01巻:夢の雫、黄金の鳥籠

夢の雫、黄金の鳥籠(1) (フラワーコミックスαプチコミ) [ 篠原千絵 ]

価格:432円
(2019/1/18 12:12時点)

世界の歴史漫画です!
実在した人物にまつわるストーリー。

悪女と呼ばれていたのを、本作では好奇心旺盛で聡明な女性として描いているところに注目です。
歴史好きにはたまらない!!

時代は、16世紀初頭のルーマニア。
主人公は、好奇心旺盛な女の子・サーシャ。
家の手伝いをしながら、鳥をみては外の世界への憧れを募らせていきます。

そんなある日の夜。
村がタタールの襲撃を受け、人々は殺され、家は燃やされてしまいます。
サーシャと友人のオーリャは、同じ人さらいに連れられて商品に奴隷として売られてしまいます。

 

そこで、同じように商人に売られた少女・エリザヴェータと出会います。

エリザヴェータは金持ちに買われて贅沢三昧な暮らしをすることを狙っている、いわゆる玉の輿狙い。
そのため、とばっちりを受けるのを恐れ、夜中にこっそり逃げ出そうとしたサーシャとオーリャを邪魔します。

 

なんとか逃げたのものの、オーリャを見失い、見知らぬ男たちに襲われるサーシャ。
そこを黒髪の男、ギリシャの商人、マテウス・ラスカリスに助けられます。

「鳥みたいに自由に暮らしたい!」と逃がしてくれるように懇願するサーシャに、「学んでチャンスをつかめ」と諭し、商人の元に送ります。
そこには、オーリャも連れ戻されていました。

 

海を渡った先の市場で売られるサーシャ、オーリャ、エリザヴェータ。
ここでサーシャはマテウスに再会。
彼に高値で買われるのでした。

てっきりハレムに入れられるのだと思ったのですが、マテウスは「チャンスをやろう」と言います。

教養と知識を学ぶチャンスを与える。
それを身につけらるかどうかはサーシャ次第。
それを生かし身も心も自由な女として生きるか、閉じ込められたままみじめな一生を終えるかは、すべてサーシャ次第だ…と説きます。

そして、教育係として先代皇帝のハレムにいたナシームと引き会わせてくれます。

 

ナシームの指導の元、言語、上品な話し方、美しい立ち振る舞いなど…さまざまな事を身につけていくサーシャ。
サーシャにとってはすべてが珍しく楽しく、毎日があっという間に過ぎていきました。
その成長は、久しぶりに家に戻ってきたマテウスを驚かせるほど。

久しぶりに館にマテウスがいる事で、変に意識してしまい眠れないサーシャ。
気持ちを落ち着かせるため、外で詩を朗読しはじめます。
その様子をそっと見ているマテウス。

 

マテウスはその様子から、サーシャの成長した姿に時期が来たことを悟り、サーシャを買った本当の理由を打ち明けます。
その目的は、マテウスの主に献上する事。

「嫌です!マテウスにそばにいさせてほしい」と懇願するサーシャですが、すでに主に献上する許しを頂いているため、取りやめにすることは不可能。
そもそも、サーシャは奴隷として買われたので拒否することはできません。

 

そして、いよいよマテウスの主に献上される日。
マテウスは、サーシャに2つに贈り物を授けます。

一つは金の鳥籠。
どこにいようとも、自由は心のありようだ。
自由でいられるかどうかは、おまえの心次第だと説きます。

二つ目は、「ヒュッレム」という新しい名前。
“朗らかな声”という意味を持ちます。
詩の朗読の美しさから、この名前を贈ったのでしょうか。

マテウスの主に献上する事は、ハレムに入るという事。
ハレムに入ると、しばらくは外にでる機会がなくなるので、オスマン帝国の首都・イスタンブルを見せてくれます。
ヒュッレムは、生涯をこの都で暮らすことになります。

 

マテウスの主がいる旧宮殿に連れてこられたヒュッレム。
ここから、マテウスという名前で呼ぶことは禁じられ、代わりにイブラヒムと呼ぶようにと申し付けられます。

そこで待ち受けていた主とは、なんと皇帝陛下。
オスマン帝国第10代皇帝スレイマン1世。
即位したばかりの25歳です。

 

驚きつつも、皇帝陛下に「皇帝陛下が皇帝陛下でいらっしゃることはわかりました。では、イブラヒム様は?」と質問します。
これには、イブラヒムもぎょっとしています。
確かにすごい度胸ですね。

皇帝陛下は「目が高い」として、イブラヒムの事を教えてくれます。

イブラヒムは、小姓頭でかなり偉い地位の人。
才覚だけでのし上がってきた優秀な人材だ。

…との説明で、この時初めて、イブラヒムの立場を知ることができたヒュッレムでした。

謁見があるため、先に宮殿に戻ると告げ、部屋を去る皇帝。
「その声、気に入った」と、ますまずの感触です。
イブラヒム、ほっと一安心。

 

そして、ヒュッレムの住まいとなる後宮に行きます。
そこでヒュッレムは、自分が異例の待遇を受けて入ることを知ります。

ハレムでは、新入りは大部屋で指導女官の元で団体生活を送ります。
ところが、ヒュッレムは最初から個室。
しかも部屋持ちの場合は、身の回りの世話をするお付き女官が必要になる為、ナイマとジャミーラがヒュッレムに付き添う事に。

さらに、ここでイブラヒムからシャフィークという白人宦官も。
シャフィークは耳と口が不自由ですが、とても優秀な付き人です。

 

後宮は、皇帝陛下以外の男は立ち入り禁止。
イブラヒムは皇帝の居室まで入る許可があり。

今後も会う事もあるだろうとヒュッレムに告げ、その場を去って行ってしまいます。
その際、自分も奴隷であることを告白。
同じ奴隷であることに、ヒュッレムは「だから私にもチャンスをくれたの?」と思うのでした。

 

翌日。
大浴場に行くヒュッレム。

新しい妾で特別待遇ということからも、大部屋の妾たちが寄り集まりヒュッレムに質問攻め。
即席のお茶会の始まりです。
すっ裸でお茶会って、すごいな…。

側室になるにはどうしたらいいのかなど、後宮のしきたりなどの話を聞きながら氷菓子をいただくヒュッレム。
が、その中には小石が入れらており…明らかに、誰かの嫌がらせ。

いきり立つジャミーラに代わり、ヒュッレムはさりげなくイブラヒムの名前を出して牽制します。
つ、強い!

 

そこに、最近、側室になったというヌール・ジャハーンが登場します。
なんと、その正体は、同じ商人に買われたエリザヴェータでした。
あの時、エリザヴェータを買ったのは後宮の宦官だったのです。

再会を喜ぶヒュッレムでしたが、ヌール・ジャハーンはけんもほろろ。
なれなれしくするなと牽制します。

負けず嫌いでもともと玉の輿狙いですから、後宮でも一番を狙っているヌール・ジャハーン。
イブラヒムという後ろ盾を持つヒュッレムを警戒しているのかな!?

 

そして食事。
スープを飲もうとしたヒュッレムを、シャフィークが止めます。
スプーンにすくい、小鳥に飲ませると…苦しそうにもがき始めました。
なんと、毒が入っていたのです。

自分以外はみなライバル。
油断したら命も落とす。
後宮はそれほどのんびりした場所ではないと痛感する出来事でした。

 

そんなヒュッレムに、シャフィークは「今後は自分が毒見をする」と手話で伝えます。
さらに、イブラヒムから預かっていた手紙をヒュッレムに渡します。

そこには、後宮は優雅で呑気な場所ではない。
権謀術数がそこかしこに澱んでいる。
何か困ることがあればわたしが助けになる。

…といった内容が書かれています。
最初に言っとけよと思ったのは私だけ?

イブラヒムからの手紙で、自分が置かれている立場を実感したヒュッレムでした。

 

その後、スレイマン陛下の母后ハフサ・ハトゥンのサロンに呼ばれたヒュッレム。

母后は後宮300人の女の頂点に君臨する方。
日本でいえば、大奥ですかね!?
こわいわぁ。

そこには、母后だけでなく第一夫人・ギュルババル(マヒデブラン)、その息子であり第一皇子・ムスタファ、側室たちがズラリ勢ぞろい。

 

ヌール・ジャハーンの出しゃばった態度で場の雰囲気が険悪になるも、母后から言われた「イブラヒムの為に陛下によぉくお仕えなさい」という言葉が気になるヒュッレム。
ヒュッレムはイブラヒムから献上されたので、陛下に気に入られなければイブラヒムの評価が下がるという事を言い示していたのです。

陛下からの声掛けは当分ないだろうとして、今後の身の振り方を考え始めるヒュッレムでしたが、思いのほか早くに皇帝陛下から声がかけられます。

 

ヒュッレムに皇帝陛下から声がかかったことは、瞬く間に後宮に広がりました。

母后は「よいことだ」と喜び、第一夫人・ギュルババルは「側室になられるかしら?ならばお祝いを考えないとね」とちょっと頭のネジが飛んでんじゃないの的な余裕の態度。
すごいな!?

皇帝陛下に呼ばれたと、朝から準備に忙しいヒュッレム。
そこに、イブラヒムと共に皇帝陛下が後宮に到着した事が伝えられます。
イブラヒムも一緒にいる事に動揺するヒュッレム。

一方、部屋に入った皇帝は、イブラヒムに「本当にヒュッレムを寝所に呼んでもいいんだな?」と確認します。
「なぜそのようなことを!?」と動揺するイブラヒム。
「ならばよい」と皇帝が去った後、イブラヒムの脳裏に浮かぶヒュッレムの姿。
皇帝陛下の方がわかっていそうですね~。

皇帝陛下の寝所に入るヒュッレム。
近づくヒュッレムに、「おまえは詩を詠うのが上手いと聞いた」と、詩の朗読を求めます。
詠うヒュッレムの声を「ビュルビュルだな」と例えます。

 

翌朝。
褒美は何がいいと聞く皇帝に、ヒュッレムは書物を求めます。

褒美の量は陛下の愛情のバロメーターということで、他の妾たちも興味津々。

ヒュッレムに届けられたのは、小さな箱に入った鍵が一つ。
なんと、皇帝陛下専用の図書館の鍵でした。
本来なら後宮からでることはできないのですが、図書館に通うときだけは特別に許可するというもの。
自由に本が読めることに、ヒュッレムは大喜びです。

 

その後も、続けざまにヒュッレムを所望する皇帝。

ヒュッレムが来るまで、その寵愛を受けていたヌール・ジャハーンはひどく荒れているのでは…と思いきや、意外と余裕の態度。
その理由は、なんとご懐妊してたから!

ヌール・ジャハーンが妊娠したことは、これまた瞬く間に後宮に広がりました。

母后は「それはめでたい」と喜び、第一夫人・ギュルババルは「何か贈り物をしなくてはね」とこちらも喜んでいます。
母后はわかるけど、第一夫人も喜ぶって…そんなもんなの?

 

その夜。
ヒュッレムはヌール・ジャハーンから手紙で呼び出されます。

そこで、ヌール・ジャハーンが数人の男たちに拉致されるのを目撃!
イブラヒムとシャフィークによって、ヒュッレムはすんでのところで難を逃れます。

 

暴れるヌール・ジャハーンを絨毯に包む男達。
その後ろには、第一夫人・ギュルババル。

なんと、ヒュッレムに届けられた手紙は、第一夫人・ギュルババルの手先による罠だったのです。
ヌール・ジャハーンには、ヒュッレムの名で同じように呼び出されていました。

その目的は、二人を処分…殺す事。
第一皇子・ムスタファのほかに皇子が生まれるのを阻止するためでした。

なぜなら、オスマン帝国では必ずしも長兄が帝位を継ぐわけではないから。
他に兄弟がいると、年齢は関係なく能力のあるものが皇帝に指名されます。
逆に帝位に就けなかった皇子は、皇帝となった皇子に殺される運命にあるのです。

つまり、第一夫人・ギュルババルの残酷ともいえるこの仕打ちは、第一皇子・ムスタファを守るためでもあるのです。
そりゃ、殺るわな。

 

イブラハムは、皇帝にたくさんの皇子を持ってもらいたいと願っています。
そのために、第一夫人・ギュルババルに対抗できる強く賢い女を探していたと。
それが、ヒュッレムだと打ち明けます。

表面上は穏やかに接している、第一夫人・ギュルババルの内面を知ったヒュッレム。
この後宮で一番に気を付けなくてはいけない、恐ろしい人物ギュルババルと知ったヒュッレム。

次巻から、二人のバトル開幕です!

 

【次巻】2巻:夢の雫、黄金の鳥籠




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