杉本とアシㇼパの他、囚人、第7師団と三つ巴による金塊争奪戦。
杉本とアシㇼパが出会い共闘を結び、囚人では土方歳三、第7師団では鶴見中尉とそれぞれの親玉も登場し、いよいよ本格的なサバイバルが始まります。
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仮小屋でアシㇼパが作る料理に味噌を入れようとした杉本。
アシㇼパは味噌をオソマ(ウンコ)と勘違いし、「うわぁ、ウンコ食べて喜んでるよ、この男」とドン引きしています。
アイヌに味噌というものはなかったんですね。
翌朝、仮小屋を出てヒグマの巣をみつけた二人。
杉本は、「ヒグマはと巣穴に入ってきた人間を決して殺さない」とアシㇼパから教わりますが、絶対に入りたくないと心の中でつぶやきます。
と、二人がいた仮小屋の方向からキラリと何かが反射。
杉本は「双眼鏡だ!」と気づくや、アシㇼパを抱えて一目散にその場から走り出しました。
仮小屋にいたのは第7師団の兵士4名。
尾形上等兵の言葉「ふじみ」から、該当する人物を捜索していました。
仮小屋に人がいた気配からアイヌの親子がいたのかと思うも、杉本たちの姿を確認するとスキーで追いかけます。
このままでは追いつかれることから、杉本はアシㇼパに刺青人皮を持たせ、二手に分かれることに。
杉本が持っていたら即殺されるけれども、何も知らないふりをしたアシㇼパなら殺されることはないと考えてのことでした。
二手に分かれたことを知った第7師団の追跡グループも二手に。
谷垣一等卒が木の上に上っていたアシㇼパをみつけます。
言葉が通じないかもしれないと、身振り手振りで降りてくるように伝える谷垣。
谷垣は「取って食ったりはしないから、おりておいで」と表情もやわらげ、「用があるのは君の連れだ。お兄さんかい?お父さん?」と、アシㇼパが優しく木から降りるのを手伝います。
ところが、振動から木の枝にひっかけて隠していた刺青人皮が落ち、谷垣に見つかってしまいます。
同時に、日本語がわかることも…。
一方、杉本はアイヌの子供に道案内をさせていた密猟者を装うものの、「不死身の杉本」の異名からバレてしまいます。
あわや殺されると思いきや、とっさに後方にあったヒグマの巣に飛び込む杉本。
アシㇼパが教えてくれた通り、ヒグマは巣に入ってきた杉本を殺しはしませんでしたが、外にいた3名の兵士を惨殺。
ヒグマも抵抗した兵士に殺されてしまいます。
難を逃れた杉本がアシㇼパを探すと、そこには先日助けてくれたエゾオオカミ、レタラが一緒にいました。
その近くには、脚を折られた谷垣が倒れています。
すんでのところでレタラがアシㇼパを助けてくれていたのでした。
アイヌコタン
杉本の姿をみたレタラは、また森の中へと去っていきました。
倒れている谷垣を「死んでいるのか?」と問う杉本に、アシㇼパは強そうな男だからほっといても大丈夫だろうと、「もう死んでいる」としてその場に放置。
そして、アシㇼパは杉本がこっそりと隠していた子熊を見つけると、「猟で子熊を捕まえたら、村で大切に育てる風習がある」として、アシㇼパが生まれ育ったコタン(村)に寄ることを提案します。
村に到着した杉本は、アシㇼパの祖母・フチに温かく迎え入れられます。
祖父は数年前に病気で亡くなり、母親はアシㇼパが生まれてすぐに病気で亡くなっていることからも、祖母と二人暮らしでした。
フチは杉本に「この子を嫁にもらってくれ」と伝えますが、アイヌ語なので伝わらず。
何と言っているのか聞く杉本に「うんこ食べちゃダメだって」と、ほんのり顔を赤くするアシㇼパ。
連れてきた子熊の世話をしながら、アイヌ民族の風習について話して聞かせます。
不敗の牛山
その頃、土方歳三は遊郭で遊んでいる元囚人である「不敗の牛山」に接触していました。
油紙を身体に貼り付け、透かして刺青を書き写せば精巧な暗号が手に入り、殺し合いをしなくて済むとして協力を求めます。
牛山に声をかけたのは刺青の持ち主というわけだけではなく、第7師団とやりあうのにその腕前が必要だったから。
「帝国陸軍相手に斬り合うつもりか?」という牛山に、「いくつになっても男子は刀を振り回すのが好きだろう?」とお茶目に答えます。
呪われた砂金
清流沿いに仕掛けた罠にかかったエゾハナカジカを捕りに来たきた二人。
さばこうとしたところ、小刀と銃を家に置いてきたことを思い出した杉本は近道をして取りに戻ります。
が、そこには罠が仕掛けられており…
危ないところをオソマちゃん(アシㇼパのいとこ)のお父さん、マカナックルに助けられます。
「アシㇼパは一人で山に行ってしまうから心配だった。お前みたいな強そうな男が一緒なら安心だ」と、アシㇼパがなついていることから悪い奴じゃないと友好的に接してくるマカナックル。
和人を敵視する人もいると警戒していた杉本も警戒が解け、話はアイヌ殺人事件に。
マカナックルは、「あの砂金は我々の祖先が採ったもので、何十年もずっと触れられずにいたものだった。それを一部の男たちが武器を買おうと手を付けた」と、犯人に心当たりはないとキッパリ。
さらに、持ち出したアイヌが殺されたのは、ワッカウシカムイ(水の神)の怒りからだと皆が思っていると。
「川を汚さないように気を付けているのに、砂金なんて…」と、川を汚す事で魚が捕れなくなり、それは動物にも影響を与えることを説明するマカナックル。
アイヌが争いのために川を汚すことがあってはならないと断言します。
そして、「あの砂金は、魔物がついている呪われたものだったんだ」と。
第7師団の目的
4名の兵士が行方不明になったことから、雪が降る中、捜索を続ける鶴見中尉率いる第7師団。
そこに、鶴見の上司である和田大尉が怒り狂った様子でやってきます。
和田は、鶴見が勝手に自分の部下を小樽まで引き連れ、重体の兵士まで出ている事、武器や弾薬もごっそり持ち出している事にご立腹。
額の傷の様子から今後も中尉を続けられるのか疑問であり、もう庇う事はできないとして、「もはや陸軍に貴様の戻る場所はないと思え!」と鶴見を指さしながら宣言します。
その瞬間、和田の指にかみつき、噛み千切った指を和田の顔に向けて吐き出す鶴見。
驚く和田に、「頭蓋骨と一緒に前頭葉も少し破損しまして。それ以降、カッとなりやすくなりましてね、申し訳ない」と涼しい顔。
「それ以外はいたって健康です。向かい傷は武人の勲章。ますます男前になったと思いませんか?」といけしゃあしゃあと続ける鶴見に、「正気ではないな」とそばにいた兵士に発砲命令を下します。
「はい!」答えた兵士が撃ったのは和田の頭。
鶴見はその様子に驚くこともなく、和田の服を脱がして埋めておけと指示。
春には草花の養分になるだろうと…。
「ロシアから賠償金もとれず、元屯田兵の手元に残ったのは痩せた土地だけ。我々の戦争はまだ終わっていない」とつぶやくのでした。
アシㇼパとレタラ
夜、アシㇼパとオソマちゃんが寝ついた頃、外では狼の遠吠えが響いていました。
マカナックルは「聴こえるか?杉本さん」と、狼の遠吠えは珍しいと杉本に教えます。
以前、白い狼がアシㇼパを助けと杉本が話すと、「そうか、あの遠吠えはレタラだったか」と、アシㇼパとレタラの関係について話して聞かせます。
レタラはヒグマに襲われていたところを、アシㇼパと父親に助けられた狼。
いつも一緒で、アシㇼパは父親が死んだ後もレタラと一緒に山に入るほど慣れ親しんでいました。
ところがある日、仮小屋で休んでいると狼の遠吠えが聞こえ、それにレタラが反応。
レタラの遠吠えと似ていることから、仲間だとわかったアシㇼパ。
必死に止めるアシㇼパでしたが、レタラはアシㇼパをふりほどき遠吠えがする方に走り去ってしまいます。
「大人びているが、アシㇼパは寂しがり屋のいたいけな子どもなのだと」いいながら、オソマを抱き上げるマカナックル。
「そんなことがあってからアシㇼパは笑顔を見せなくなったが、最近はずいぶんと明るくなった」と、杉本が良い影響を与えているといい自分の小屋に戻ります。
フチもアイヌ語で何か杉本に言いますが、何をいっているのかわからない杉本。
ただ、アシㇼパがフチや村の皆に愛されていることはわかると。
そして皆が寝静まった頃、杉本はそっと一人でコタンを後にするのでした。
鶴見中尉の尋問
杉本が一人黙って行ってしまった事を知ったアシㇼパは、杉本を探し出すため、レタラに助けを求めます。
その頃、杉本は町でみかけた女性から、梅ちゃんに寅次の骨を持って行った時の事を思い出していました。
視力がだいぶ低下しぼんやりとしか見れない梅は、「兵隊さんがきている」という子どもの言葉から杉本が来ている事を知ります。
「佐一ちゃん?」と近づくも、得体のしれない匂いに「あなた…どなた?」と。
その言葉に、梅が知っている杉本佐一はもうこの世にいることなく、眼が治ってもすぐに自分の事はわからないかもしれないと愕然とする杉本。
早く目の治療の為に金塊を見つけなければと…と焦るのでした。
以前、聞き込みをした遊郭の男に、再度聞き込みをする杉本。
男は、つい最近、娼婦に乱暴した男が変な刺青をしていたと話して聞かせます。
その話から、娘がいたとされるお店に出向いた杉本ですが、第7師団に捕まってしまいます。
殺されそうになったところを止めたのは、駆け付けた鶴見中尉。
「私はお前の死神だ。お前の寿命のロウソクは、いつでも私が吹き消せるぞ」と拘束します。
大けがをさせられた娼婦の上客に頼まれて妙な刺青の男を探していただけだと、嘘の説明をする杉本。
そんな杉本に鶴見は「甘いものは好きか?」と串の団子を勧めます。
「甘い」とおいしそうに食べる杉本の前で、やおら「ふじみ、ふじみ、ふじみ…」とつぶやく鶴見。
鶴見の様子から察した杉本は、とぼけたふりして帰ろうとしますが、「尾形上等兵をやったのはおまえだな、不死身の杉本」と身動きが取れず。
持っている刺青人皮を出すように促されます。
あくまでもとぼける杉元の口元に、鶴見は団子の串を素早い動きで刺しこみ、「おまえがいかに不死身で、寿命のロウソクの火が消せぬというのなら、俺がロウソクを頭からボリボリかじって消してやる」と脅します。
そして、この場を生き延びるには自分の下に付き、自分たちの計画を手伝うしかないと諭します。
その計画とは、金塊を軍資金にアメリカ人から武器を買い、第7師団を乗っ取り北海道を手に入れる事。
「私はお前のように勇猛な兵士がほしい。我々と共に戦ってくれ」という鶴見に、「付き合ってられん」と一蹴する杉元。
鶴見は再び厳しい表情になると、「ロウソクボリボリしちゃおうかな」と鋭い眼差しで杉本を睨みつけます。
双子の兵士の襲撃
夜になり、レタラに杉元が使っていた靴下で匂いを覚えさせ、町に降りてきたアシㇼパ。
たどり着いたのは杉元ではなく、なぜが脱獄王の白石。
どうやら、川に落ちて着替える際に靴下を取り間違えたようです。
アシㇼパが杉元を探している話に、町に流れている顔に大きな傷跡のある男が暴れて第7師団に連れていかれたという噂が、杉本の事であることを確信した白石。
「今頃はもうとっくに殺されているだろうな」という白石に、アシㇼパは毒矢を向けて「案内しろ」と脅します。
断る白石でしたが、レタラの追跡力には勝てず。
案内することに。
その頃、杉元は椅子に括り付けられて監禁されていました。
顔には、串が2本…。
そこに、双子の兵士が入ってきて杉元を殺そうとしますが、機転を利かせて反撃。
それでも不利な状況です。
「俺は不死身の杉本だぁ!!」と叫ぶと、必死に二人の攻撃を食い止めるのでした。