03巻:ヴァニタスの手記ー吸血鬼誘拐事件ー

ヴァニタスの手記(3) (ガンガンコミックスJOKER) [ 望月淳 ]

価格:616円
(2019/2/8 14:20時点)

救えなかった…。
砂となってしまった少女。
ノエは「救いとはなんですか!?」とヴァニタスに詰め寄ります。

と…

そこに、怒り心頭のベロニカが登場。
仮面をつけていながらもすさまじい力を見せつけます。

その力の前では逃げることも叶わず、ヴァニタスは片足を氷漬けにされてしまいます。
ノエは先ほどのダメージが残っており、助けたくても力が思うように入らない。

「粉々に砕いてあげましょう」と高笑いするベロニカを止めたのは、何者かに足止めを食らって到着が遅れたルスヴン卿。
ルスヴン卿が声をかけるとともに、ベロニカの仮面がパキッと真っ二つに割れ、その顔があらわになります。

 

口々に「あの蒼月の吸血鬼の眷属が!」とわめく吸血鬼たち。

「その少女を殺したのは俺だ」と言うヴァニタス。

ノエはルスヴン卿との間に割り込み、「何も知らないくせに、彼に都合よく罪をおしつけるな!」と叫びます。

自分で言ったその言葉に、ハッと我に返るノエ。
自分も今さっき、少女を砂にしたヴァニタスに…とショックを受けます。

そんなノエにルスヴン卿分は、自分は元老院の一人として女王陛下にお仕えするものだと、朗らかに笑いながら自己紹介。
さらに、そこに駆け付けたルキウスによって、ルキの叔父であることも判明します。

ルスヴン卿は、ヴァニタスの足の氷を溶かすと、「この二人(ヴァニタスとノエ)のことは私が保護しよう」と宣言。
これで、他の吸血鬼は二人に手が出せなくなりました。
ひとまず、安心です。




そのまま気を失ってしまったノエ。
夢の中で先生と話します。

先生の「ヴァニタスの書を取り巻く人とその物語に触れなさい」という言葉と共に目が覚めるノエ。

鐘がある塔の、一番高いところにいるヴァニタスのとこへと向かいます。

そこには、不機嫌な態度を表すヴァニタス。
噛みつかんばかりの態度に、わけがわからないノエ。

でも、話をするうちにヴァニタスの真意が見えてきて…。
ヴァニタスのしている事の結末がみたいと強く思うようになります。
そして、このまま一緒にいると宣言するのでした。

そんな二人の様子を、遠くからみているルスヴン卿。
そのまなざしに敵意はありません。

 

ルキウスに誘われてカフェに来た、ヴァニタス、ノエ、ドミニク。
甘いものが大好きなノエは、タルトタタンに大喜び。

話は自然と舞踏会出の事になり、そこから始めたあった時のキス事件に。
ヴァニタスは、「オレとジャンヌは相思相愛だ」と言い、首元についた所有印を見せます。

ショックを受けるルキウスに、これは禁断症状が出ていたジャンヌに血を提供した際にできたもの。
ヴァニタスは呪持ちの発した声で一時的に錯乱状態になっていたと、ウソの理由を言います。

安心したルキウスの笑顔とは逆に、混乱するジャンヌ。

ヴァニタスを担ぐと、「少しこの男を借ります!」と窓から外に。
その後を、(しっかりとケーキは完食して)ノエも窓から追いかけます。

 

人気のない路地にヴァニタスを下ろすと、先ほどの事について問い詰めるジャンヌ。
ヴァニタスは、ジャンヌが吸血衝動をルカに知られたくないことに気が付き、適当に誤魔化していたと言います。

「君は呪持ちなのか?」と問いかけるヴァニタス。
ジャンヌはそれには答えず、「薬さえ飲んでいれば、あんな風にはならない」と答えます。

このことは黙っていてほしいと懇願するジャンヌに、ノエは2つの条件を出します。

一つは、ヴァニタスの血以外は吸ってはいけない。
もう一つは、「人間」と呼ぶのではなく、きちんと名前で呼ぶこと。

苦しそうに顔をゆがめながらも、了承するジャンヌでした。

 

一人、屋根の上にたたずむノエ。そこに、ドミニクが「どうしたんだい、泣きそうな顔をして」と近寄ってきます。
ジャンヌとヴァニタスは戻ってきたのに、いつまでも戻ってこないノエを心配して探しにきたのでした。

ノエは、ドミニクに「ジャンヌがヴァニタスの血を吸ったと聞いてから、胸が苦しかったか」と告白します。

えっ!えっ!まさかの三角関係!?

…と思いきや、ジャンヌに先を越されたのがくやしいかったのだと。
以前から、ヴァニタスの血はとてもいいにおいがすると思っていた、こんなことなら味見をさせてもらえばよかったと。

思ってもみなかった言葉に、あきれるドミニクでした。

 

ようやく叶った、ルスヴン卿との面会。

サド家から急に呼び出されたドミニク以外の、ヴァニタス、ノエ、ルキウス、ジャンヌが、吸血鬼の女王陛下もいるカルブンクルス城の中にあるルスヴン卿の執務室に通されます。

穏健派であるルスヴン卿は、吸血鬼と人間の戦争を終結させた和平の立役者であり、今でも英雄として称えられています。
知らない人はいないはずの超有名人を、読書好きのノエは知らなかったわけですが、その理由についてはルスヴン卿が一番よくわかっていました。

なぜなら、ノエの先生がルスヴン卿を毛嫌いしていたからです。

ノエが住んでいる家にある蔵書から、ルスヴン卿の名前を消しさるくらい簡単だったというわけだったのです。

部屋のあちこちにある品物が気になって仕方がない好奇心旺盛のノエ。
親切なルスヴン卿が一つ一つ説明してくれるのですが、まったく興味がないヴァニタスは冷めた目線。
「早く本題に入りたい」と本来の目的に引っ張ります。

 

シャルラタンによる襲撃。

ルスヴン卿は、ルキウスを暗殺することが目的だったのではと、持論を述べます。
これにはヴァニタスも同意。

それというのも、ルキウスは正式名をオリフラム大公ルキウスといい、女王に次ぐ地位と権力を持っているから。
今はまだ幼い為、大公の仕事は後見人であるルスヴン卿が担っており、正式なお披露目もまだの状態。

ふと、初めてルカとジャンヌに会った時の事を思い出すノエ。
「ルカのお兄さんは?」との質問に、苦しそうに眉根を寄せ黙るルカとジャンヌ。

ルスヴン卿も、「その子の兄については何も触れるな」と、それまでの快活な態度とは打って変わって冷たい対応に。
「呪から解き放たれることが幸せとは限らない」と謎の言葉を言い、これ以上の話を拒みます。

 

そして話題は、蒼月の吸血鬼にとヴァニタスについて。

ヴァニタスは不敵な笑みを浮かべると、ルスヴン卿にまずは要望を聞いてほしいと言います。

それは、女王への謁見。

呪持ちが生まれる原因は、女王にあると考えている。
だから、陛下のお身体を隅々まで診察させてもらいたいと。

その要求に、怒るジャンヌ。

さらにヴァニタスは、女王が表舞台に姿を現さなくなってどれくらいたつ?
引きこもりになった理由はなんだ?
そもそも、女王は今もちゃんと生きているのか?

…と、続けざまに質問。

次の瞬間、部屋の中はむちゃくちゃに。
ジャンヌとノエは痛めつけられ床に崩れ落ち、ヴァニタスはルスヴン卿に首から持ち上げられ、小さいルキウスが必死に体にしがみついて止めています。

これまで見た事もないような、怒りのルスヴン卿。

今すぐ出ていけ、この城に二度と足を踏み入れることは許さないと、ボロボロのヴァニタスとノエを人間界へと戻します。

 

ところかわって、パークス侯爵の部屋。

追い出された経由を報告したのは、1週間後の事。
「女王陛下に対してなんたる無礼な!」と、こちらも怒り心頭です。

ただ、ヴァニタスがそんな怒らせる態度をとったのには訳があります。

ルキウスの反応から、女王の身に何か起こっているのを確信。
ルスヴン卿だけは、「まんまとやられたな…」とヴァニタスの行動の意味に気が付いていたのでした。

しばらくはルスヴン卿への接触はできないことからも、パークスに呪持ちの情報を要求するも、女王陛下への無礼な態度からも冷たく断られてしまいます。

怒り心頭のパークス。
はずみで、資料の一部がひらりと足元に…。

そこには、吸血鬼の行方不明について記載されていました。
その内容は、1週間で3人も消えているという怪事件。

 

「勝手に資料をみるな!」と一括され、追い出された二人。
そこにダンテとリーチェ、ヨハンが、ケガをしたひどい姿で待っていました。

どうしたんだと話を聞くと、さきほど見た資料に記載されていた吸血鬼誘拐事件が関係している様子。

呪い持ちの居場所がわかり向かうと、その呪持ちが何者かにさらわれるところに遭遇。
阻止しようとするリーチェを、瞬間的にやばいと悟ったダンテがかばい、二人そろって攻撃されてしまいボコボコにされたと…。

ヨハンは吸血鬼と勘違いされてさらわれそうになったのですが、ダム(混血)とわかり、事なきを得たという事でした。

つまり、吸血鬼を狙った誘拐事件。
オルロック伯爵が追っている吸血鬼の行方不明事件でした。

ダンテは「この情報を売ってやると!」と、ヴァニタスに唯一の戦利品を渡します。
それは剣と6枚の翼が彫られたボタン。
それを見たヴァニタスは、一目で犯人が誰なのか悟ります。

犯人は、教会の対吸血鬼部隊。
狩人(シャスール)です。

 

犯人が分かったところで、さっそく皆で敵情視察。
まずは、地下納骨堂です。

「本当に狩人が犯人なら、オルロック伯爵に協力してもらったほうがいいのでは?」というノエに、それは無理とヨハンが否定します。

人間にとって吸血鬼と狩人は、今は「実在しているらしい」ぐらいの存在。
両者間の対立は根深く、下手をすればまた戦争を引き起こしかねないというのです。

収穫がないまま外にでるヴァニタス一行。
その様子を、ノエは考えるような様子で見つめていました。

 

その夜。
こっそりと外出するヴァニタス。

出た先では、ノエが待っていました。
夜半にこっそり動くことを感づいていたのです。

向かった先は、ノートルダム大聖堂。

修道院を気絶させて制服を奪うと、大聖堂の中に。
ヴァニタスが仕掛けを動かすと、秘密の地下道が…。
その先にあるのは地下納骨堂。

サクサクと進むヴァニタスは、まるで以前ここに来た事があるよう。

犯人を知っているのではとノエが問うと、「狩人だけど、狩人ではない」とヴァニタスは答え、さらには戦闘になった際の注意と警告も。
なかなか厄介で危ない連中のようです。

 

歩いていると、たくさんの頭蓋骨が並べられた部屋にたどり着きました。

それは吸血鬼の骨だと教えてくれたのは、突然現れた狩人、第6の聖騎士(パラディン)であるローラン。
聖騎士は、狩人を束ねる隊長で12人います。

ローランは最近、この区画に赴任してきた狩人。
地図を完全に頭に叩きこむために巡回を兼ねた散歩をしていたというのです。

「君たちは?なぜここにいる?」と問い詰められ、ヴァニタスは瞬間的に「迷子になった」といってごまかします。

が…

ローランにはそれが嘘であることが見透かされており、人であるヴァニタスは仕掛けの中に閉じ込められ、吸血鬼のノエは戦闘を仕掛けられます。

 

逃げろというヴァニタスに、一人で逃げるなんてできないと断るノエ。
その二人のやり取りに、ローランはすかさず反応します。

実は、ローランの耳にもヴァニタスの事は耳に入っており、吸血鬼から救わなければいけないかわいそうな子として探していたのです。

思わぬところで見つけることができ、これぞ神のお導きと喜ぶローラン。

ヴァニタスが「俺は常に自分の望むようにしか行動していない!」といくら否定してもまったく聞き入れない超自己中心的姿に、さすがのヴァニタスも真っ青です。

 

一通りヴァニタスを説得(?)すると、ノエへと攻撃を開始するローラン。

特別な目くらましと薬で戦闘力を底上げしているだけあって、人間とはいえかなりの強敵。
ダメージが残るノエは、思うよに動けません。

 

強いダメージを与えられ、もうダメか!?

…と思われたとき、仕掛けを解除したヴァニタスが間に割り込みます。
突然の乱入にローランの体制が崩れ、そのすきをついてノエが一撃をお見舞い。
隙をみて逃げます。

気が付いたローランは、駆け付けた仲間のと共に、ヴァニタスとノエを追います。

 

ローランから身を隠す二人。
ヴァニタスは、ノエにここに来た目的…ある男を探しに来た事を打ち明けます。

男の名前は、モロー。
吸血鬼の研究に憑りつかれ、狩人から追放された人物。

モローは人体実験で強化人間を作っており、それぞれに作品番号を割り振っている。
作品番号が、ダンテがもぎ取ったボタンにあったと。

つまり、吸血鬼をさらっていたのは正規の狩人ではなく、モローが作り出した作品だったのです。

 

その様子を陰からじっと見ている男。

男は、ヴァニタスを見ると「おかえり!」と何度も嬉しそうに叫び喜びはじめました。

なんと、ヴァニタスは過去の男の実験体。
蒼月の吸血鬼によって連れ出されていたのです。

次巻ーーー!!

 

【次巻】4巻:ヴァニタスの手記

【前巻】2巻:ヴァニタスの手記




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です