ヴァニタスの手記(4) (ガンガンコミックス JOKER) [ 望月淳 ] 価格:627円 |
ヴァニタスとノエを見失ったローランたちは、本部に「銀髪の吸血鬼と黒髪の人間が侵入した」と報告します。
そして再び、捜索に!
地の利は狩人(シャスール)にあると意気込みますが、地下を守る自動人形や罠が次々と誤作動を起こし、ローラン達狩人を襲います。
まるで狩人たちが狩られているような…。
自動人形や罠がローランたちを襲うのは、ヴァニタスの仕業。
動かす元となるアストルマイトに干渉し、式を書き変えローランたちを邪魔していたのでした。
それにしても…と不思議に思うノエ。
地の利に長けている狩人を翻弄していること、モローという男の目的は何なのか?
そしてノエとの関係は…?
そんな疑問が顔に出ているノエに、ヴァニタスはため息をつきながら淡々とその答えを口にします。
ヴァニタスの両親は吸血鬼に殺された。
自分は吸血鬼から助けたのは教会で、狩人の教育を受けている頃にモローに目をつけられ、研究材料にされてしまった。
ずっと地下迷宮にいたから詳しい。
…まるで他人事のように語るヴァニタスに、ノエは「吸血鬼を憎んではいないのですか?」と問いかけます。
ヴァニタスは、「どちらも身勝手な生き物だ」と。
その表情にイラッとするノエ。
思わず大声を出してしまい、それに気が付いたローランたち狩人がやってきます。
挟み撃ちにされますが、隔壁を使ってローランが来れないようにし、近くにいた狩人(マリア)に一撃を食らわせて気絶させます。
気絶したマリアを抱えたヴァニタスは、ローランと戦わずにモローのところに辿り着かなくてはいけないと説明。
その手段として、マリアを人質にすると。
「そんなことをしたら、ローランとの話し合いができなくなる!」と人質案に断固反対のノエ。
そんな考えはおめでたいと怒鳴るヴァニタス。
ついには、ノエ(吸血鬼)に対して言ってはいけない蔑称まで口に…。
その言葉に切れるノエ。
前言撤回とばかりに、ヴァニタスを人質にローランたちのところに登場です。
完全にぶっつん切れているノエに、こいつはやばいとローランに助けを求めるヴァニタス。
ノエはヴァニタスを大きく投げ飛ばすと、まずはローランの部下を一撃!
続いてヴァニタスを受け止めたローランに一撃をくらわします。
ヴァニタスを抱えている為、攻撃できず守りの体制をとるのが精いっぱいのローラン。
ノエは、一撃を食らって倒れ込んだローランの両腕をぐいと自分の方に引き寄せると、「はじめまして、ローラン!」と間髪入れずに話を聞いてほしいと訴えました。
そこにマリア達が駆け付け弓を構えますが、ヴァニタスの「ドクター・モローは生きている!」という言葉に皆が動きを一斉に止めます。
ようやっとヴァニタスとノエの話を聞いてくれたローランたち一行。
半信半疑のマリアとは逆に、「納得がいったよ」とローランは全面的に聞き入れています。
「モローの名前を最初から出せしていれば、こんな面倒な事にならなかったのでは?」と言うノエに、「オレの事を説明しなくちゃいけないくなるから嫌だった」とふてくされた様子で答えるヴァニタス。
ぎゃあぎゃあと言い合う二人の様子を見つめるローランは、これまで接してきたのは凶暴な吸血鬼と正反対な様子に思わず笑みがこぼれます。
そして、二人についていくと宣言。
その言葉に、「わかってもらえた!」と喜ぶノエでした。
ドクター・モローの人物像について語るローラン。
元は高名な生理学者だったが、スキャンダルを起こして学会を追放され、ここフランスで教会に迎え入れられたと。
狩人の庇護下で吸血鬼の研究を始めるものの、途中からは吸血鬼を生み出す研究に手を出した危険人物なのだと。
ヴァニタスを先頭にドクター・モローの研究所に向かう一行。
ローランたちも知らない隠し通路を通り辿り着いた研究所の扉を開けると、クラッカーを鳴らして歓待するドクター・モローの姿が。
サイドには、全身フードをかぶった人物が控えています。
「おかえり!ぼくのNo.69君!」
と、ヴァニタスを番号で呼ぶモロー。
それに対して、ヴァニタスも「またお会いできて光栄です!」と笑顔で駆け寄ります。
そして、ローランたちを「彼らはドクターの賛同者です」と紹介。
その言葉に感激したモローが手を叩くと、それまで隠れていた強化人間が姿を現しました。
「お客様をもてなす準備だよ!」と、お茶会がスタートです。
「あの男はおだてて調子にのらせた方が、聞いてもいないことまでペラペラしゃべりだす」というヴァニタスの言葉に、とまどっていたノエも納得。
まずはモローが自己紹介をしたところで、ローランが「なんのために吸血鬼を生み出そうとしているのですか?」と笑顔で質問。
その質問に、「ぼくはね、いつか吸血鬼になりたいんだ」と顔を真っ赤にして答えるモロー。
そして、これまでの事を語り始めます。
教会に声を掛けら吸血鬼の研究に協力しはじめたのは、ほんのささいな好奇心から。
でも、知れば知るほど吸血鬼の進化が、新たな人類の進化に思えてきてならない。
世界を変えた“混沌(バベル)”は、進化のために必要な儀式だった。
いいなぁ、うやらましいなぁと地団太を踏み始めるモロー。
やがてそれは怒りに代わり、異常者扱いして追い出した協会を罵倒します。
…と、今度はヴァニタスに向き、「蒼月の吸血鬼が研究所を遅い、君たちを奪っていった後は大変だったんだからね!」と。
「それはそれは、申し訳ありませんでした…」と応えるヴァニタスに、「君は優秀な実験体だった!」と当時のおぞましい話を口にします。
そして、「今はあのお方のおかげで研究ができて、本当にハッピーなんだよね」と、気になる情報をポロリ。
そして取り出したのは吸血鬼の眼球のホルマリン漬け。
吸血鬼が死を迎えた瞬間、心臓から灰化がはじまるので、その前に必要な部位は切り落としておく必要があるのだと説明します。
「連れてきた吸血鬼はどうしているんだい?」と問うローランに、「ほぼ全員ダメにしちゃったよ」と悪びれることなく答えるモロー。
さらに、ヴァニタスの瞳の色が当時と変わっている事に気が付き、片目をえぐり取ってしらべてもいいかなと迫ります。
伸ばしかけた腕を、怒りの形相で使うノエ。
ヴァニタスが止めるのも無視し、モローを投げ飛ばします。
反応した強化人間には、すかさずローラン達が応戦。
ヴァニタスはこれまでの態度をガラリと変え、モローにナイフを当てて情報を無理やり引き出そうとしますが、舞踏会でルカを殺そうとした謎の男がモローを奪い去ります。
さらに、別部屋で眠っていた呪持ちが起きてしまい、激しく扉をたたいて出てこようとします。
逃げるモローと謎の男を捕まえようとヴァニタスの手記を構えるも、「No.71はどうしているんだい?」という言葉に動きを止めるヴァニタス。
脳裏に、少年の姿が思い浮かびます。
ボー然とするヴァニタス。
強化人間に襲われそうになったヴァニタスを救い、その顔を見てたノエは異変を察知します。
と、同時にはげしく叩かれていた扉がぶち破られ、中から異形の姿をした吸血鬼が登場。
想像以上の姿に動揺しつつ、ローランたちが応戦します。
「動けないなら下がっていて!邪魔です」と怒鳴るノエの言葉に我に返ったヴァニタスは、「禍名・影法師」とその正体を伝えます。
影法師については蒼月の吸血鬼から聞いた名前でした。
回想シーンでは、蒼月の吸血鬼を「お父さん」と呼ぶ少年もいます。
影法師は吸血鬼の影が実体化したもので、自分の影が意志をもったようにうごめきだし、どんどん肥大化して吸血鬼自身も飲み込んでしまう。
自ら生み出した吸血鬼の生気を食い尽くすまで、手あたり次第に殺し食らいつくすと。
影の中に呪持ち自身が取り込まれているから、そいつを引き出さないとダメだというヴァニタス。
ノエは、影法師の口の中に入り込んで倒すことを提案すると、ローランたちの援護の元、口の中に。
そして、真っ暗な空間の底にいる呪持ちを見つけると、逆演算で解放します。
闇が晴れたようにあたり黒い影はなくなり、飲み込まれたものが周囲に散乱。
「死ぬかと思った!ちょっとなめてました!」と助られた事で安心するも、研究所の壁が崩れ始め、慌ててその場から退却します。
無事に脱出した一行。
ローランは仲間のマントをノエとヴァニタスに渡すようにいい、マリアに道案内を依頼。
救出した吸血鬼の身柄はオルロック伯爵に引き渡すように手配するから、二人は逃げなさいと。
その後、ローランの元に仲間の聖騎士・オリヴィエが駆け付けます。
嬉しそうに「吸血鬼の友達ができたんだ!」と語るローランに、頭をかかえるオリヴィエ。
「他の狩人に知られたら…」と怒るオリヴィエに、人間と吸血鬼は絶対に分かり合えないという、これまで信じてきた常識が覆されたと。
ドキドキが止まらないと興奮状態です。
そんなローランの姿に、「あの男が信じているのは厳密には、神を信じている自分自身だ。面倒なことになるぞ…」と。
一方、逃げたモローたち一行は、モローの研究を保護していた者の所に。
モローは研究所を爆破されたショックで大泣き状態。
フードをかぶった不気味な仮面の男は、「あの吸血鬼(ノエ)がいなければ!」と怒りをにじませながら怒鳴ります。
…と、その部屋の主が「少年については私の方で手をうとう」と。
なんと、モローの研究を保護していたのはルスヴン卿だったのです。
一夜明けた朝。
アメリアがヴァニタスにカードを渡します。
眠りこけるノエをそのままに、そそくさと出かけるヴァニタス。
ベッドから落ちた状態で寝ていたノエを起こしたのは、ルスヴン卿でした。
一瞬で目が覚めたノエは、ルスヴン卿に誘われて老舗でティータイム(貸し切り)。
「君とゆっくり話してみたかった」と言うルスヴン卿。
自然とノエの先生の話になります。
実は、ノエの先生については謎が多く、一体いつから吸血鬼として存在しているのかさえ不明。
ただ、誰よりも早く、長く、女王陛下の側に仕えていると。
何か要職につくわけでもなく、悠々自適に田舎暮らし。
名前と姿をコロコロと変えていることからも、「貌(かたち)持たざる者」と呼ばれているのだと、ノエも知らなかった話にびっくりです。
ルスヴン卿との話していることで、「まるで先生と一緒にいるようだ」と言うノエ。
それもそのはずで、「まだ人間と吸血鬼が憎しみ合っていた頃、先生をしていた」と告白するルスヴン卿。
でも、生徒は皆殺されてしまった…と。
ルスヴン卿は、「キミは吸血鬼の見方か?それとも人間の味方か?」と問いかけます。
「どちらも好きだ」と答えるノエに、しばらく考えた後にルスヴン卿は「君はダメだ」と言います。
その瞬間、急に苦しくなるノエ。
ルスヴン卿がノエの首元に噛みつきます。
何が起こっているのかわからないノエ。
ルスヴン卿は血を吸うと、「ただ一度、私が望む時、いかな命であろうともそれに従う事を誓え」とノエに要求します。
ノエが言われるがままにルスヴン卿の言葉を反復すると、そのまま気を失ってしまいます。
と、それまで隠れていた仮面の男があらわれ「なぜ殺さない!」と詰め寄ります。
ルスヴン卿は、「貌持たざる者…あの化け物が何のために“血を暴く牙”を手元に置いていたのかわからなぬ以上、手駒として生かしておく方が得策だ」と答えます。
その頃、ヴァニタスはカードの差出人でるジャンヌの元に。
ジャンヌがヴァニタスを呼び出した理由は、デートのお誘い。
あなたの事を好きになってしまったのかもしれないから、確かめさせてほしいと恋する乙女の瞳で訴えます。
それに対して、ヴァニタスは侮蔑を込めた表情。
でも、ジャンヌはその表情に確信を得ます。
この方法で間違いなかったと!
時をさかのぼる事数日前、ジャンヌはドミニクに「ヴァニタスに嫌われるにはどうしたらいいのか?」と相談していました。
そこで得たのが、「すきになったふり」。
以前、ヴァニタスが「自分の事を好きになるような奴には興味がない」と言っていた事からでした。
そして始まるデート。
歩き始める二人をこっそりとつけるドミニク。
さらには、そんな3人の様子にネタをみつけて尾行に加わるダンテ。
ヴァニタスのちょっとした優しさに顔を真っ赤にするジャンヌ。
まるで少女漫画のような二人の行動に、ドミニクもダンテも引き気味です。
ジャンヌは普段できないパリの街を堪能。
が、慌てて我に返ります。
「これはヴァニタスと縁を切る為のデートなの!!」と必死に自分を鼓舞。
そして夕方。
公園で休んでいると、ヴァニタスが「ちょっとトイレ。戻ってきたら、君の答えを聞かせてもらうおう」と言い残し、その場から姿を消します。
ジャンヌは、失敗しないように「あなたの事が好きなの」と言う練習をしますが、先ほどは普通に言えた言葉がなぜかとんでもなく恥ずかしい。
「なんで!?」と思っていると、それを隠れてこっそり聞いていたヴァニタスが「オレも好きだぞ」とひょこっと登場。
聞かれていたこと、さらには思っていた反応とは違う事に、取り乱すジャンヌ。
…と、近くで男の子が転んでしまいます。
「大丈夫?」と駆け寄ったジャンヌですが、転んで傷から血を流す姿に吸血欲求が出てしまいます。
とっさにヴァニタスが自分の腕をかませ、ダンテの煙幕で近くの無人の家に逃げ込みます。
噛んだところから流れる血を、舐めるジャンヌ。
その様子に、「君は呪持ちなのか?それとも血液依存症なのか?」と問いかけます。
言いかけた言葉が出てこないで苦しむジャンヌの様子から、「誰かにそれを口外することを禁じられているのか?」とさらに問いかけるノエ。
ジャンヌの脳裏に「誓え」と手をかざす黒影。
酷い喉の渇きに、ヴァニタスから血を吸います。
が、いつか自分はルカさえも傷つけてしまうのではないかという恐怖心から、涙がこぼれ落ちます。
ヴァニタスはそんなジャンヌに、「その時は、俺が君を殺してやる」と言います。
煙幕で二人の行方を見失ったドミニクとダンテは、手分けして捜索。
見つからず諦めかけたダンテは、ふいに「どうしてそこまで業火の魔女(ジャンヌ)の事を気にかけるんです?(ヴァニタスと)くっついてくれたほうが都合がいいんじゃねえの?」といいます。
その言葉に真っ赤になるドミニク。
と、近くにいた男のにぶつかってしまいます。
慌てて手を貸すと、男の子の手が義手であることに気が付きます。
その瞳は、ヴァニタスと同じ蒼。
少年の名は「ミハイル」。
ニッコリ笑うと、「ミーシャって呼んで、おねえちゃん」と笑いました。
次巻に続く!
【次巻】5巻:ヴァニタスの手記
【前巻】3巻:ヴァニタスの手記