16巻:キングダムー王騎将軍の最後ー

キングダム(16) (ヤングジャンプコミックス) [ 原泰久 ]

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昌文君によって語られる、六大将軍・摎(きょう)。
王騎将軍の妻になるはずだった女性です。

昌文君が初めて摎に会ったのは、とある戦場へ向かう途中の野営。
王騎軍の中に可憐な女兵士がいることに驚く昌文君。
聞けば、王騎軍側近であり、男顔負けの武人であると。

摎は王騎の屋敷の召使の子であり、幼少より王騎を見て育ったために武芸の達人に成長。
異常なほどに戦に強く、策をとっても武をとっても戦いの天才であることを、同じ戦で戦うことで目の当たりにしたのでした。

南安での戦いの最中、将軍として指揮を執ることになった王騎に、大事な話があると呼び出されます。

二人っきりになったところで王騎が話す内容は、国を揺るがすほどの一大スキャンダル。
そして、宮廷で生きる女性たちの悲しい話でもありました。




摎は昭王の娘。

王騎の言葉だけで証拠はなく、肝心の摎の母親はその後すぐに焼死しているため確認の取りようがない。

ただ、摎と昭王が親子であることがはっきりと分かった出来事がありました。
それが、昌文君に王騎の話は真実であると思わせしめたのです。

 

互いに親子であるとわかっても、沈黙を貫いた摎と昭王。

なぜなら、明るみにでれば関係者全員を処罰しなくてはいけなくなるから。
摎が仮面をつけるようになったのは、この事からでした。

 

野営のテントで、「天下の大将軍になる」と話す摎。

その理由は、子どもの頃にかわした王騎との約束があるから。
大将軍になって、お城を100個とったら王騎の妻にしてくれるという約束です。

それから摎は戦果を挙げ続け将軍になり、大将軍へと。
そしてついに、あの運命の戦いが…。

 

摎の野営を訪れる王騎。
今度の戦は摎が大将で、王騎が副将でした。

王騎は去り際に、「いよいよ最後の一つですね」と。

その言葉に、涙する摎。
子どもの頃にかわした、お城を100個とったら王騎の妻にするという約束を覚えていてくれたのでした。

 

ところがその夜。
最後の城をとるまえに、野営に入ってきた龐煖に殺されてしまいます。

王騎の怒りの一撃を食らい、さらに雨のような弓矢を浴び倒れる龐煖。
数時間後、意識を取り戻し、再び王騎と戦うために山にこもるのでした。

 

そして、今。
あの時の決着をつけるべく対峙する王騎と龐煖。

王騎と龐煖の激しい応酬に、誰も付け入ることはできません。

傷を癒し、修練を積み、人の到達できぬ武の極みにまで到達できたはずと思っていた龐煖は、はじき返す事ができぬ王騎の刃に戸惑っていました。

そんな龐煖に王騎は「山で一人こもっているあなたには理解できないことでしょう」と圧倒的自信で言い切ります。

 

一方、副官・騰は、趙軍をどんどん突破し、本陣にいる趙荘に近づいていました。

 

加熱する王騎と龐煖の戦い。
明らかに押し気味の王騎将軍に、切り伏せられないことからいら立つ龐煖。

王騎将軍の一撃が決まるか!?

…となった時、激しい地鳴りで戦いが一時中断されます。

そこに現れたのは、李牧の大軍。
さすがの王騎将軍の予想も外れた登場でした。

 

窮地に呆然とする秦軍。
王騎将軍は不敵に笑うと、「血が沸き立ちます」と言い部隊に瞬時に指示を出します。

その瞬間、王騎と龐煖の一騎打ちは終わり、騎馬と歩兵の入り乱れる大乱戦に。

 

趙兵に狙われつつ龐煖と斬り合う王騎。

その様子を遠くからみていた李牧。
そばに控える中華十弓の魏加(ぎか)がが、静かに王騎の元に近づいていきます。

その理由は、龐煖の助太刀。

 

王騎の元では、「策がなければ力技。獣と化して戦いなさい。皆の背には、常にこの王騎がついていますよ」という鼓舞で、窮地に立たされた秦軍が勢いを盛り返していきます。

近づく、魏加。

気が付いた王騎の部下が声を張り上げて魏加が近づかないように声を張り上げますが、その声は届かず、一本の矢が王騎の背に。
それが、龐煖の刃も許してしまうことに…。

一瞬の狂い。
龐煖の刃が、王騎の胸を貫いた瞬間でした。

その瞬間、怒り狂った信が魏加を一刀打にします。

 

王騎の胸を貫く刃。
それまでの混乱が一斉に鳴りやみ、物音一つ、身動きしないまでの静寂。

「水をさされた。だから戦などはつまらぬというのだ…」と言う龐煖。

呆然として武器を手から落としてしまう秦軍兵。

趙兵が笑いながら「終わりだ」と言いかけた時、王騎が毅然とした態度で「武器を落とすとは何事ですか。死んでも諦めぬ事が王騎軍の誇りだったはずですよ」と、いつもの調子で語り始めます。

そして、龐煖に向けて刃を下ろします。

それは弱く見えて、力のこもった刃。
龐煖が片手でつかむも、その刃は龐煖お首筋に少しずつ食い込んでいきます。

 

王騎の胸に刺さった剣を抜き、最後の一撃を与えようとした瞬間、大将代理を務めていた趙荘を討った騰がすかさずこれを受け突き放します。

倒れそうになった王騎を信が前に座る形で支えると、すかさず騰が信たちに指示を出します。
示された方向を見ると、その先には怒り狂った蒙武が暴れていました。

 

李牧がいる本陣にも、王騎が胸を貫かれた事が伝わりました。
さらに、騰が突進してくる報告も。

一方、龐煖は逃げる王騎達を追わんとする部下を一刀。
「追うな」と命令を出します。

 

王騎を背に走る馬で体制をとる信。

王騎の首を獲ろうと趙兵が迫る中、王騎軍が王騎を逃そうと必死になって援護。
危ないところを王騎の一撃で潜り抜けます。

気が付いた王騎は、信に背筋を伸ばし、目を閉じて深呼吸するように命令します。

そんなことしている場合じゃないと言いつつ、王騎の言うとおりにする信。
王騎は、将軍の見る景色を信に伝えます。

そして、蒙武の命がけの応戦、王騎の部下と合流しながら趙軍を抜け逃げ切ります。

 

後軍が王騎を追うも、李牧は追わず。

なぜ追わないのですと怒る部下に、「この戦いの目的は王騎の死。達せられた今、これ以上の血を流すことに意味はない」とバッサリ。

一方、逃げ延びた王騎軍。
王騎を中心に、皆が集まっています。
そこに騰が到着。

王騎は騰に、「誰一人として私の後を追う事を禁じます。この軍の先の事一切をあたなに委ねます」と伝えます。

いつもと変わらない表情の騰ですが、握り合わせた手から騰の気持ちが強く表れています。

 

次に蒙武。

「許せ。すべて俺の責任だ。最後に何か俺に言うことはあるか」と問う蒙武に、死んでしまった愛馬への感謝と、課題の克服、そして間違いなくこれからの秦国軍の顔になる一人だと伝えます。

 

最後に、信。

「皆と共に修羅場をくぐりぬけなさい」と、王騎愛用の矛を渡します。

信が何かを言う前に、王騎の意識は遠のき…。
そのまま還らぬ人に。
まさに王騎将軍にふさわしい死でした。

 

王騎の死は瞬く間に両軍に伝わり、李牧は「秦への侵攻が目的ではない」としてすみやかに全軍に撤退命令を下し、龐煖の元へ。

「勝ったという手応えはない」という龐煖に、「内容的にはむしろ負けていた」という李牧。

「王騎の強さの秘密は、深山ではなく戦場にあると思いますけどね」と引き留めますが、「こんな戦場に興味はない」と龐煖は去ってしまいます。

 

趙軍が撤退したため、馬陽は侵攻されることなく守り抜かれた形に。
王騎の死は中華全土に広まり、秦の王宮では誰もが言葉を失くしていました。

たまらず軍議の席から離れる昌文君。
出た先には、先客が…。

肩を落としうなだれている嬴政でした。

嬴政は、王騎から出陣前に聞いた昭王からの遺言について昌文君に語り聞かせます。
「ともに中華を目指しましょう」と言う王騎の言葉に涙する昌文君。

 

半月後。
前線警備にとどまっていた王騎軍が帰還。

信が家の扉を開けると、そこには河了貂の姿が。
「少しだけ休みをもらったんだ」と、料理を差し出します。

ホッとした顔の信。
戦いがようやく明けた瞬間でした。




 

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