01巻:ヴァニタスの手記

ヴァニタスの手記(1) (ガンガンコミックスJOKER) [ 望月淳 ]

価格:627円
(2018/12/22 11:44時点)

きれいな絵に惹かれて読み始めましたこちら。
吸血鬼とヴァニタスの本という呪われた本を巡ってのお話です。

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「パリに吸血鬼現る!」

飛空船の掲示板に貼りだされたニュースに不安を隠せない人々。
昔、人間との戦争で負けてほろんだはず、生き残りがいた、作り話だろ…と、さまざまな憶測が飛び交います。

そんな人々の中、具合が悪そうな一人の女性。
倒れそうなところを、いち早く気が付いたノエが助けるところかお話が始まります。

女性の名前はアメリア。
ある医者に病気を治してもらうため、パリに行く途中でした。
観光ですかと尋ねるアメリアに、ノエは「『ヴァニタスの書』を探しに」と答えます。

ヴァニタスの書は、「蒼月の吸血鬼」という童話に登場する呪われた本の名前。
蒼い革表紙に漆黒の紙、銀の鎖で繋がれた機械仕掛けの魔導書。
ヴァニタスが作り上げた、“吸血鬼の真実の名前”に干渉する力が宿った特別な本なのです。

 

そろそろパリに到着するということで、降りる支度を促すノエ。
「ヴァニタスの書は本当にあると思いますか?」というアメリアの問いに、「パリで存在が確認されたらしいと恩師から手紙がきた」と。

…と、話の途中でまた具合が悪くなったのか倒れ込んでしまうアメリア。
手を差し伸べようとするノエを制したその目は紅く…その姿は吸血鬼でした。

びっくりしていると、天井の窓ガラスをやぶって一人の男性が飛び込んできます。

「見つけた!」と叫びながらアメリアのところに届く前に、ノエがすかさずアメリアを抱きかかえて避難。
アメリアをめぐって激しいバトルが展開されます。
ちなみに、ノエも実は吸血鬼。

 

ノエに抱きかかえられながら、苦しそうに涙を流すアメリア。
寒さで意識が混濁する中、「真名をちょうだい」と迫る不穏な人影。

 

寒くて死にそう、だから温かいものがほしい…と、いきなりノエに抱きつき首筋にかみつくアメリア。

血を吸われ力が抜けていくなか、なんとかアメリアを突き放すノエ。
そこには、瞳と胸から黒い涙をこぼし、荊の影で暴れる変わり果てたアメリアの姿が…。

「吸血鬼が人間を襲う事は禁じられています!
このままだと、貴方が処分されることになるかもしれないんですよ!!」

暴走するアメリアを必死に止めようとするノエですが、先ほど噛みつかれて血を吸われたことからも体の自由が利かない。
もうダメかと思ったとき、先ほど乱入してきた男に助けられます。

 

乱入するのをサポートしていたもう一人の男(ダンテ)が必死に援護する中、助けてくれた男(ヴァニタス)がノエに状況を説明します。

アメリアは吸血鬼の命である真名をゆがめられてしまい、本来なら簡単にコントロールすることができる吸血衝動が抑えられなくなっているのだと。

「あんたは教会の狩人?それとも、彼女を処分しに来た処刑人!?」と聞くノエに、「自分は吸血鬼専門の医者だ」と答えます。

「彼女(アメリア)を治しに来た!」と言いおもむろに懐から取り出したものに、ノエの目が大きく見開かれます。

なんと、その手にあるのは、ノエが恩師に言われてパリに探しに来た『ヴァニタスの書』。

ヴァニタスは「ヴァニタスの書」を使い、アメリアの真名を奪回。
元の姿に戻したのでした。

 

無事に事態が収まり、ほっとする一同。
ここで、騒ぎ聞いた警官が駆け付けます。

警官につかまりそうになり、逃げる体制のヴァニタス。
でも、上から落ちてきた瓦礫が頭に直撃しそのまま地上に真っ逆さまに落下!
すかさず手を伸ばしたノエと共に落ちてしまいます。

落ちていく中、ノエの目に飛び込んできたのは蒼い月。
恩師と見た幼い頃の蒼い月、そして恩師からの手紙が届いたときのことが脳裏に蘇ります。

 

無事(?)に地上に着地したノエとヴァニタス。
ノエは「彼女に何をしたんですか!?」と、さっき見た光景の説明を求めます。

「ヴァニタスの書の力で、彼女の真名に干渉し、余計なものを取り除いただけだ」と説明。
ノエは、これまで自分が聞いてきた話とは違う、ヴァニタスの書が呪いの書でなかったことに感動します。

そんなノエの様子を気に入るヴァニタス。
「おれは蒼月の吸血鬼より、ヴァニタスの書と名前を受け継いだただの人間だ。俺に力を貸せ!」と迫ります。

 

荷物を取りに戻ったノエ。
途中で倒れてしまい、ヴァニタスと共に牢屋に入れられてしまいます。
荷物も没収されてしまっているよう。

ノエの目的がヴァニタスの書にあると知ったヴァニタスは、「オレと一緒に行動していたほうがいいだろう」と、再度、協力を求めてきます。
一緒に行動したほうが目的を遂げやすいのはわかるけど、素直に「うん」と言えないノエ。
その理由に葛藤。

 

とそこに、看守が来て二人は釈放されます。
力ある吸血鬼が人間側に話をしてもみ消し、釈放するにに根回ししてくれたのでした。

二人の荷物はその伯爵の家にあるということで、渡された紙に書かれていた住所に向かいます。

 

道すがら、ヴァニタスがノエに、釈放に手を貸してくれたバークス・オルロック伯爵について話します。

過去の戦争の後、吸血鬼たちは人間を襲う事を禁止され、ほとんどが「境界」の向こう側に姿を消しました。
バークス・オルロック伯爵は、異界領主として人間世界で暮らす吸血鬼の行動を監視するよう、女王から命じられた人物だというのです。

 

伯爵がいる建物に到着するなり、ノックもなしに勝手に入るヴァニタス。
瞬間、バークス・オルロック伯爵の使用人が鋭い爪先でその動きを止めます。

「貴様が“蒼月の吸血鬼(ヴァニタス)”の名を騙っている人間か」と、奥の机からゆっくりと顔を向けるバークス・オルロック伯爵。
呪持ちの吸血鬼に接触を測っているヴァニタスの話は、すでにご存じの様子。

荷物と愛猫のムルを返してもらうも、肝心のヴァニタスの書とアメリアの姿はなし…。
詰め寄るノエに伯爵は、アメリアは拘束しており処刑人が到着したら処刑すると告げます。

「アメリアさんは治ったはずだ!」と、ヴァニタスの書で元の姿に戻ったのを説明するノエ。
でも、伯爵は信じず、頑として受け入れません。

そのやり取りに笑い出すヴァニタス。
ヴァニタスの書は、所有者であるヴァニタスでなければ本開くこともできないと説明します。

「オレは吸血鬼を滅びの道から救ってやろうとしているだけなのに」と余裕の笑みのヴァニタス。
「思いあがるな、人間!」と伯爵の使用人もヒートアップ!

その様子に、ノエは幼い頃、呪持ちになって処刑されてしまったミナの事を思い出します。

 

瞬間、はげしい口論を終わらせるように、ノエは伯爵とヴァニタスの間にあった机を思いっきり蹴飛ばします。

遠くに吹っ飛ぶデスク。
呆然とする一同。

静まった後、ノエが「騒ぎの吸血鬼をここに連れてきて呪から解放してみせるから、自分の目で確かめろ」と、ヴァニタスの書を返すように伯爵に要求します。

ノエの提案が決して無茶なことではなく、至極当然のことだと悟ったのか、伯爵は1日だけアメリアの処刑を待ってくれることになりました。

ノエはヴァニタスの書を受け取ると、ヴァニタスと共にパリの街へと件の吸血鬼を探しに行きます。
助けられなかったミナの二の舞はしないと、心に強く誓いながら…。

 

その頃、街にはヴァニタスを探す2人組の姿が…。
どこか坊ちゃん風な小柄な少年・ルカと、フードで顔を隠し、背中に大きな黒い箱を担いでいる女性・ジャンヌです。

 

興奮しているノエを、なんとか落ち着かせようとするヴァニタス。
そこに、飛空船でも一緒だった吸血鬼・ダンテが姿を現します。

ダンテは情報屋。
「9人殺し」に吸血鬼の居場所を掴んだという情報を持ってきたのでした。
仲間が9人殺しの後を追っているから、蝙蝠を道案内について行けといいます。

ノエはヴァニタスを脇に抱えると、屋根の上に飛び乗って蝙蝠の後を追いかけます。
残されたダンテのところに、仲間のヨハンが登場。
ルスヴン卿の処刑人がパリに来たことを伝えます。

 

屋根を伝って蝙蝠の後を追いかけるノエ。
脇に抱えられたヴァニタスが、9人殺しの吸血鬼…飛空艇の掲示板に載っていた吸血鬼について説明します。

2か月前に境界の向こうから現れ、9人もの人間を食い殺している吸血鬼。
名前はトマ・ベルヌー。
ヴァニタスは、アメリアから手紙を受け取るまで、この吸血鬼を追っていたのでした。

 

突然、数キロ先ほどの場所…川辺の工場地帯から激しい衝突音と空高く上る土煙が。
二人はそこにトマ・ベルヌーがいると急ぎます。

到着すると、そこには変わり果てた姿でダンテの仲間を襲っているトマ・ベルヌーが。
ノエがすかさず止めに入ります。
そして、スキを見てヴァニタスの書でショックを与えてマヒ状態にして動きを拘束。

縛り上げてオルロック伯爵のもとに連れて行こうとするのですが、そこに新たな邪魔者が入ります。
ルカとジャンヌです。

ルカは、懇願する眼差しでヴァニタスの書を渡してほしいとヴァニタスに訴えます。
ヴァニタスは「子供のおもちゃにされてはかなわん」とけんもほろろ。
これがどんな本なのか理解しているのかと問うと、ルカは「吸血鬼に破滅をもたらす災厄の書」と答えます。

ルカは、ヴァニタスが呪いを振りまいている、もしくは本に意識を乗っ取られて使われているのではないかと考えている様子。

ノエが必死に反論しますが、「ヴァニタスの書がなくなれば呪持ちがいなくなる」と思い込んでいることからも、まったく話を聞き入れません。
どうやら、ルカの大切な人が呪持ちになってしまい、助けるために焦っているようです。

 

これ以上の会話は無意味と、ジャンヌはルカに自分に命令を下すように諭します。

本当は平和的にヴァニタスの書を譲り受けたかったルカは、悩んだ末、ジャンヌに「できる限り生け捕りで…」という条件付きでヴァニタスの書を奪うように命を出します。

その言葉に、ジャンヌは背負っていた黒い大きな箱から紅いガントレットを取り出します。
まさしくそれは、ルスヴン卿の処刑人である証でした。

瞬時に察して逃げるヴァニタス。
赤いガントレット「カルペ・ディエム」を操るジャンヌは、かつての戦争で人間側について千もの吸血鬼を殲滅した同族殺しだったのです。

 

きわどい攻撃に逃げる二人。
でも、ヴァニタスの作戦でジャンヌを追い詰めます。

ジャンヌに、「蒼き月の眷族だ」とほのめかし、9人殺しも利用した奇襲作戦にでるヴァニタス。

その功が成して、ジャンヌダウン。
ついでに9人殺しの吸血鬼もヴァニタスの書で呪から解放します。

「やばい!オルロックの前で治さなければいけなかったんだ!?」と焦るも、その様子を、オルロック伯爵の使用人姉弟が遠くから見ていました。
「ありのままを伝えましょう」と事なきを得ます。

でも、まだジャンヌとルカは諦めておらず…。
再び立ち上がったジャンヌですが。
これまたヴァニタスの策…ルカを人質にしたように見せて戦闘不可能状態に。
その弱々しい姿にヴァニタスは惚れてしまいます。

ジャンヌさん…恋愛に疎いのか、ヴァニタスのアタックにストーカー気質を感じたのか、恐怖を感じて怯えています。

一方、ルカさんブチ切れ。
ヴァニタスを殺さんばかりの形相に、大規模な式の書き換えという大技を見せます。

我に返ったジャンヌはルカを回収し、「必ず貴様を殺しに来てやる!」と言うとルカを抱えてひとまず撤退。
笑顔でそれを見送るヴァニタスでした。

 

そんなどさくさに紛れて、正常に戻ったトマ・ベルヌーが逃走してしまいます。
いち早く気が付いたオルロック伯爵の使用人姉弟が追いかけますが…見つけた時は、何者かにすでに殺されていました。

少し離れた場所で動く不吉な影。
真名をゆがめる元凶が、次の獲物を狙っていたのでした。

 

【次巻】




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