二瓶の相手をしながら、「何やってる!早く銃を拾え!」と白石に怒鳴る杉元。
銃を持っているのはリュウ。
リュウは銃を取ろうとする白石から必死に守ります。
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なんとか銃をリュウから奪うも、アシㇼパが谷垣に捕まってしまい、二人は縛り上げられてしまいます。
二人の悲鳴を聞かせるわけにはいかないと、谷垣にアシㇼパを遠くに連れて行くように言う二瓶。
その隙に、白石得意の縄抜けで脱出。
アシㇼパを奪還するべく走ります。
アシㇼパを背負って遠くに移動する谷垣でしたが、途中で他のアイヌが仕掛けた罠にはまり、毒矢を足に受けてしまいます。
「アイヌの毒に解毒剤はない」として、谷垣の脚の肉をえぐるアシㇼパ。
なんとか命を落とさずにすみます。
応急処置を施したところで二瓶が追いつき、谷垣が仕掛け弓にかかったことを知ります。
「私たちは殺し合いをしたいわけではない」というアシㇼパですが、まったく聞く耳をもたない二瓶。
谷垣にここで待っているようにというと、今度は二瓶がアシㇼパを人質として背負って走り出します。
レタラがアシㇼパになついていることから、アシㇼパを人質にレタラを誘い出す作戦です。
周囲を見渡せる広い場所に来た二瓶。
アシㇼパを木につるし上げ、レタラが来るのを待ちます。
と…
真正面から走ってくるレタラの姿が。
「なんと…本当に来たぞ。しかも正面突撃とは」と驚く二瓶。
狙いをレタラに定めますが、照準がさだまらないよう右に左へと向きをかけて走ってくるレタラの知能に、さらに驚く二瓶。
レタラは二瓶に飛び掛かると、二瓶がかばうように前にした腕にかみつきます。
腕をかまれて「うおおおっ!」と叫びながらも、もう片方の手で銃口をレタラに当てる二瓶。
「俺の勝ちだ」と引き金を引こうとした瞬間、背後からもう一匹のオオカミが二瓶に飛び掛かり首元にかみつきます。
レタラに近寄るもう一匹は、レタラのつがいでした。
しかも、離れた場所には子どもの姿も。
突然の思いがけない結果に、「女房にとっちゃ、男同士の勝負など知ったことではないか…」と満足したように息を引き取る二瓶。
駆け付けた杉元、白石の手によって木から降ろされるアシㇼパ。
レタラは家族と共に、また森の中へと戻っていきます。
そこに、杖をつき苦しい表情で追いかけてきた谷垣の姿が。
二瓶の死を確認すると、「コレヨリノチノ ヨニウマレテ ヨイオトキケ」と、熊を成仏させるために引導を渡すマタギの唱え言葉をかけるのでした。
アイヌの言い伝え
二瓶の刺青をとり、重体の谷垣、リュウをつれてコタンに向かった一行。
フチ(祖母)や叔父との時間を過ごします。
「がんばれよ。お前たちに強さは聞いている。きっとよくなる」と優しい声掛けと、手厚い手当て、そして皆のあたたかな雰囲気に警戒心が溶けていく谷垣。
故郷を思い出してか、涙がうっすらと浮かびます。
鮭のルイペに「うまいっ!」と感動していると、フチが鮭にまつわるアイヌの言い伝えを話し始めます。
その話はアシㇼパも初めて聞く話で、集められた金塊についてでした。
話の内容から、のっぺら坊から聞いていた以上の量があると気が付く白石。
話を聞いていた谷垣は、「桁がちがう」と囚人が聞かされている千倍はあると教えます。
その量は2万貫(75トン)。
その途方もない量に、白石が真顔で後ろに転がります。
アシㇼパの父親を含む殺されたアイヌたちの遺体が見つかったのが苫小牧。
逃げるのっぺら坊が捕まったのが支笏湖。
のっぺら坊は追い詰められてアイヌ漁師の丸木舟を奪い、対岸に逃げようとしたものの、金塊の一部を持っていたために重みで転覆したのではないといわれています。
支笏湖は国内でも2番目に深い湖になるため、確かめることができません。
旅順攻囲戦
囚人刺青をみながら、「地図なのかなぁ」とつぶやく杉元。
杉元がもっている囚人刺青は、酔っぱらって女房と子供を殺した後藤のおっさんだと、記憶から思い出す白石。
そして、蕎麦屋で暴れていた男は「不敗の牛山」だと推測。
二瓶と同じくらいにやばい囚人で、師匠の奥さんを寝取り、それに怒った師匠と門下生10名で制裁を加えようとするも、師匠は殺され門下生は皆が重症と全員を返り討ちする剛腕の持ち主だと話します。
さらに、津山というやばい奴がいると話し始めたところ、谷垣が「そいつは我々が殺した」と鶴見中尉が持っていることを教えます。
それをきっかけに、なんでわざわざクーデターなんかおこすのかと問う白石。
谷垣の代わりに、「旅順攻囲戦だろう」と答えたのは杉元でした。
旅順攻囲戦とは、ロシア軍の旅順要塞に苦戦していた大本営が早期後略をせかし、最強師団と言われていた第7師団を投入した戦い。
情報将校だった鶴見中尉は二〇三高地後略に否定的だったのものの、命令を無視することはできず、死んでいく戦友を弾除けに使いながら堡塁の機関銃を破壊。
二〇三高を占拠することに成功した小隊長です。
ただ勝利はしたものの、1万いた将兵は半分以下に。
作戦の参謀長だった元第7師団長・花沢幸次郎中将は、手柄を立てたいがために多くの将兵を戦死させたと揶揄され、自責の念から帰国後に割腹して死亡しています。
政府内部では、花沢中将が自刃したのは部下たちの落ち度として、勲章や報奨金を出さないばかりか、陸軍の中でも格下げと冷遇されることになりました。
そうした政府の対応を受け、鶴見中尉は部下たちに、軍事政権をつくり自分が上に立つことを宣言。
金塊を分け合うのではなく、武器工場の資金にし、北海道の資源を使って高品質な兵器をつくり、安定した仕事と生活を与えるとします。
「お前らが何のために金塊を見つけようとしているのかは知らんが、鶴見中尉が背負っているものとはおそらく比べ物にならんだろう」という谷垣でしたが、あきらめる気はさらさらない杉元。
場を離れた際、「ほだされてんじゃねーだろうな」という白石の言葉に、「あれだけ大暴れして部下を殺してるんだ。今さら協力し合う選択肢はねぇし、かといってゆずる気もねぇ」ときっぱり否定します。
土方の襲撃
鷲を捕まえ、その羽でお金を得た白石。
金塊を見つけるため、聞き込みとして遊女のところに行きますが、そこで牛山とバッタリ。
ちょうど欲求不満状態の牛山を連れて土方一行が町に下りてきていたのでした。
とっさに逃げる白石。
追いかける牛山!
牛山を止めるため、遊女を痛めつけた犯人を捜している用心棒?をけしかけたり、雪の塊などを崩したり、馬をけしかけて止めようとしますが、牛山はノーダメージ。
手がなくなり捕まりそうになった時、第7師団と遭遇。
変な刺青をしている男に追われているとけしかけます。
その牛山と第7師団の間に、今度は土方一行の仲間が牛山を助けるべく参戦。
現場は銃と手投げ弾でカオス状態に!
そして、仲間の一人が牛山を馬に乗せるとその場から立ち去ります。
駆け付けた鶴見中尉は、離れた場所からも爆発の音が聞こえたことから、この場の騒ぎは陽動作戦であることを悟ります。
その頃、土方は銀行を襲撃していました。
お金の他、目当ての刀「和泉守兼定」を手にします。
駆け付けた鶴見中尉が見たのは、馬に乗って走り去ろうとしている土方です。
「土方歳三!!」と叫び発砲するも、土方の帽子を打ち抜いただけ。
土方も一発撃つと、悠々と立ち去ります。
その頃、ボロボロになりながらもうまく逃げおおせた白石。
目当ての遊郭にて、前もって遊女に頼んでいた件がどうなったのかを確認。
「ああ、こっそり替えておいたよ」という言葉にニンマリ微笑みます。
つがい
森の中でエゾフクロウのつがいをみつけた杉元とアシㇼパ。
ぎゅうぎゅうによりそっている姿と、一生同じ相手と暮らすという話に、杉元は「一途だねぇ~」。
もし片方が死んだらどうするのかと聞くと、アシㇼパは「その時は子孫を残すために別の相手を見つける」と答えます。
「…きれいごとだけじゃ生きていけねぇもんな」と、思い出すのは親友の寅次が結婚した日のことです。
生まれ故郷に数年ぶりに戻った日、ちょうど梅子と寅次の結婚式がおこなわれていました。
夜、元自宅があった場所で火をおこし暖をとっていると、そこに袴姿の寅次がきます。
「なんで戻ってきた!」とつかみかかる寅次。
「今頃になって梅子を連れて行く気か!梅子は俺の女房だ」と背負い投げをかけますが、逆に一本取られます。
「結婚おめでとう、寅次」という杉元に、またつかみかかる寅次。
これまでの思いをぶつけます。
時は流れ、戦場で肩を並べる二人。
杉元に、不安な心から梅子にバカなことを聞いてしまったと謝る寅次。
結婚式の日、梅子も杉元が帰ってきていた事を知っていました。
「佐一が戻ってきたらどうする?佐一がお前を連れて行ったら…」と、不安そうに聞く寅次に梅子は「その時は佐一さんをぶっとばしてください」ときっぱり。
そして優しく微笑みながら「それでもまた寅ちゃんが負けたら…先に家に帰ってご飯を作って待っています」と答えます。
そんな梅子の言葉に、「…変わってないな梅ちゃんは」と杉元も優しく微笑みます。
キツネの罠を見に向かう杉元とアシㇼパ。
杉元は「キツネ…どんな味か興味がでてきたぜ」と、まずは生きねばならないと決意を新たにします。
そんなキツネの罠にかかっていたの白石でした。
レタラを貸してほしいとお願いする白石ですが、「レタラは私のものじゃない」ときっぱり断るアシㇼパ。
先日のことからも、レタラを巻き込みたくないという強い気持ちもありました。
ヒグマが冬ごもりの巣から出てきているかもしれないから見に行こうというアシㇼパに、ビビる杉元と白石。
ヒグマはタヌキを襲わないという話に、「なんだか猛烈にタヌキが食べたい!」「たぬき捕ろうぜ!」と力説する二人。
タヌキの捕獲では白石によって逃げられるものの、いつの間にかついてきていたリュウが捕獲。
さらに、ヒグマが狩って雪をかけておいた小鹿も発見。
この獲物は手を出すとヒグマに襲われるという話に、「なるほど…レタラじゃなくてもいいのか…」と何やら考えている白石。
コタンに戻ると白石は、自分の考えをさっそく実行します。
谷垣からリュウを服従させる方法を教わり、持っていた靴下の持ち主をリュウの鼻で捜索。
そして、目当ての人物…牛山の居所をつかみます。
矛盾する殺人
刃物で首を掻き切られた死体や斧で頭を割られた男の死体など、多数の他殺体が発見された話を聞いた土方一行。
その犯人は元囚人で、刺青人皮の持ち主である辺見和雄であることを確信します。
辺見は日本各地を放浪しながら百人以上も殺してきた殺人鬼で、捕まえるのはちょっと面倒だと話す牛山。
こっそり窓から聞き耳を立てていた白石ですが、みつかって捕まってしまいます。
「どうする?白石…」と、自分たちに協力するかどうか問う土方。
他に仲間がいることを問われると、不死身の杉元と行動を共にしていることを話します。
コタンに戻った白石は、あちこちの漁場でヤン衆が殺されてること、その犯人が辺見和雄で間違いないことを杉元とアシㇼパに話します。
その決め手は、殺した死体の背中に文字を入れている事。
杉元とアシㇼパも山の中で数本の包丁が刺さった死体を発見しており、その背中には「目」と記されていました。
ちょうどアシㇼパの叔父がクジラを狩るために海岸に行っていることからも、心配したアシㇼパは「海に行こう!」と杉元と白石を連れて向かいます。
海に向かいながら、辺見について話す白石。
見た目はごく普通の男で、礼儀正しく人当りもいい。
白石もすぐに打ち解けたけれども、看守から「辺見にとって人殺しは息をすると一緒だ」と聞かされます。
さらに、辺見が人を殺すようになったきっかけ…弟がイノシシに襲われて死んだときの話を本人から聞きます。
金塊に興味がなく、用心深く移動しながら殺人を行うのに他の囚人をおびき寄せるような真似をすることに矛盾を感じる杉元でしたが、極悪人の方が遠慮なく皮をとれると考えるのをやめます。
海に着いた3人。
「良いところに来てくれた!」と気が付いたアシㇼパの叔父によって、クジラ漁の助っ人ととして船に乗せられます。
クジラにキテを見事命中させた杉元ですが、逃げるクジラに引っ張られ、進んだ先には漁船!
クジラにびっくりした漁師が一人海に落ちてしまい、杉元は救助に。
白石はそのままクジラの捕獲にと二手に分かれます。
引っ張り上げた漁師は、まさかの辺見。
「ありがとう…海に落ちて死ぬなんて、こんなに死に方…絶対イヤだ。こんなつまらない死に方…」と寒さに震えながら言うのでした。
次巻!