「使用人探偵シズカー横濱異人館殺人事件ー」月原 渉

使用人探偵シズカ 横濱異人館殺人事件 (新潮文庫) [ 月原 渉 ]

価格:594円
(2019/1/19 15:56時点)

表紙がレトロで、なんだかかわいい。
ベタなタイトルに惹かれて読んだらおもしろかった。

が!

3分の2ぐらい読んだところで、動機はわからないけど犯人はわかってしまいました。
書かなきゃいけない部分だけど、これは犯人わかるだろ~…といった感じ。

それでも、終わりまでハラハラドキドキ。
飽きずに読めます。
だって、まるでホラーのような絵のトリックがわっかんないんですもん!!

ストーリーはこちら↓


「あと二人、死にます」使用人は容赦なく云った。

嵐に閉ざされた異人館で、「名残の会」と称する奇妙な宴が始まった。館の主は謎めいた絵を所蔵する氷神公一。招かれたのは画家に縁のある6人の男女。

次々と殺されていく招待客たち。絵の下層には、なぜか死んだ者が描かれていた。縊られた姿もそのままに、絵は死を予言しているのか。

絵画見立てデスゲームの真相とは。使用人探偵ツユリシズカの推理が冴える本格ミステリー。


 

時代は明治。
秋月和美の語りから始まります。

亡くなった父の遺品を整理していると、子どもの頃に見た事がある絵画を見つけます。

海の風景を描いた作品だったのだけれども、一部剥落した表層の下には、見るもおぞましい地獄の光景が描かれています。
中央には首を縊る男の絵。

その作者は久住正隆。
すでに亡くなっている画家で、目立った功績はなし。
専門業者に見てもらうも、その値段は二束三文といったところでした。
海の絵の風景ならまだしも、下に描かれた不気味な光景に、親族の誰もが受け取りたがりません。

そんな時、絵を見た専門業者を通じて、高値で買い取りたいと申し出た人がいました。
法外の値で買う条件として「所有者の親族、できれば直系の者が絵を届ける」を提示。
ちょっと変わった条件に、訝しく思います。

が、やはり金額が魅力的&手元に置いておくのは嫌な事から、困惑しつつも一族で最年少の秋月和美が届けることになりました。
届け先として指定された場所は横濱居留地外縁。
買い手は、西洋画の収集を目的としている団体「名残の会」会長・氷神公一という老齢の資産家です。

横濱居留地で氷神家の使用人・ツユリシズカの出迎えを受け、本土と切り離されたような氷神家別邸・名残館へと連れていかれます。
館は海と崖に囲まれ、渡る手段はつり橋だけ。

立派な建物の中に入ると、吹き抜けの大広間に「名残の会」のメンバーが揃っていました。
入ってきた秋月和美を見つめる顔の中に、絵の中で首を縊る男とうり二つの顔をした人物を見つけます。
あまりの事にびっくりした秋月は、そのまま気を失ってしまうのでした。




 

登場人物はこちら!

ツユリ・シズカ…氷神家の使用人。とても賢く、探偵も顔負けの推理を展開していきます。

秋月和美…名残の会が探していた絵を所持していたことから、氷神家に呼ばれる。
秋月和臣…名残の会にいたが、行方知らずだった。

久住正隆…画家。すでに亡くなっている。
久住優美香…久住正隆の娘。妹がいたが亡くなっている。

氷神公一…名残の会・会長。資産家。
上条…秋月家にあった絵の下層に描かれていた、首を縊る男とうり二つ。
角竹…自分勝手で粗野な男性。
司月雪華・氷華…双子の姉妹。

 

秋月和美が持ってきた絵には秘密があり、それを皆が狙っています。
莫大な遺産の在処が記されている…なんてベタな展開ですが、それを許せるぐらい、絵のトリックはおもしろいです。
からくりを知ると、そうでもないんですけど。
そのからくりがわからんかった。

他にも絵画がでてきます。
いずれも、絵の表層下には名残館にいるメンバーが首を縊る姿が描かれています。
次々と名残の会のメンバーが殺されていきます。

最大の謎は、やはり絵のトリックでしょう!
名残の会のメンバーの顔が描かれているのはわかりますが、最近入ってきた使用人・シズカの縊られた絵まであるのですからびっくり仰天!途中で犯人はわかったものの、最後の謎解きは読み甲斐がある作品です。




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