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ケンジさんから「ニュータカラヤ」が閉店すると聞いたシロさん。
衝撃。
実は数日前から、シロさんも閉店の予兆を感じ取っており、新聞に折り込みチラシが入らない事からも変だなとは思っていたのでした。
他にも店はあるし…と言うケンジさんに、「店によって得意分野があるし、お互いに切磋琢磨してくれるし」と嘆きっぷりが半端ない。
ふと、レジの強面&有能なおばちゃんはどうするのか気になるシロさん。
翌日、ニュータカラヤで生鮮品が補充されていない様子をみて、思わずおばちゃんに「閉店するんですか?」と確認。
すると、にっこり笑顔で肯定。
そして、ニュータカラヤ閉店。
市場調査も兼ねて他のスーパーに入るも、その値段の高さに驚愕。
結局買い物も少なく、閉店前に買ってあった食材で夕食作りです。
・鮭のムニエル和風しょうがソース
・ラタトゥイユ
・シンプルグリーンサラダ
・オクラと豆腐の吸い物
夕食の席で、「元ニュータカラヤに居抜きで別のスーパーが入るって」とケンジさんから嬉しい情報を聞いたシロさんは、さっそくネットでそこに入るというスーパー・新鮮市場アキヨシをリサーチ。
ニュータカラヤではないにしろ、庶民的な普通のスーパーで一安心。
オープンしてすぐの土曜日に行ってみると、なんとニュータカラヤにいた強面のおばちゃんが!
オープンしたてのお祭り期間がすぎると、その店の通常価格に戻り、激安じゃないことからもお客さんの数もそう多くない。
商品価格はほどほどなのはいいのですが、おばちゃんがすっかり笑顔で接客しているのを残念がるシロさん。
前の不愛想な対応の方がお好きなようです。
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小日向さんとジルベール・ワタルが、たくさんの食材を抱えて訪ねてきました。
その理由は、小日向さんの家の冷蔵庫が壊れてしまい、急きょシロさんの家の冷蔵庫に避難することになったから。
「どうして僕まで来なくちゃいけないの!」とお怒りのジルベール・ワタル。
その理由は、小日向さんとシロさんが二人きりになって何か間違いがあると困るという、ケンジさんからの厳命があるから。
その答えに二人とも唖然。
「筧さんと僕とじゃ、ちょっとかわいい一般人とスーパーモデルくらいの差があるよ!」と余裕の表情のジルベール・ワタルを軽く受け流し、小日向さんが持ってきた食材を冷蔵庫に入れ始めるシロさん。
ただ…
小日向さんが持ってきた食材はどれもこれも大物で豪華。
収納不可の量。
…ということで、すべて料理してしまい、皆で宴会よろしく食べてしまいましょうという事に。
量が多いので、助っ人として小日向さんとシロさんの共通の知り合い、富永佳代子さんを呼ぶことに。
佳代子さんが来た事でジルベール・ワタルは解放され、買い物へと。
佳代子さんは食材を吟味し、次々と手際よく作っていきます。
普段のお惣菜から贅沢食材のおもてなし料理とレパートリーが広いなぁと感心していると、料理が一段落したとたんに帰り支度を始める佳代子さん。
この後、孫の悟朗ちゃんたちが来るそうで、皆でホットプレートでおやつにホットケーキ、夜に鉄板焼きを楽しむと。
作った食材は明日もらいにくるということで、とりあえず手土産として、ホットケーキに仕える高級バター(エシレ)を渡す小日向さん。
入れ替わりに、ジルベール・ワタル帰宅。
夜、ケンジさんの帰宅をまって食事です。
・なんちゃってローストビーフ
・アクアパッツア
・ゴージャスグリーンサラダ
皆で乾杯し、佳代子さん指導の料理に「おいしい!」連呼。
一方、佳代子さん宅でも、もらった高級バターに「おいしー!」と驚いていたのでした。
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シロさんとケンジさんが住む賃貸は、築28年の2LDK 58平米。
家賃は二人で折半です。
最初はシロさんが1人で住んでいたのですが、そこにケンジさんがやってきて今現在の形に(ケンジさんの前に、違う男性が住んでい事もあり)。
一人暮らしには広すぎる間取りですが、2口コンロのキッチン、勤め先(銀座にの事務所)からドアtoドアで1時間以内、駅から徒歩10分圏内という条件で探していて見つけたのがこちら。
しかも、希望条件よりも格段に良く、キッチンは3口でお風呂トイレ別、床暖付き、最寄り駅から徒歩5分と好条件。
「予算オーバーで手が出せなかったんじゃない?」と不思議がるケンジさんに、シロさんは言いにくそうに、事故物件であると白状します。
この賃貸のオーナーがシロさんのクライアントで、相続問題で相談にきていました。
その時に、事故物件の賃貸についての対応についても相談。
実は、会社の部下と不倫していた夫を、妻が包丁で刺して死に至らしめるという事件があり、5年も借り手がいなくて困っていたのでした。
相談された物件を、弁護士が安く借りてしまうと弁護士職務基本規定違反に問われる可能性があるため、3割引きで借りることにしたのでした。
その話に納得気味のケンジさん。
思い当たることがちょっとあったようです。
「怖いから寝る!」と寝室に引っ込むケンジさん。
「寝室が犯行現場だって言ったら、こいつどうなるかな」と心で思うシロさんでした。
翌日の夕食。
・鶏手羽元のにんにく酢醤油煮
・水菜とたまねぎのサラダ
・じゃがいものグラタン
・白菜とベーコンのスープ
おいしい料理にもりもり食べるケンジさん。
ふと、横を向くと「俺たち超あったかい家庭を築いてんの!取り憑くスキなんかないんだからね!だからもう出てって!」と、見えない誰かに必死の剣幕。
「夏涼しいんなら、別にずっといてくれた方がいいのに…」と光熱費を考えるシロさんでした。
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季節は冬。
2年に一度ある日弁連の会長選挙の選挙戦が本格的になってきました。
事務所の志乃さんに、「司法修習で同期だった…」で始まる電話には基本居留守を使う事を伝えるシロさん。
これは、誰に一票をいれるのかではなく、選挙活動に駆り出されるのを危惧しての行動。
なるべく働きたくないシロさんとしては、憂鬱な季節でした。
そんな中、司法修習所の同期生・北村さんから事務所に電話が入ります。
自分がおもしろいと思った事件しか引き受けず、大手の事務所にも縁がない一匹狼。
しかも独身ということもあり、気が合う同期生。
選挙絡みではないと思い電話に出ると、うまい寿司屋を見つけたから久しぶりに同期生で集まらないかというお誘い。
他の同期生にも声をかけると、乗り気でOKを出すシロさん。
そして当日に集まったのは、基本的に派閥活動をしていない学究肌の面々。
シロさんも気が楽。
案内されたお店は、意外にもすごくきれいな店。
カウンターに座って寿司を頂くスタイル。
話で盛り上がるのは、中年以降にありがちな健康面の話題。
そして、シロさんが結婚しないことについても、同じ独身の北村さんが引き受けてくれるので楽。
そして、食後。
「会計は僕が済ませました」と言う北村さん。
「えっ?」となる皆を前に、今回の飲み会の種明かしが…。
実は、北村さんは今度の会長選に立候補している久保先生の事務所に移る事になっていたのです。
全員、真っ青。
弁護士は公職ではないので、公職選挙法は適用されず。
そのため、飛び交う実弾には気を付けなくてはいけないのでした。
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クリスマスが終わり、仕事納めも過ぎた年末。
夕食後に、おせち料理の黒豆を作り始めるシロさん。
「なんで?」と不思議そうな表情をするケンジさんに、お正月は帰らないからと伝えるシロさん。
実は、先日に実家に帰った際に、「もしケンジが俺の嫁さんだったら、その嫁に正月、夫の実家に来るななんて伝える事がどんなにひどい事かわかるよね?」と。
ケンジがお嫁さんとは違う事もわかっているし、無理矢理ケンジと仲良くしてくれとは言わない。
お母さんの具合が悪くなるほどのストレスだっていうなら、ここにケンジを連れてこようとは思わない。
その代わり、俺も正月にこの家には帰らないと。
もともと、お正月に家に帰れと言ってくれたのはケンジだったとも伝えたのでした。
翌日。
ケンジさんが掃除係りで、シロさんは料理係りに。
二人とも精が出ます。
シロさんが作ってくれたお汁粉を食べながら、「俺のせいで親御さんと絶縁するなんて嫌だよ」と、思い切ったように言うケンジさん。
「絶縁じゃないよ」と、思っていることを打ち明けます。
これからも盆暮れ正月以外には実家に顔をだすし、親の葬式は俺があげようと思ってる。
両親と縁を切るつもりなんて全くない。
ただ、俺は俺にとって一番大切な人と正月を過ごしたいと。
そして、「こないだのお正月は、寂しい思いさせて本当にごめんな」と謝るのでした。
そして迎えた元旦。
新年のあいさつの後、シロさん特製のおせち料理を楽しむ二人でした。
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タブチ君に新しい彼女ができました。
校正の仕事をしている逸見千波さん。
同い年で、すでに一緒に住んでいます。
「彼女とはうまくいってるの?」と聞くケンジさんに、「微妙に料理が下手」と。
一人暮らし歴も自炊歴も長く、手際が良くて動きに無駄がない。
出来上がった料理はとてもおいしそうなのですが、味が今イチ…。
ギリギリ食べれるぐらいの微妙な感じの下手さ加減。
夕食に期待できない分、昼食への執着が強くなります。
お客さんとカルボナーラの話をしたことから、スパゲティ屋さんのカルボナーラが食べたくなったタブチ君。
休憩時間にさっそく行くのですが、この日に限って臨時休業。
代わりにミートソース専門店でスパゲティミートソースを食べたのですが、ますますカルボナーラを食べたい気持ちは募るばかり。
帰宅すると、八宝菜を作ろうと用意していた千波さんをキッチンから押しのけ、さっそくカルボナーラ作り。
タブチ君のこだわりいっぱいに出来上がったカルボナーラ。
念願のカルボナーラに、田口君の勢いが止まりません。
千波さんも「あーうま!!」ともりもり。
と…
ハッとしたように「半端に残った生クリームと卵4個分の卵白、八宝菜の材料はどうすれば!!」と我にかえる千波さん。
が、タブチ君はカルボナーラを食べるのに夢中で適当な返事しかしません。
キレた千波さんは、怒って出ていってしまったのでした。
そんな訳で、またまたタブチ君、彼女募集中です。
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職場のパソコンを前に、時折、目元に手を当てているシロさん。
自然とため息。
そんなシロさんの様子に、お茶を持ってきた志乃さんが「実はずっと差し上げたかったものがあるんです」とある品物を…。
「いやいや志乃さん、お気持ちだけで十分ですよ」と、紳士的な態度で断固拒否するシロさん。
「100均で買った100円の商品ですから、どうぞご遠慮なさらずに!」と「いやいや、本当にお気持ちだけで!」と二人で譲り合い?
そこに、大先生が静かに「素直にお認めなさい」と一言。
若先生も「そうだよ。いい加減諦めなって」と加勢。
震える手で、志乃さんが持ってきた品物…老眼鏡をかけると、驚くほどよく見えるパソコンの文字!
夕食。
もうすぐ誕生日が近いシロさんに、「何がほしい?」と尋ねるケンジさん。
「老眼鏡!」と即答。
もっとロマンのある物をと言うケンジさんでしたが、「ネットで超激安のだっさい老眼鏡を買っちまうぞ」という言葉で決定。
さっそく休みの日にメガネ屋さんに。
メガネ姿を堪能(主にケンジさん)するべく、その日は買ったばかりの老眼鏡をつけてお買い物。
スーパーのチラシの文字もくっきりハッキリ見えて、しばし呆然としてしまうシロさん。
夕食は、シロさんの誕生日ということで、シロさんが好きなものに。
・ぶりの鍋照り焼き
・ブロッコリーのえびあんかけ
・千切り大根のなっとうドレッシング
・えのきの味噌汁
「この後、ケーキ買ってあるから一緒に食べようね!」と話していると、宅配便が。
なんと、ジルベール・ワタルから「50歳の誕生日、ものすごーくお・め・で・と・う!」というメッセージ付きの豪華なお花。
「なんでその情報を知ってんだよ!」と怒るシロさん。
「気にしてるに決まっているから、絶対に年を言わないよーに気を付けてたのにぃ~」と、ケンジさんの苦労が水の泡。
その頃…
「あー今頃、筧氏はどんな顔してるかしら!いい気味~」と高笑いしているジルベール・ワタルでした。
#
思い切って、「公園で花見がしたい!」とシロさんに行ってみたケンジさん。
あっさり「いいよ」と言われて拍子抜け。
休みの都合で、日曜日の夜に夜桜見物に行くことになりました。
そんな平和な日々の中、シロさんの実家から爆弾が落とされました。
今度はお母さんにガンが見つかったのです。
「入院することになったら、その時はお父さんの事、どうかお願いね」と言うお母さんの言葉に、「わかった」とうなずくシロさん。
「何か今、聞いてお母さんに聞いておきたい事ってある?」との問いかけに、「…肉団子の作り方を教えてほしいんだよね」と、学生の頃にお弁当に入れてくれた料理のレシピを質問。
さらに、梅おかかのおにぎりについても…。
お母さん、何と言っていいのかわからず無言。
日曜日の夕方。
お弁当作りにいそしむシロさん。
お母さんに聞いた梅おかかのおにぎりも肉団子もあります。
近所の花見スポットでレジャーシートを広げ、シロさんが作ったお弁当とケンジさんが用意したお酒で乾杯。
お弁当を食べながら、お母さんにガンが見つかったことを話すシロさん。
手術で入院することになったら、お母さんの世話はもちろんお父さんの方も見ないといけなくなる。
実家と病院を行ったり来たりの状態になるので、食事の支度などでケンジさんにもいろいろと負担をかけるかもしれないと。
「悪いな」というシロさんに「全然!それはいいんだけど…」というケンジさん。
しばらく無言で見つめ合った二人の口から出言葉は、「年取ったよな~!」でした。
【次巻】
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