02巻:昭和天皇物語ータカとの別れと婚約ー

昭和天皇物語(2) (ビッグ コミックス) [ 能條 純一 ]

価格:596円
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大正4年。
東宮御学問所・歴史御用掛の白鳥庫吉の教育方針から、裕仁皇太子は学友5人と各地の天皇陵・火葬塚などを行啓。

その頃、足立タカが居育掛としての仕事を終えたところでした。

お側日記とは別に、タカが個人的に10年間つけていた養育日記(10年分)を木戸正孝に渡し、宮内省を後にするタカ。
タカが去った後、木戸は養育日記の一番下に「こころえ」と書かれたノートに気が付きます。

それは、タカが次に殿下をお世話する方への申し送りでした。

翌年、タカは海軍少将・鈴木貫太郎と結婚。
宮中顧問官・木戸正孝は、2年後にこの世を去りました(享年60歳)。

 

裕仁皇太子の決意

主従関係を的確に説く題材として「船弁慶」が一番だと、授業で披露する杉浦。

それを聞いたいたフランス語御用掛・海軍大佐の山本信次郎が「なぜ義経と弁慶なのかわかりませんが…」と疑問を口にします。
それに対して杉浦は「赤穂浪士よりかはマシだろうーが」と一言。

さらに山本は、「この御学問所はいかなる学校なのでしょうか?」と続けます。
殿下が軍に身を置くのは英国に習っての事と思うが、それならいっそ士官学校で学ばせた方がいいのではと。

これに対して小笠原は、「皇族身位令にならってのことで、決して外国のまねではない」と否定。

東條は「同感だ。だか、東宮御学問所は今は亡き乃木閣下が草案された」と。
そして、今になって乃木希典が御学問所を創ろうとしたのかがわかってきたと言い置き、殿下の姿を見に外に出るのでした。

 

相撲をしている学友たちとは別に、裕仁皇太子は川でミジンコを採っていました。

ミジンコの種類が知りたくて採取しているという姿を見ながら、東郷は今現在おこなわれている第一次世界大戦がさらなる大きな戦争の引き金にならなければいいがと思います。

と…

川べりの草の中に、“竹山”と彫られたハンコが落ちているのを見つけた東郷。

それに気が付いた裕仁皇太子は、慌てて「それはおふざけで彫ったものです」と。
理由を聞く東郷の質問もはぐらかします。




 

馬に乗って東宮御学問所を回っていると、山本が課外授業と称して旅順攻囲戦の地図を持ってきました。

「堅固な敵軍要塞を陥落させるにはどうすればよいか?」との質問に答える学友たち。

裕仁皇太子にも「よろしければ、ご判断を」と尋ねると、「思うに、乃木閣下は苦渋の選択であったと…」と、堅固な要塞、二〇三高地を陥落させた手法を述べます。

「今度は御所の周りを一回り致しましょう…」と促す裕仁皇太子。

ふと後ろを振り向くと、そこには学友たちの姿ではなく、血を流した兵士が敬礼している姿が。
そんな裕仁皇太子の心を読み取ったのか、馬が突然、高く前足を上に掲げるといった危ない状態になります。

事なきを得ますが、自分のせいで馬が殺処分されそうになったことからも、裕仁皇太子は自分の感情を表に出していけないと悟ります。

 

一人、川の中に佇む裕仁皇太子。

ポケットからハンコを取り出すと、先ほどの一件から覚悟を決めたように、「永遠にさらばだ…」と川の流れの強いところに投げ入れるのでした。

 

立太子の礼

裕仁皇太子の近視が進行していることがわかり、浜尾新(はまおあらた)にメガネの着用を進言する甘露寺(かんろじ)。
ところが、「将来、天皇となられるお方が眼鏡など!もってのほか!」と却下されてしまいます。

…が、強硬手段で作ってしまう甘露寺。
眼鏡をかけたことでよく見えるようになり、裕仁皇太子は大喜びです。

 

御学問所では、新たに生物学者の服部広太郎による講義がスタート。
ダーウィンの『種の起源』を元に、人間の祖先について語ります。

「…結論を言います!人間の祖先は猿です!」という服部の言葉に、倒れる東郷。

授業後、人間の祖先について確認してきた小笠原に「皇室の先祖、皇祖皇宗もさかのぼれば猿です」ときっぱり。

東条は、「世界のどこに出られても恥ずかしくない高い教養を身につけて頂く…そのためには見守るしかないのかのう…」とぼやくのでした。

 

大正5年。
いよいよ裕仁皇太子の「立太子の礼(皇太子であることを公に告げられる儀式)」の日がやってきました。

「タカを御所に招くことはできないか?」と頼む裕仁皇太子でしたが、甘露寺の一存だけでは通すことはできず。

当日、走る馬車に乗りながら、大勢の人であふれる宮城(皇居)の中から探す裕仁皇太子。
眼鏡を要求するも、「なりませぬ。臣民の前で眼鏡姿はまだ早急かと…」と断られてしまいます。

ぼやける視界の中、必死に目を凝らす裕仁皇太子。
タカを見つけます。

裕仁皇太子のその立派な姿に涙を流すタカ。
裕仁皇太子の姿が見えなくなり、人々が去るも、皇居の方を見続けていたのでした。

 

皇后動く!裕仁皇太子の后探し

「立太子の礼」が滞りなく終わると、次に動き始めたのが裕仁皇太子の后探し。

元師・陸軍大将であり侯爵、元老の一人である山縣有朋(やまがたありとも)は、薩摩との権力争いに勝つため、裕仁皇太子の后は長州から出すことを目論んでいました。

 

政治的にも注目されている裕仁皇太子の結婚。
皇后陛下も后探しに動きます。

訪れたのは学習院女学部。
授業中に教室を訪れ、そこで3人の女学生に目をつけます。

応接室に呼び、手を見る皇后陛下。
3人のうちの2人は手がきれいですが、久邇宮第一王女良子だけは赤くささくれた手。

しかも、良子は皇后が教室に入って先生や生徒がざわめく中、一人だけ静かに習字を続けていたことから皇后の目に留まりました。

良子の手が荒れているのは、毎日早く登校して便所掃除をしているからのもので、院長が止めるも「好きでやっていることですから」と毎朝の習慣にしていたのでした。

手が荒れている原因を知った皇后は、「そんなささくれた手で赤子を抱いたら一大事」と、翌日から便所掃除を禁止させます。
そんな皇后の言葉に首をひねる良子でした。

 

学習院から戻った貞明皇后は、久邇宮良子について調べます。

過去の成績表、診察記録、10歳から始めた日記と調べると、杉浦を呼び、久邇宮良子に后になる為の教育をするように申し付けます。

杉浦に任せる理由は、裕仁皇太子の結婚を政治に使われないようにするためでした。

 

裕仁皇太子のお妃が久邇宮良子に内定したという話を耳にした山縣。

久邇宮の奥方が薩摩藩主・島津忠義(しまづただよし)の八女であることからも、断固反対と憤慨します。

 

皇后から大役を申し付けられた杉浦は、さっそく裕仁皇太子と良子を会わせる機会を設けます。

貞明皇后が最も信頼を寄せた女性教育者であり、貧しい庶民の子どものために日本初の私設幼稚園である二葉幼稚園を立ち上げた野口ゆかと会ってほしいと、授業後に連れ出します。
野口ゆかは、裕仁皇太子が幼少の頃に何度か会ったことがある人物でした。

待ち合わせ場所で待っていると、野口と一緒に良子の姿も。

良子自身もあまり覚えていないものの、良子が付属幼稚園に通っていた頃、何度か会った事があるらしいという話に、ぼんやりと思い出す裕仁皇太子。

草花の話で盛り上がる二人。
その様子を見ていた杉浦と野口は、二人の様子に安心するのでした。

 

婚約、内定

良子の父である皇族・陸軍大将の久邇宮邦彦王(くにのみやくによしおう)に、宮内省の波多野大臣から良子が裕仁皇太子のお妃にとの話があったことを、妻に話します。

ただ、元老の山縣が難色を示していることからも、宮内省から正式な伝達があるまで他言するなと口止め。

一方、良子の方は、いつも通りの生活。
裕仁皇太子から教えてもらった草花の名を学友に教える一幕があるものの、相手が裕仁皇太子なだけに、皆には言えないわと秘密にします。

 

宮内大臣の波多野は山縣に牽制をかけるように、新聞に裕仁皇太子の婚約が内定したと載せてしまいます。

それをみた山縣は激怒。
皇后は「でかした!」と大喜び。

ただ波多野は、「このまま元老たちが黙って見ているだけで済むでしょうか?」と不安な様子。
皇后は「あの男はダメだ」とバッサリ。

さらに、天皇陛下の容態を心配する波多野に、皇后は「おまえにだけ言う…」と、その容態が芳しくないことを伝えます。
だからこそ、裕仁皇太子の結婚を円滑に進め、天皇陛下を一刻も早く安心させるのだと。

 

大正7年、夏。
米騒動が全国で勃発。
時の内閣総理大臣・寺内正毅(てらうちまさたけ)が辞任。

それを受けた元老院は、当時、熱狂的な支持を集めていた原敬(はらたかし)が次の内閣総理大臣に選ばれます。

別名・平民宰相と呼ばれている原について、皇后陛下も「いいではないか!」と絶賛。
これまでの長州・薩摩の藩閥政治が終わり、東宮の婚儀も円滑に進むと喜びます。

さっそく久邇宮に婚姻について正式に伝達。
その時の様子を聞き、御殿を普請中しているという話にご満足。

さらに、婚礼前に皇太子妃としての教育を受けるための御学問所設立についての話も。

右も左もわからず、教育係にはずいぶんとしごかれたという皇后。
良子専用の御学問所の設立は、自分と同じ轍を踏ませたくないということからの発案でした。

 

その頃、裕仁皇太子は天皇陛下の代役としての行事に参加することが増えていました。
その事からも、陛下の容態を心配する裕仁皇太子。

この年から明けて大正9年。
宮中を巻き込んだ重大事件が勃発するのでした。




 

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