01巻:凪のお暇ー空気は読むものじゃなくて吸うものー

凪のお暇 1 (秋田レディースコミックスDX) [ コナリミサト ]

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朝の支度をすませ、会社に出勤。
駅で同僚2人組をみかけ、気が付かないふりをしつつこっそり遠ざかろうとするのですが…あっさり見つかり、一緒に会社に向かいます。

大島凪の口癖は「空気、読んでこ」。

電車の中でランチの話になり、お弁当を持ってきてはいるものの誘いを断ることができず。

会社で、同僚のミスを自分のせいだと思われて上司から叱られるのものの、何も言わず。

取引先の名刺のデータ化を押し付けられても、「了解」と笑顔。

そんな大島凪の毎日を一言で表すと、「なんだかなぁ」。




ランチ。
盛り付けの可愛さに盛り上がり、皆で写真をパシャパシャ☆
食べながら、将来の話になります。

ネイルサロンを立ち上げた友人から誘われているとか、ニューカレドニアに行ってきたけど海がきれいだとか、上司から無駄に気に入られる(←自慢?)から転職できないとか…「私、今とっても幸せです」話で盛り上がり!

探知タイムはデュエルタイム。
自分も何かカードを出さなくてはと焦っていると、「大島さんはどう思う?」と。

「ど、どうだろ。ぼちぼち?」と焦りながら答えると、「だからダメなんだよ、大島さんは」とサンドバックタイムに突入。

 

仕事が終わっての帰り道。
フェイスブックをチェックしながら「いいね」と押す凪。

家のポストに入っていた公共料金の金額が下がっているのを見て喜ぶも、今日あったいいことがこれだけとはと途端にガックリ。

 

部屋に入ると、そこには彼氏で同じ会社の営業部エースの我聞慎二が待っていました。

実は、人気者の慎二が彼氏であることが、凪の唯一の誇れるカード。
とはいえ、皆には内緒ですが…。

慎二と結婚すれば、「なんだかなぁ」な毎日も全部全部ひっくり返るのに…と思う凪。
でも、凪のサラサラストレートが、実はひどい剛毛であることを打ち明けられないという一線を引いている状態。

 

会社で、名刺のスキャンなどの仕事を押し付けてくる足立さん。
彼女のプレゼン企画が通り、部長をはじめとする皆から拍手を受けます。

部長の「仕事+αのクリエイティブな仕事をしてくれる」との評価に、「彼女に与えられた分の、誰にでもできる仕事を私に押し付けているうえでの成立では!?」と言いたい気持ちをグッと抑える凪。

 

夜。

「実家のお母さんが骨折しちゃって、様子見に行かないといけない」という同僚に仕事を頼まれる凪。
笑顔で「お大事にって伝えて」と言うも、実は何回もこの手で仕事を頼まれている。

わかっちゃいるけど、「空気、読んでこ!」

と…

他の同僚がスマホを机に置きっぱなしで忘れていることに気が付いた凪。
表示されたグループラインには、さきほど親が骨折したという同僚のコメントも…。

「わたし絶対、大島さんみたいになりたくなわー」というコメントに、凪も「わかる」と同意する悲しさ。

コピー機のインク切れの表示に備品室に向かう凪。
途中で通る営業部にいる慎二の顔を見れれば、今の気持ちも少しは持ち直せるかもしれない…と思うのですが、通りかかった営業部から聞こえてきたのは、慎二の容赦ない一言でした。

「アッチがいいから会っているだけ。節約系女子?俺、そういうケチくさい女、無理」

靴の音に、凪が聞いている事に気が付いた慎二。
「空気、読んでこ」と咄嗟に笑顔で取り繕うとする凪ですが、息が吸えずに過呼吸状態に。

そこで悟ったのは、「空気は読むものじゃなくて、吸って吐くものだ」

 

会社を辞め、都心2LDKから郊外の6帖ひと間のボロアパートに引っ越した凪。
服も家具もなにもかも断捨離。

不安がないわけではないけれども、空気はおいしい。

大義名分を得た節約ライフを糧にして、しばしお暇を頂くことにしたのでした。

 

夏日。

部屋にはエアコンがついておらず、日当たり良好な部屋だけに室内は蒸し風呂状態。
残高的にクーラーの購入は厳しく…エアコンの有無を確認しないで部屋を決めてしまった事を後悔。

「この部屋にいたらやばい」と外に。

ゴミ捨て置き場に転がっていた扇風機を発見し、一瞬持っていきたい気持ちになるも、「いやいや…人としてはそれは…」と後ろ髪引かれながらも、その場から離れます。

すると聞こえてくる、「終わってるっしょ、人として」という通行人の声。
声がした方を見てみると、自販機の釣銭を漁っている、ボロボロの洋服を着たおばあちゃんの姿。

おばあちゃんは釣銭の有無を確認すると、アパートの2階に。
なんと、凪の部屋の上の住民でした。

 

区立図書館にやってきた凪。
自己啓発系の本を手に、読書開始。

「自分の好きなものや今後やりたいことを、書き出していくのです」との言葉にゆっくり考えだすのですが…まったく何も書けないまま、時間だけが過ぎていきます。

 

夕方。
図書館が閉館したことから帰宅。

商店街を通っていると、昼間見たおばあちゃんが、パン屋さんでパンの耳をもらっていました。

自分のやりたいこと、好きな事が1日考えても何も書けなかった凪。
おばあちゃんの姿が自分に重なります。

絶望感にさいなまれていると、ベランダの方で上から何か物が落ちてくる影と音!

恐る恐る見てみると、おばあちゃんが来ていたももひき!

洗濯物が落ちただけでした。

 

洗濯物を手におばあちゃんに届けると、そのお部屋は見た目とは違いオシャレですっきり整頓されています。
しかも、室内にはホームシアター完備!

もらったパンの耳は、たっぷりナッツと胡桃が練り込まれたチョコポッキーに。「映画鑑賞のお供に最高なのよ~」というおばあちゃんの表情から、豊かな生活ぶりが見られます。

日々を工夫し楽しんでいる姿のおばあちゃんの姿に触発された凪は、今朝、ゴミ捨て場で見つけた扇風機を回収し、きれいに磨いた後は、黄色のラッカースプレーで色を付けて完成。
お部屋にひまわりが咲いたかのような出来栄えです。

扇風機とアイスノンで真夏の寝苦しさも克服した凪。

なりたい未来の自分像は見えないけれども、なんもないならなんもないなりに楽しんで過ごすことを決めるのでした。

 

母からの電話に、「ちゃんとやっているから大丈夫だよ」と嘘八百の報告。

惰眠に次ぐ惰眠…こんな姿を見たら、何と言われるかと考えていると、隣の部屋から聞こえる生活音。
いつもうるさく、大きな音です。

しかも、ベランダにもっさりと生えたゴーヤ。
食べごろのゴーヤが気になる凪でした。

「昼間から部屋にこもっているなんてろくな人じゃない!」と隣人に思いつつ、自分にも当てはまる事に気が付いた凪は、せめて外に出ようと散歩に行くことに。

が…

社会から断絶された感をが半端ない。

視線を避けるために人のいない方に進んでしまい、気が付けば路地裏で迷子。

「また空気、読んじゃってない?」とハッと我に返り、出口を探して歩き回ると、出たのは八百屋さんの前。
みれば、ものすごく激安!

さっそく野菜を購入するのですが…計算が違って400円も高値に。

レジ打ちは手打ちだし、混んでるし、ごねてると思われると恥ずかしいなぁ…と、また空気読み!

ハッと我に返り(本日2回目)、「こ、これ、計算違くないですか!?」と勇気を振り絞ってレジ打ちの女性に。

すると、意外にも「ごめんなさぁ~い!!」と慌てている様子。
しかも、周囲の人も笑ってフォロー。

 

これまでの自分だったら、絶対に見れなかったもの。
勇気だしてよかったと、部屋の窓から空を見ながら幸せな気分に浸る凪。

その時。
隣人(ゴンさん)が、煙草を吸う為に顔をにゅっと出してきて、思わず近い距離に。
思い切って、「ゴーヤ食べないんですか?」と話しかける凪。

「あっ、これ、ゴーヤなんだ」と、初めて知る様子の隣人。

なんでも、以前一緒に住んでいた女性が埋めたもので、なんとなく水をあげていたらどんどん育ったと。
本人曰く、「ゴジラみたいな実ができたなぁと思っていた」。

すると、食べ頃のゴーヤをハサミで切り、凪に。
黄色いゴーヤに「逝っちゃってんのかな?」と言うと、「食べれますよ」と二つに割って渡します。

知れて得したと笑顔を見せる隣人。

その笑顔に、「勇気を出してひとつひとつ選択していけたら、変われるのかもしれないな」と嬉しい気持ちになる凪でしたが、予期せぬ来訪者の登場に、そんな気持ちも吹っ飛びます。

なんと、元恋人・慎二が、会社の元同僚から住所を聞いて、わざわざ訪ねてきたのでした。

 

慎二は、凪の地毛である天パ姿を見ると、「ブスになったなぁ」。
その言葉に、過去のトラウマが思い出される凪。

子どもの頃、ひどい天パを友達にからかわれた思い出。

と…

隣に住む小学生の女の子が、凪をじっと見つめている事に気が付きます。

「こ、こんにちは」と声をかけるも、何も言わず、ただ凪の頭をじーーーっとみているだけ。
「怪しい人じゃないよ」と取り繕う慎二の言葉も無視して、そのまま部屋の中に入ってしまいます。

 

ご近所迷惑&立ち話もなんだからと、部屋に押し入る慎二。

何もない室内に大爆笑。
色を塗った扇風機に「これDIYってやつだろ?」と、これまた大爆笑。

どうしてこんなに人のこと、土足で踏みあらせるのかと放心する凪に構わず、酒のつまみを要求する慎二。

どうしてこんな人の言う事を聞いちゃうのかと思いつつ、もらったゴーヤと買ってきた野菜でつまみをつくる凪。

慎二が持ってきたお酒で乾杯。

凪が元気そうで安心した事、連絡が取れなくなって自分も傷ついた事、SNSをすべてやめてる事、辞めた部署の子らがギャーギャー騒いでいる事、そして凪のシンプルライフを応援すると、凪に抱き着いてくる慎二。

そんな慎二の態度に、どうしたら穏便に帰ってくれるのかとばかり考える凪。

慎二の「おまえ、この頭、変だよ。元に戻して前みたくちゃんとしろよ」という言葉に、凪の中で何かが背中を押しました。

「したら帰ってくれる?」と、あの時、営業部で聞いた会話を言う凪に、「男同士のノリっていうか、そういう空気があんだろ」という慎二。

あんな思いは二度としたくないと、「こっちの頭が地毛なの」と、付き合っている時に言えなかったことを打ち明けます。
そして、堰を切ったように、自分が思っている事を吐き出す凪。

断捨離なんて心の底からしたくなかったけど、卑しい今までの自分事全部捨ててまっさらになったらやり直せると思ったからと。

そんな凪に、「スベってんだよ」と慎二。

「スベっててもいい。ありのままの私を愛してくれなくていいから、今後一切、私に関わらないでください」という凪に、慎二は「徹底的におまえを監視してやる」と。

笑顔で部屋を出た慎二の顔は、駅に着く頃には涙でボロ泣き状態だったのでした。

 

そのまま寝てしまった凪。
気が付けば朝。
ゴミ捨てに出ると、昨日の女の子とバッタリ。

ぎくっと身構える凪に、「あたま、触ってもいいですか?」と聞く少女。
その意図がつかめず困惑するも、黙って頭を差し出すと…

「やっぱり!ふわふわのわんちゃんみたいで気持ち良い!いいなぁ、この髪の毛」

と、目を輝かせながらもふもふ触る少女。
凪の目に、うっすらと涙が…

出た言葉は「…わん」

絶対に変わりたいと、強く思う凪でした。

 

生きてるだけで減る貯金残高。

「ちゃんてやってるから心配しないでね兼干渉しないでね料」として、実家に毎月3万円の仕送りもあり、貯金残高は減る一方。

心が弱気になりそうですが、「おまえは絶対、変われない」と言った慎二の言葉を思い出し、腐ってないで行動せねばと職安にGO!

失業保険は無職の期間に受け取れる給付金。
貴重なライフラインとしてなんとしてでも受け取りたい…。

手続きをするなかで、辞めた理由である「一身上の都合により自己退社」について、具体的な理由を問われる凪。
抵抗はあるものの、話さないと受理されないということからも、長年勤めてきた会社が合わず、過呼吸に陥ってしまったと説明します。
すると、それを聞いた職員は…

「あーメンタル系ね。ほんと最近多いですよね。そうゆうの」

その言葉に、もやっとする凪。
しかも、他の職員から質問を受けたまま戻らず…。

あきらかに無駄話に展開。
変わらないとと勇気を振り絞って「じ、時間がないので急いでもらってもよいですか?」と声を掛けます。

「言えた!」と思っていると、隣の席から「だからそんなんじゃダメだって言ってんの!」という厳しい声が。
どの窓口も大変なんだなぁと思う凪。

と、隣の窓口にいた女性とトイレでバッタリ。
思い切って「こ、ここの職員さん、アクが強めですよね」と話しかけます。

凪の話しかけに、女性もニッコリ。
お互いに頑張りましょーと謎の同士感。

その帰路では、「みてろよ、慎二。あんたの呪詛なんか吹っ飛ばしてやる」と心に誓う凪でした。

 

雇用保険(失業保険)は、「働く意思はあるけど仕事がみつからない」人をサポートするものなので、職安で求人欄を検索するなどの姿勢をみせなければいけません。

検索していると、先日出会った女性(坂本さん)に声を掛けられます。

面接に落ちたと言いつつ、以前のように妥協して失敗したくない、自分に嘘をついて働きたくないと言う坂本に感動する凪。
話が盛り上がり、求活後にお茶をすることに。

 

楽しいお茶の時間のはずが、なぜか石を売られる凪。
いつのまにか、凪の両サイドには、同じ石を身につけた女性が…。

強く出れないのは、この笑顔が崩れる瞬間が怖いから。

昔、慎二から言われた「俺が声をかけるほうだったら、凪に声をかけるもん。なめられてんだよ」という言葉を思い出す凪。

次の瞬間、「いらないです」と告げると、お茶代を置いて店から一目散に撤退。

かばんを忘れた事に気が付き振り返ると、そこには凪のカバンを持って追いかけてきた坂本さんが。

そして、本当に自分はこの石のおかげでいろんな事に前向きになれたと。
でも、こうゆうことをしていたら友達が一人もいなくなったと、涙をぽろぽろ。

謝り去りかける坂本を、とっさに腕をつかんで引き留める凪。

出た言葉は、「その石に興味はないし絶対にいらないけど、そうゆの抜きでならまた会ってお話しましょう」という凪。
凪の言葉に、「ありがとう」と言う坂本さんでした。

 

朝。

ゴミ出しの際にお隣のゴンさんとバッタリ。
朝のあいさつを交わしていると、ゴンさんの部屋からは仲間がぞろぞろ…。

なんとゴンさんは、イベントオーガナイザー。
DJ、ダンサー、VJ(ビデオジョッキー)の仲間と共に、次回のクラブイベントの打ち合わせをしていたとの話に、「パーティーピープル系だ!」とそのリア充ぶりに汗する凪。

 

公園でのおしゃべりタイムに、さっそく坂本さんに聞いてもらいます。
「私の中で世界一チャラくてうさんくさいイメージの職業です!!」と興奮。

凪が持ってきたお茶で一息つかせると、今度は恋バナに。

慎二との事を「手酷くやられたばかりだから」と、しばらく恋愛はいいやと言う凪に、「そんな時こそ、新しい恋じゃないですか!」と目を輝かせて迫る坂本さん。
凪の頭にゴンさんが浮かびますが、速攻で打ち消します。

 

帰宅後、洗濯機を回そうとお風呂の残り湯を洗濯機まで吸い上げる万能節水ポンプがパキッと折れてしまいます。

その逆境に燃えてしまい、一人バケツリレー。
その姿を、ちょうど帰宅したゴンさんにがっつり見られます。

「今回は水道水で洗濯して、新しいポンプを買いに行った方が効率よくない?」というゴンさんの言葉に、ハッと我に返る凪。
そんな凪の姿に、「おもしろいよね、相当」と近づくゴンさん。

と…

その間に、「なに口説いてんの!」と仲間のダンサーが割り込み!

「そんな暇があるならイベントの前売りさばいてよ」というダンサーの言葉に、思い出したようにイベントフライヤーを凪に渡すゴンさん。

でも、そのイベントフライヤーは簡素な作りすぎて、凪には会場へのアクセスがわからず。

普段スーパーのチラシしかみないので勝手がわからないという凪の言葉に、大笑いのダンサーとDJ。
その様子に思わず、いかにスーパーのチラシが丁寧でわかりやすいデザインなのかを熱く語る凪。

そんな凪の言葉に、納得顔のゴンさん。
「俺らはそこらへんを改良すべきなのかもな」と、お礼をいいつつ凪をぎゅっとハグ。
仲間と共に部屋の中に消えたのでした。

再び洗濯に取り掛かる凪ですが、頭の中では「たぶん回っちゃダメなやつ。この恋の歯車は」と顔を真っ赤にしながら、気持ちを落ち着けようと一生懸命。

 

その頃…

慎二は部長に連れられて来た夜の店で、凪に似た女性を口説いていました。

でも、「もういいんじゃないの、そのノリ。みんな酔いつぶれちゃったし」と、慎二の心がここにあらずは見抜かれていました。

酔い気味の慎二は、「彼女と別れちゃったんだけど、まだそいつのことメッッッチャ好きなんだわ~」と愚痴るのでした。

 

【次巻】2巻:凪のお暇




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