいたのでした。

 

【次巻】3巻:ヴァニタスの手記

【前巻】1巻:ヴァニタスの手記




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