05巻:凪のお暇ー凪、ボーイデビューー

実家のぬか床のカビてしまった上の部分を取り除いて、延命を念じて、連日必死にかき混ぜて漬けたきゅうりの味にほっと一安心。

そこで我に返る。

こうやって私、全然たやすくひっぱられちゃうんだ、って。

できた漬物をうららちゃんとママさんに試食してもらう凪。
「おいしいーーーい!!」
という感想に、安心しつつ、実家にいた頃のぬか床管理は相当なプレッシャーだったことを打ち明けます。

「自転車に乗って走るようになって視界が変わった気がしてたんです。それがぬか床ぐらいで簡単にひきもどされちゃうなんて…」という凪を、ママさんがドライブに誘います。

 

「でも」を捨てて、思いのままに

会社のワゴン車でドライブに出かけた三人。
うららちゃんとママさんは、紫外線に弱い為、サングラス着用です。

うららちゃんママの運転姿に、「自立した女性」像を見つけて羨ましくなる凪。

そしてついた先は、景色も和やかで人もすくない場所。
「さ、今度は凪さんですよ」と、運転をバトンタッチ。

凪、真っ青。
ペーパードライバーであることを伝えるも、なかば強引に運転席に移動させられます。

ドキドキしながら運転する凪の視界は、見える景色が全然違うもの。
流れる景色がどんどん早くて、すごく楽しい気持ちに!

 

休憩に、棒状に握ったおにぎり「ぼにぎり」を食べる三人。

「何回か練習したら一般道に出れますよ。そしたら、レンタカー借りて高速で遠出とかも」といううららちゃんママの言葉に慌てる凪。
でも、ママさんは凪の否定的な言葉を優しく遮ります。

ママさんの言葉に、新しいことを始めるときに、やらない理由を「でも」で羅列してやり過ごす癖がある。
それは、新しい事は始めない方が楽だから。

「でも」の羅列をなぎ倒した自分を想像したら、ぶわっと胸が沸く凪。

ぐずぐずしている時間なんてない。
そんな暇があるならこういう胸が沸くことを集めて、思いのままに、新しいやり方で…と思う凪でした。

「スナック・バブル」のボーイデビュー

スーパーで、以前から気になっていた「ぬかみそ」を購入した凪。

これまで「既製品のぬか床なんて!!」と母に否定されると思い購入できなかったのですが、「私にとって気ままな心地よい世界を作るんだ!」と決意。

気合を入れたところに、「スナック・バブル」のロンさんから電話が。
ボーイが急に辞めてしまったので、代わりにできないかという話。

とっさに「いやいや、でも私なんかが」と断りますが、また「でも」を羅列する自分に気が付きます。

そして、自分が「スナック・バブル」にいるところを想像。

胸がぶわっとしたことからも、引き受けます。

 

開店前に、テキパキと業務をこなす凪。
その内容は、「これでお金をもらってもいいのかな!?」というもの。

開店し、ロンさんとジェーンさんがお客さんと同伴出勤するとホッ。

連日、常連さんで賑わう店内。
そして、ロンさんとジェーンさんの見事な接客バランスに感心する凪。

二人ともおしゃべり上手で、こりゃ流行るわーと思う反面、自分はまったく会話ができない事に落ち込み。

せっかくお客さんが話題をふってくれても、続かず…。

いたたまれず、帰り際、スナックのママさんに「一度しか会った事がないのに、どうして私に代打を頼んでくれたんですか?」と聞くと、「ピンときたから」と一言。

ママさんの「ピン」を裏切りたくないなぁと思って頭に浮かぶのは、なぜか慎二の顔。

「ここであの顔を思い出すのは、なんか癪」と苦虫をかみつぶしたような顔をする凪でした。

 

その頃、慎二は市川さんと取引先からの帰宅路にいました。

顔だけじゃなく会話のキャッチボールがポンポンできている様子に、凪と思わず比べてしまう慎二。

「って、あのブスはいいんだ」とすぐにその考えを振り払い、市川さんと食事に行くのでした。

 

図書館からごっそりと借りたコミュケーション関連の本。
お店の裏口でこっそり読んでいると、そこにママが突然、やってきます。

「なっ、なんだいこの本は!?怪文書かい!?」と驚愕するママに、「…おしゃべり上手になりたいんです」と真っ赤になりながら言う凪。

お客さんが少しでも楽しんでもらえたらという凪の言葉に、「あら、意外」と正直な反応をするママ。

「あんた、人に興味がないのかと思ってたよ」

その言葉に、固まる凪。

そんな凪の事はおかまいなしに、「会話のボール、投げてすらない。ここで止めてる」とバッサリ。

 

トイレ掃除をしながら、ママさんからの言葉を反芻する凪。

でも、よくよく考えてみたら、ママさんが言う通りであることに気が付きます。

聞き上手だと思っていたけれども、誰かが回していたのに対して相槌を打っていただけ。

慎二といても、それに気が付かなかったのは、絶え間なく話題を振ってくれていたから。
そう考えると慎二ってすごいかもと。

自分が興味ない人が、自分に興味あるわけない。
なのに、自分にも興味を持ってほしいなんて、ボールすら投げないのにおしゃべり上手な人達に一丁前に憧れて…と自己嫌悪。

そしてまた訪れる、お客さんとのカウンターを挟んだ対面。

変わるって決めたんだと、自分から積極的に話題を見つけて言葉をかけます。
それをきっかけに、盛り上がる会話。

他のお客さんとも、会話が続きます。

 

帰宅時、ママさんからも「盛り上がってじゃない」と言われるほど。

「雑用だけじゃなく、もっといろいろと頑張ります」といい、自転車に乗って去る凪の後ろ姿を見送りながら、首をかしげるママ。

難儀な子ねぇとつぶやくと、店内に戻るのでした。




 

慎二、来店

凪の作った「ポテチ入りポテサラ」。
おつまみとしてお客さんからも大好評。
盛り上がります。

そこに、凪の苦手としているお客さん・桃園さんが来店。

苦手な理由は、いじりがひどいから。

傷ついたこっちが悪いみたいな流れ、笑顔が慎二を似ている、そして話すことは職場の悪口ばかり。

会話から営業職と察する凪。
慎二は自分には当たりが強いけど、こんなふうに職場の人の悪口を言っているのは一度もみたことがないと気が付きます。

 

慎二の元に、業界トップレベルの五十嵐さんから、行きつけの店でのサシ飲みのお誘いが入ります。
その話に、慎二はもちろん、傍で聞いていた市川も興奮。

市川さんが呼ばれてその場を離れると、同期が寄ってきて「おまえ、気を付けろよ」と忠告されます。

その理由は、市川が女性社員に評判がよくないから。
「男にだけ、やたら色目を使っている」と。

そんな評判に「生産性のない悪口」と一蹴します。

 

また、桃園さん来店。
凪の心は、ざらざらざら…。

その正体が、「俺らうまいこと場をまわしてまーす」と見せかけて、人を見下すことで笑いを取ろうとするとことが透けて見えているのが嫌なのだと気が付きます。

「ボーイさん、ダンス要員お願い」と声を掛けられるも、「今、ビールを注ぐことに心血を注いでいますので」とお断り。

すると「空気よんでよー」

その言葉に、リフレインする記憶。

 

いつだって私の心を揺さぶるのは、あの人に言われた言葉ばかり。

なぜ?
それって…

と考えていると、なんと慎二が来店。
慎二のサシ飲みの相手は、五十嵐さん(タロさん)だったのです。

 

慎二の来店に気が付かない凪。
でも、凪が作ったお通しを絶賛したことから、お互いの存在に気が付きます。

初対面の振りをする二人。

「このボーイさん、めっちゃ水商売に向いていなさそう」と言う慎二に、「そんなことないですよ!」と反論を展開する凪。

「いい人ばっかりで…」と言いかけた時、桃園がグラスを落として割ってしまいます。

割れたグラスを片付ける凪に構わず、相変わらずの悪口のオンパレード。

その場から逃げ出したい衝動に駆られていると、「トイレの電球がきれてる」と慎二が呼びにきます。

 

トイレで、「マジでここで何してんの、お前」と冷めた目で問い詰める慎二。

代打で雇ってもらっているという凪に、「まじで向いていないからやめろ」と詰め寄る慎二。
桃園への嫌悪感もお見通しでした。

「可哀そうな人達だと思えば、やさしくできる」と言う凪に、「なんで上からなんだよ」と。

慎二の言葉に、真っ赤になる凪。

 

席に戻った慎二は、売り込むなら今しかないと必死に集中しようとします。

…が、できずに桃園たちグループや他のお客さんも交えて場を作ります。

トイレから出てきた凪は、その様子にびっくり。
そこで思わず漏れる桃園たちの本音に、「わかる」とうなずく慎二。

自分がこれまで繰り返してきた、上辺だけの「わかる」とは違う。
ホントにわかってるわかるだと、気付かされる凪。

 

カラオケで盛り上がりちょっと席を外した慎二に、凪はのど飴を渡し「私上からで何様だった」と謝ります。
そして、とつとつと自分の気持ちを正直に口にします。

ここで働かせてもらってから、よく慎二の事を思い出す。
お暇中、いろいろかえりみるきっかけを、慎二の言葉からももらってる。
本当は、心の底から、どこか尊敬してたんだなと。

その言葉に、慎二は凪の胸をがしっとつかみます。
「すっげえ、ムカついて」

凪のビンタは届かずも、ママさんの強烈なボディーブローが入り、慎二ダウン。

そのままタロさんに連れられてしまいます。

 

本当の宅飲み女子会はこうだ!

閉店後。
凪の部屋にて、ロンさんとジェーンさんとで女子会することに。

突然の流れに「本当に何もないんですーーー!!」と戸惑う凪ですが、そのままなし崩し的に凪の家に。

そして、本当に凪の家には何もないのに感心。
凪が用意した簡易湯たんぽ&人口こたつで暖をとりながら、まずはお互いの身の上話。

ジェーンさんは日本のアニメーションを学びに中国から留学。
アニメ学校のクリエイター展に出展しているとこで、ママさんに声を掛けられ今にいたる。

ロンさんはフィリピンから出稼ぎ。
昼も夜もフル稼働しつつ、大好きなコントライブに時間を見つけてみは通っていると。

そして、凪の番。
全部やめて全部捨てて、心機一転で遠くに引っ越したものの、今だまだ迷走中。

凪の話に、「全部やめて捨てるって、誰にでもできる事じゃないよ!」と興奮する二人。
思わず涙がじわりと…。

「これが宅飲みの女子会!?めちゃくちゃ楽しい!」という凪。
これまでの宅飲み女子会を話します。

「せっかく私なんかの家に来てもらうんだから…」という凪の言葉に、「自己評価水準値がたかいんや」と指摘。
「慎二から潔癖すぎるもんな」という言葉が思い出されます。

 

…と、思い出したように、慎二の話に。
「あんた、あの男と何かあったやろ?」と鋭い観察眼。

「最低なヤリ目的男」と説明する凪。
「私とやるのはコスパが良い!」と、性的なお店にいく場合と凪の家に来る場合のコスパまで計算して披露。

そんな凪の様子に、「なんのプレゼンしてんねん!」と二人は大爆笑。
自分の事を笑い飛ばしてもらえるのってこんなにうれしい事なんだ…と、感動した凪は、おもわずベランダに。

 

ベランダで一人感動していると、突然、ゴンさん部屋から飛び出してきた手すりに頭をしたたかにぶつけます。

そこにロンさんとジェーンさんも来て、「あっ、もしかしてこいつが例の無理めの…」と言いかけるのを慌てて遮る凪。
また何か言われないようにと、慌てて室内に戻ります。

戻り際、「女子会です」と笑顔でゴンさんに言う凪。

その笑顔に、何か胸がぎゅううううっと締め付けられるゴンさん。
「ほんとになんだこれ」と思うのでした。

 

市川さんの悩み

出勤前に朝ドラを鑑賞していて思うのは、「こんなにかわいい顔をしているのに、1週間生きてることを世界に許されててすごい」。

大阪から東京に転勤になった市川さん。

今までみたくならないように頑張るぞと、意気込んでいたのですが、部長から頭ぽんぽんされたり、同僚の女性に「少しは彼女(市川)を見習え」と発言されたりと、早くも懸念していたことが…。

 

お昼。
同僚に誘われて、ランチに行きます。

そこで、部長の頭ぽんぽんについて話が。
ついつい「頭の位置が、手置きに丁度いいのかな」と言うと、「それはどうかと思うよ」と、それまで和やかだった空気が途端にピリピリ。

空気を変えようと同僚の仕事を褒めることで、とりあえずは雰囲気を緩和。
でも、「周りから八方美人て言われない?」と、的確な指摘を受けます。

小学生からこれまでずっと、自分がいるコミュニティは、空気が悪くなり必ず壊れてしまう。
それゆえに「空気クラッシャー」というあだ名まであるほど。

 

今度こそ気を付けないと。
このコミュニティは、絶対に壊さないように慎重に…と、仕事に打ち込むのですが、仕事面でも容姿のかわいさが仇になっていることが。

ある会社の社長との打ち合わせの席で、契約を続行すると聞き喜ぶ市川さん。
でも、社長がちょっと席を離れたすきに、社長と一緒にいた部下の男性が「よかったですね。うちの社長がメンクイで」と。

その言葉にフリーズするも、「なんにせよ契約は契約」と急ぎ会社に戻ります。

その途中、大阪にいた頃の同僚にバッタリ。
引継ぎした取引先の方の状況を聞くも、「なんでまだ息してんの、あんた」と冷たい対応です。

 

弱気になる自分を叱咤激励し会社に戻ると、慎二から「チャオッコフーズの五十嵐さんから飲みに誘われた」という話を聞きます。

業界トップレベルとの新規契約も夢じゃないと、興奮する市川さんと慎二。

「援護射撃が必要だったら、いつでも誘ってください!」と言ったのを聞いていた女性同僚が、離れた場所で声マネ。
その声に、赤くなる市川。

別の男性社員から「思わせぶりな八方美人なとこがあるから、気を付けないとなのかも」と言われ、落ち込んでしまいます。

さらに、今度は慎二の同僚が「女性社員にあんま評判よくないぞ」と言っているのを聞いてしまいます。

思わず引き返そうとする市川さんの耳に、「反吐るわー。生産性のない悪口」と、一刀両断。
「色目でもなんでも結果残してりゃいーわ」という慎二の言葉に、立ち止まります。

 

市川の姿に気が付いた慎二。
二人で外回りに出ます。

雨が降っている為、タクシーで目的地に。

そのタクシーの中で、市川さんは慎二に「どこに行っても思わせぶりで八方美人て呼ばれる人のことって、どう思われますか…?」と思いきって聞いてみます。

「八方ブスより良くね?」

慎二の返しに、「私、この人のこと好き」と思う市川さんでした。

 

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