02巻:夢の雫、黄金の鳥かご

夢の雫、黄金の鳥籠(2) (フラワーコミックス) [ 篠原 千絵 ]

価格:432円
(2019/2/22 14:31時点)

イスタンブルの冬。
ヌール・ジャハーン(ヴェータ)がいなくなったのに、何事もなかったように日々が営まれていく後宮。

ヌール・ジャハーンの荷物を皆で分けているのをみて、ヒュッレムは後宮監督官のザヒードのところに行きます。

ヌール・ジャハーンが突然姿を消した事について聞こうとしても、体調を崩して治療のために別の場所に移ったとけんもほろろ。
しまいには、今後、ヌール・ジャハーンの名前を口にすることは許さないとまで叱責されてしまいます。

そんな中、スレイマンとギュルバハムが二人で後宮に。
金曜の礼拝の日は、第一夫人と共に過ごすことが慣例になっていました。
「変わった事はなかったか?」と問うスレイマンに、「何事もなく…」と答えるギュルバハム。

スレイマン様は知らないのだろうか…とたまらない気持ちになるヒュッレム。

そんなヒュッレムに、母后からの呼び出しがかかります。
なんと、側室に召し上げるという通達でした。

ヒュッレムは母后にもヌール・ジャハーンについて問いますが、お付きの女中に「無礼者!」と叱られて、結局何も聞けずに自室へと戻ります。

新しくあてがわれた部屋は以前の個室よりもさらに広く、女官長(サハル)まで追加。
さっそくお茶をするのですが、またしても毒入り。
驚くサハルに、これまで命を狙われてきたことを話します。




言わずとも事情を察知したサハルですが、「わからないことはそのままにしておきなさいませ」と懇願。
そんな態度にヒュッレムは、黒人宦官たちが賄賂をもらって女たちを監視している恐怖を悟ります。

それならばと、シャフィークの同僚の白人宦官に賄賂を渡して頼みを聞いてもらうしかないと、ヒュッレムは自分の身を守るために動き始めます。

 

その頃、スレイマンは大宰相ピリー・メフィットをはじめとするお偉方と会議中。
議題は、遠征について。

この国の政治は議会が動かすものではなく、皇帝の一言で決まるもの。
遠征に反対する家臣たちに有無を言わさぬ態度で「出兵方面は追って沙汰する」と告げると、さっさと部屋を出て行ってしまいます。

途中、図書室に向かうヒュッレムと遭遇したスレイマンは、「おまえは何を学びたいのだ?」と問いかけます。

「知らないことが多すぎて、何を学んだらいいのかわかりません」とヒュッレムが答えると、「では、個の者から学ぶがよい」と、スレイマンの幼少時からの師である第4宰相コジャ・カシムを紹介します。
カシムは、さっそくヒュッレムを連れて図書館へと向かいます。

 

その夜。
サハルから、シャフィークが倉庫で待っている事を伝えられます。

倉庫に向かうと、そこにはギュルバハムと同じ頃に入った古株の妾が。
ヒュッレムの器に毒を塗っていたところを捕らえられたのでした。

「なぜ私を殺そうとするのか?」とヒュッレムが問うと、「言ったら殺される!」と怯えた声で叫びます。

追求しても握りつぶされる…。

そう悟ったヒュッレムは、この妾の処分について白人宦官に指示します。

 

翌日。
後宮では、大部屋の妾が消えてしまった話でもちきりです。

ヒュッレムの身辺をかぎまわっていたことからも、ヒュッレムが殺したのでは…なんて憶測があちらこちらで聞こえます。

そんな中、ヒュッレムとギュルバハムが遭遇。

ギュルバハムは、「妾がいなくなったそうだけど、あなたご存じ?」とヒュッレムに水を向けます。
ヒュッレムは知らないといいつつ、「ヌール・ジャハーンがいなくなったことばかりに気を取られていました」と返します。

 

その夜。
遠征について理解を示さない臣下に苦言をこぼすスレイマン。

スレイマンの何気ない言葉に反応し、「ここですよね」と地図を指し示すヒュッレムに驚きます。
そして、最近、消えた妾の噂について問いかけます。

「アマシア将軍が、美しい妻を娶ったと有頂天で任地に下った。その妻というのが、私の後宮の妾という噂があるようだが…おまえは何か知っているか?」と。

ヒュッレムは「新参者の私がなんでそのようなこと存じましょう」としらばっくれます。

一見、後宮を気にしているようなスレイマンの態度ですが、本音は後宮という狭い世界を一人で生き抜けない女性には興味がないということを見抜くヒュッレム。

ギュルバハムは自分のやり方で後宮を生き抜いている。
ならば、私も私のやり方で生き抜いてみせると、決心するのでした。

 

執務室で、スレイマンに声を荒げる大宰相ピリー・メフィット。
どこで聞いたのか、ベオグラードへの遠征について必死に反対します。

気分転換に船遊びに向かう体を装って、イブラヒムと密談をしようとしていたスレイマンでしたが、大宰相ピリー・メフィットに邪魔されるのを懸念し、図書館にいるヒュッレムにお供をさせることに。

ヒュッレムがいることで、スレイマンとイブラヒムが心置きなく密談ができる…いわゆるカムフラージュです。

スレイマンとイブラヒムが遠征について話をしていると、予想通り大宰相ピリー・メフィットをのせた船が近づいてきました。
険悪な雰囲気になりそうなところを、ヒュッレムの機転がその場を救います。

 

スレイマンが舟遊びにヒュッレムを連れ出したことを聞いたギュルバハムは、面白くない様子。

ふと、近々おこなわれる各国大使領事夫人を招いてのお茶会があることを思い出すと、ヒュッレムも招待することを女中に告げます。

その招待に、驚き興奮する妾たち。
でも、サハルだけは浮かぬ顔。

なぜなら、ギュルバハムのお茶会は母后に次ぐステイタスであり、参加の是非はヒュッレムがギュルバハムに対して融和路線をとるのか本格的に敵対するのかを決めることになるからです。
そうしたことからも、後宮内でも今一番注目されている話題と言えます。

何度も殺されかけていることからも、お友達になどなれるわけがない。
しかも、ヴェーダ以外にも妊娠した妾を殺している可能性が高い。

そうした気持ちから、すぐには「参加する」とは言えないヒュッレム。

欠席は宣戦布告に、出席はギュルバハムに取り込まれたとみなれる…と心配そうに見つめるサハル。
そんなサハルの気持ちを知ってか知らずか、ヒュッレムは決心したように出席すると伝えます。

 

数日後。
イブラヒムは、自宅に招待したヴェネチアの商人・アルヴィーゼと和やかな時間を過ごしていました。

話題はいつしかヒュッレムの話に。
そこで、ヒュッレムがギュルバハムのお茶会に招かれた事をアルヴィーゼから聞きます。

諸外国の大使夫人がヒュッレムに会えるのをとても楽しみにしていると聞き、慌てて茶会の日程を聞くも、もうそろそろ始まる時間。
イブラヒムは無言で、後宮へと急ぎ向かうのでした。

 

一方、各国大使夫人とあいさつを交わすギュルバハムのところに、ヒュッレムが登場。
招待客の視線がヒュッレムに注がれます。

ヒュッレムとギュルバハムを比べる声がチラホラ聞こえてくる中、ヒュッレムも各国大使夫人と挨拶を交わしていきます。
しかも、イタリア語やフランス語など大使夫人の母国語で。

多国語で優雅に話すヒュッレムは、たちまち各国大使夫人たちの中心に。
その様子をじっと見つめるギュルバハムに、心配そうにみつめるハラム。

 

主催者以上に注目を集めるのは、反感を買ってしまう行為。
ギュルバハムの女中たちはカンカンです。

会の主役は誰なのかわからせるため、女中がおもてなしを進言。
そこで、ギュルバハムは詠の吟遊を披露する事に。
しかも、ヒュッレムの得意とする二ザーミーです。

丁度そのころ、駆け付けたイブラヒムが一室の窓からその様子を見つめます。

「糸杉のように繊細で美しいお声」と、ギュルバハムの詠の吟遊を褒め称える各国大使夫人に、ギュルバハムは「他に上手な方はたくさんいらっしゃいます」と謙遜。
その言葉に、一人の夫人が「ヒュッレム妃もたいそうお上手だとうかがいました」と言うや、皆がヒュッレムに詠の吟遊をリクエストします。

その様子を見ているギュルバハム。
ヒュッレムの対応で、その真意を図ろうとしていたのです。

最初は辞退するヒュッレムでしたが、根負けしたように「ちょっとだけ」と詠の吟遊を披露。
ギュルバハムと同じ「七王妃物語」の一節。

ヒュッレムの声に、各国大使夫人はうっとり。
「なんとよく響く声」「天上まで届きそう」など絶賛。
その様子に、こっそりのぞき見しているイブラヒムは「そのくらいにしておけ!」と冷や汗。

…と、順調だったヒュッレムの声が途切れました。
そして、間を置いて「わすれちゃいました。慣れないことをするものではありませんね」と照れたように笑います。

その様子に、あっけに取られてたい各国大使夫人たちも、笑顔で「ドンマイですわ」と和やかな雰囲気で終わりました。

「出しゃばるから恥をかくんだわ」というギュルバハムの女中とは反対に、ギュルバハムは「一本取られたわ」と。

ヒュッレムは自分を立てつつ、欧州夫人に自分をうまく売り込んだ上手い対応と見通していたのでした。

 

ヒュッレムだけでなく、イブラヒムにもピンチが迫っていました。
「出すぎた杭は打っておくに限る」として、イブラヒムに関する妙な噂を流します。

それは、イブラヒムが欧州の商人と通じているというスパイ説。
その噂は、ヒュッレムの耳にも届きます。

「たかが噂」と笑うヒュッレムに、サハルは「噂を侮ってはいけません」と忠告します。
なぜなら、噂がきっかけで失脚することも珍しくないからです。

その夜。
昼間に聞いた噂を知っているかどうか、ヒュッレムはスレイマンに確認します。
そこで、噂の事を知っていながらも何もアクションを起こさないスレイマンについ詰め寄ってしまうのですが、うまくはぐらかされてしまいます。

 

翌日、帰宅途中のイブラヒムが皇帝親衛隊に連れていかれてしまった事を知るヒュッレム。
さらに、買収している白人宦官から疑惑のヴェネチア商人とされているアルヴィーゼまでも連行しようとしている情報を得ます。

ヒュッレムは図書館に行くふりをして、急ぎアルヴィーゼの元に向かいます。

数か月前まで住んでいた懐かしい場所。
いろいろと教えてくれたナシーム夫人はすでに嫁がれた後でいませんでした。

 

急ぎ身が危ないことをヒュッレムが告げると、アルヴィーゼは皆まで聞かずに察知。
「イブラヒムのバカな片思いも報われるというもの」という言葉を残し、颯爽と屋敷から姿を消すのでした。

そんなアルヴィーゼの言葉に、ヒュッレムは驚きを隠せません。

 

夜、会議を欠席しヒュッレムと過ごすスレイマン。
議題はイブラヒムの審問。

「ご出席なさらなくてよろしいのですか?」というヒュッレムの言葉に、「興味があるなら覗いてみるか」と秘密の抜け道に連れて行ってくれます。

着いた先は会議の間の裏側で、部屋の様子がこっそりと覗ける小部屋でした。
眼科では、高官たちがイブラヒムに対してスパイ疑惑を追及しています。

イブラヒムもですが、スレイマンも余裕の表情。
アルヴィーゼの名前が出ると、「釈明するための証を揃えています」とあくまでも涼しい顔。

…と、そこにアルヴィーゼが到着したことを告げる知らせが部屋に届きます。

登場したアルヴィーゼも余裕しゃくしゃく。
「貴国に売っていた物を持ってきましたよ」と、庭園にずらりと並んだ最新型の大砲を見せます。

さらに、ハンガリーに向かったオスマン帝国の使節団が処刑されたという情報も。

「これで黙っていれば、オスマン帝国の名が廃りますね。すでに出兵準備が整っているとは、さすがはスレイマン陛下だ」

…という言葉に、高官たちは何も言えませんでした。

遠征の名目を待っていたスレイマン。
能力のあるものしかそばに置かない、いられない…。
そう悟るヒュッレム。

ほどなくして、スレイマン1世はベオグラード遠征の勅令を発します。
反対する声は皆無。

1521年2月、第1回目のベオグラード遠征に。
再び帝都に戻るのは半年後です。

 

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