06巻:鬼滅の刃ー鬼殺隊柱合裁判ー

鬼滅の刃 6【電子書籍】[ 吾峠呼世晴 ]

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治療済みと書かれた紙を貼られ、包帯でぐるぐる巻きにされた善逸。
慣れた様子でテキパキとケガの負傷者に対応する“隠”の中、鬼滅の隊服を来た少女がいることに気が付きます。

その子は、最終選別にいた女の子でした。

その頃、冨岡と対峙するしのぶ。

「俺は嫌われていない」ときっぱり言い切る冨岡に、「あぁ…すみません。嫌われている自覚がなかったんですね。余計なことを言ってしまい、申し訳ないです」と返すしのぶ。

別の意味で張り詰めた空気の中、誤解を解こうと炭治郎が自分と禰豆子の関係を説明しますが、「苦しまないよう優しい毒で殺してあげましょうね」とまったく受け入れられない様子。

冨岡は炭治郎に禰豆子を連れて逃げるように指示し、追いかけようとするしのぶの前に立ちはだかります。

 

逃げる炭治郎を止めたのは、先ほどまでけが人などに対応していた女の子。

走るのに精一杯だった炭治郎はまともにケリを受けてしまい、禰豆子を話してしまいます。

すかさず切りかかろうとする女の子にしがみつき、「逃げろ、禰豆子!」と叫ぶ炭治郎。

とっさに走り出す禰豆子ですが、女の子の隊士はケガで満足に動けない炭治郎を軽く振り払うと、禰豆子を追いかけます。

 

一方、冨岡の方では、しのぶを羽交い絞めにしてなんとか動きを止めるものの、ぐちぐちと言葉で攻撃(正論)されていました。

そこに鴉が飛んできて、「伝令!炭治郎と禰豆子、両名を拘束。本部へ連れ帰るべし!」と伝えます。

その声は禰豆子を追いかけていた隊士にも伝わり、気を失ってしまった炭治郎と共に拘束されるのでした。

 

人を襲わないという保証、人を襲うという証明

誰かの呼ぶ声に目を覚ました炭治郎。

体をローブで縛られ地べたに転がされている状態の中、「柱の前だぞ!」という声に顔を上げると、そこには6名の柱の姿が。

柱は、鬼殺隊のなかでも位の高い9名の剣士であり、鬼殺隊を支えている存在です。

炎柱・煉獄
音柱・宇髄
恋柱・甘露寺
岩柱・悲鳴嶼
霞柱・時透
蛇柱・伊黒
水柱・冨岡
蟲柱・胡蝶

 

とまどう炭治郎に、「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ」と教えてくれたのは、先ほどの剣士・胡蝶しのぶでした。

目覚めた炭治郎に、次々と自分の意見を述べる柱達。
「殺してやろう」と意見が一致する中、炭治郎は必死に禰豆子の姿を探します。

柱達の話題は、次第に炭治郎から冨岡に。
炭治郎と禰豆子を庇った事が隊律違反になると。

しのぶから鎮痛薬をもらい、禰豆子がどうしても鬼になってしまったのかを説明する炭治郎。

「俺は禰豆子を治すために剣士になったんです。禰豆子が鬼になったのは2年以上前のことで、その間、禰豆子は人を喰ったりしてない!」

 

禰豆子は自分と一緒に戦えると必死に訴える中、必死に止める隠の声を無視しながら風柱・不死川が近づいてきます。

その手には、禰豆子が入った箱が…。

「勝手な事をしないでください」と怒り気味のしのぶを無視し、「鬼殺隊として人を守るために戦えるぅ?そんなことはなぁ、ありえねぇんだよバカがぁ」と、禰豆子が入った箱に刃を刺す不死川。

刀は禰豆子の肩を貫通し、箱からは血が…。

「俺の妹を傷つけるやつは、柱だろうが何だろうが許さない!」と、怒りに我を忘れた炭治郎が飛び掛かり、不死川の攻撃を避けて強烈な頭突きを一発お見舞いします。

禰豆子が入っている箱を背中に庇うと、「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら、柱なんてやめてしまえ!」と怒鳴る炭治郎。

 

そこに、館の主人である産屋敷が少女二人に伴われて姿を現したことで、それまで殺気立っていた空気が一瞬にして吹き飛びます。
柱たちが頭を垂れて一礼。

そして、それまでとは打って変わった丁寧な調子で挨拶をすると、炭治郎と禰豆子についての説明を求める柱達。

「炭治郎と禰豆子については、私が容認していた。そして、皆にも認めてほしいと思っている」という産屋敷の言葉に、炎柱・煉獄、音柱・宇髄、風柱・不死川、岩柱・悲鳴嶼、蛇柱・伊黒は反対。

すると産屋敷は、元柱であり炭治郎の師匠である鱗滝から届いた手紙を、隣に座っている少女に読んでもらいます。

もしも禰豆子が人に襲い掛かったら、炭治郎だけでなく自分と冨岡も腹を切ってお詫びします…という断固とした決意表明に、時が止まったように驚き固まる柱達。

炭治郎は、自分の知らないところでそんなやり取りがされていたことに驚愕。
大きく見開かれた目からは、大粒の涙がとめどなく流れます。

 

「切腹するからなんだと言うのか。何の保証にもなりません」と、自説を曲げない不死川。
煉獄もそれに同調します。

「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない、証明できない。人を襲うということもまた証明ができない」と静かに言う産屋敷。

禰豆子が2年以上もの間、人を喰わずにいるという事実。
禰豆子のために三人の者の命が懸けられている。

これを否定するためには、否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない…と続ける産屋敷の言葉に、反論できない不死川。
それは、煉獄も同じでした。

 

「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」との産屋敷の言葉に、ハッとする柱達。

なぜなら、これまで柱の誰一人として鬼舞辻に接触したことがなく、姿も能力も根城も不明だったからです

興奮したように炭治郎に質問攻めにする柱達でしたが、産屋敷が人差し指を口元に持っていくやいなや、ピタリと静かになります。

「鬼舞辻はね、炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾をつかんで離したくない。
おそらくは、禰豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ」

分かってくれるかなと問う産屋敷の言葉に、煉獄も宇髄も何かを考えるように黙りこみます。

 

が、不死川だけは「わかりません、お館様」と納得せず。

そして自分の腕を斬ると、「証明しますよ、俺が」と禰豆子が入っている箱の上に自分の血を垂れ流します。

「日なたではダメだ。日陰に行かねば鬼は出てこない」と助言する伊黒の言葉に、「失礼します」と屋敷の奥の座敷に禰豆子の箱と共に素早く移動。

「やめろ!」と止めに入ろうとする炭治郎を、伊黒が押さえつけます。

刀を箱に何度も刺して、禰豆子が箱から出るように仕向ける不死川。
血を流しながら、険しい表情で出てくる禰豆子。
血が流れる腕を禰豆子の前にかざします。

 

伊黒に強く抑えつけれた炭治郎を救ったのは、冨岡でした。

「禰豆子!」と叫ぶ炭治郎の声。
そして、「人は守り、助けるもの。傷つけない」という言葉。
家族の顔が脳裏に浮かんできます。

禰豆子は、ぷいっと不死川から顔をそむけます。

 

「鬼の女の子はそっぽを向きました」と答えるお付きの少女の報告に、「ではこれで、禰豆子が人を襲わないことの証明ができたね」と静かに言う産屋敷。

そして、炭治郎に「それでも、まだ禰豆子の事を快く思わない者もいるだろう。鬼殺隊として戦えること、役に立つことを証明しなければならない」として、十二鬼月を倒してくるように言います。

さらに、柱たちは抜きんでた才能がある。
血を吐くような鍛錬で自らを叩きあげて死線をくぐり、十二鬼月をも倒しているからこその尊敬があり優遇されている。
口の利き方には気を付けるようにと告げます。




 

蝶屋敷での特訓

炭治郎の件について一応の決着がつき、炭治郎はしのぶの屋敷に預けられることになりました。

「その傷だらけの人、頭突きさせてもらいたい!禰豆子を刺した分だけ!」と怒りが収まらない様子の炭治郎のを隠が数人がかりで担ぎ、連れ去ります。

去り際、産屋敷は炭治郎に「珠世さんによろしく」と、意味ありげに微笑むのでした。

 

蝶屋敷には、先の闘いにいた女の子の剣士がいました。

柱(胡蝶しのぶ)の継子として育てられている栗花落カナヲ。
炭治郎も、最終選別にいた事に気が付きます。

隠が「胡蝶様の申し付けにより参りました」と述べるのですが、にこにこしているだけで何も答えません。

困っているところに、同じく屋敷に住むお世話係のあおいが声を聞きつけ、炭治郎たちをベッドのある部屋まで案内します。

 

案内された部屋には、「5回飲むの!?」と泣き叫んでいる善逸がいました。
「まだ騒いでるの、あの人」とあおいが一喝して善逸を黙らせます。

さらに、善逸の隣には伊之助が。

「無事でよかった!ごめんな、助けにいけなくて…」と涙目で謝る炭治郎に対して、「いいよ、気にしないで」と声もおかしければ態度もどことなく大人しい。

どうやら、負けた事で落ち込んでいる様子。

 

炭治郎・善逸・伊之助・禰豆子は、それぞれが回復するためにしばしの休息に。

寝不足の禰豆子は寝まくり、炭治郎は痛みに堪えまくり、最も重症な善逸は騒ぎまくり、伊之助は落ち込みまくりの毎日を過ごします。

 

傷の具合もよくなってきたころ、機能回復訓練が行われることに。

善逸はまベットから動くことができず、先に炭治郎と伊之助だけが訓練に参加です。

訓練後の二人はかなり疲弊疲労した様子で、善逸が「何があったの?」と聞いても「ごめん」としか答えてくれないほど。

そんな二人の様子に完全にビビっている善逸。
いよいよ自分も参加となった日、炭治郎の背に隠れるようにして訓練場へと出向きます。

 

アオイが初参加の善逸の為に訓練内容を説明します。

まずは世話役の少女3名が寝たきりで硬くなった体をほぐし、それから反射訓練として湯のみに入った薬湯を、相手の動きを押さえて掛ける。
最後に全身訓練として、アオイとカナヲを相手とした鬼ごっこ。

その説明に、「すみません、ちょっといいですか?」と炭治郎と伊之助を外に連れ出す善逸。

そこで「天国にいたのに地獄にいたような顔してんじゃねぇぇぇ!!」と二人を罵倒します。

「女の子と毎日、キャッキャッキャッとしてただけのくせに何をやつれた顔してみせたんだよ!女の子に触れるんだぞ!幸せ!!」と大興奮。

「わけわかんねぇこと言ってんじゃねーよ!自分より体小さい奴に負けると心折れるんだよ!」と反論する伊之助でしたが、「やだ可哀想!山育ちだもんね」との善逸の返しに怒りながらも士気が回復。

激痛がする体のもみほぐしでも笑い続け、反射訓練ではアオイに勝利すると次々と訓練をこなす善逸でしたが、裏で話した声はすべて筒抜けだったため、少女たちの目は厳しい。

そのせいか、鬼ごっこではアオイにしがみつきフルボッコ。

 

伊之助の方も順調にこなすも、炭治郎だけはいまだに負け続け薬湯を全身にかぶっていました。

善逸と伊之助は残すところカナヲを相手にした薬湯の掛け合いと鬼ごっこなのですが、まったく刃がたたない。

負け慣れていない伊之助は不貞腐れてへそを曲げ、「俺にしてはよくやった」と早々と諦める善逸。
ついには二人とも道場にこなくなり、炭治郎だけの訓練…といった状態に。

 

そして、負け続けて10日。

訓練後、「なんで俺は勝てないのだろう。俺とあの子の何が違う?まずは反射速度が全然違うんだ…」と悶々としていると、世話役の3人娘…なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんが全身ずぶ濡れの炭治郎のためにと手ぬぐいを持ってきてくれます。

さらに、「炭治郎さんは全集中の呼吸を四六時中やっておられますか?」と、訓練をクリアーするためのアドバイスも。

全集中の呼吸は少し使うだけもかなりきついもの。
朝も昼も夜も寝ている間もずっと全集中の呼吸ができるようになると、天地ほどの差がでる。

柱の皆はもちろんカナヲもできているという話に、突破口をみつけた炭治郎。
全集中の呼吸を克服するため、早起きして走り込みや息止め訓練で肺を鍛えます。

 

そんな炭治郎の頑張る姿に、3人娘もおにぎり差し入れ。
さらに、カナヲが稽古時に使っているひょうたんも。

吹いて瓢箪を破裂させるという話に真っ青になる炭治郎。
しかも、瓢箪は特殊なもので、通常の瓢箪よりも硬い。
サイズも、大・中・小の3つ。

 

しのぶの願い

15日後。
月の光の下、屋根の上で瞑想をしていると、そこに胡蝶しのぶがやってきます。

一人で訓練するのは寂しくないかと問うしのぶに、「いえ!できるようになったらやり方を教えてあげられるので!」と答える炭治郎。
「君は心が綺麗ですね」との言葉に思わず照れます。

「どうして俺たちをここへ連れて来てくれたんですか?」と問う炭治郎。

「禰豆子さんの存在は公認となりましたし、君たちのケガもひどかったですし。それに、君には私の夢を託そうと思って」

しのぶの夢とは、「鬼と仲良くする夢です。きっと君ならできますから」とにっこり。

そんなしのぶから、怒りの匂いをかぎとった炭治郎。
「怒ってますか?」という問いかけに、おもわず驚くしのぶ。

「ずっと笑顔だけど…」と続ける炭治郎に、「そうですね、私はいつも怒っているのかもしれない」と、自分の心の内を吐露します。

 

鬼に最愛の姉を惨殺された時から。
鬼に大切な人を奪われた人々の涙を見るたびに、絶望の叫びを聞くたびに。
私の中には怒りが蓄積され続け、膨らんでいく。

他の柱たちもきっと似たようなものであると。
お館様の意向からも、今後、禰豆子に誰かが手を出すことはないと断言します。

そして、「私の姉も君のように優しい人だった」と、死ぬ間際まで鬼に同情し憐れんでいたと。

鬼は嘘ばかり言う。
理性を無くし、むき出しの本能のまま人を殺す。

しのぶは立ち上がると、「がんばってくださいね。どうか禰豆子さんを守り抜いてね。自分の代わりに君が頑張ってくれていると思うと、私は安心する。気持ちが楽になる」と炭治郎に告げ、その場を去るのでした。

 

翌日、3人娘の手も借りながら、より訓練に励む炭治郎。
ついに特大瓢箪を破壊!

さらに、全集中の呼吸が長くできるようになり基礎体力が上がり、カナヲの動きにもついていけるように。
鬼ごっこも薬湯もクリアー。

離れた場所で、喜ぶ炭治郎と3人娘の様子をみていた伊之助と善逸は真っ青。
しのぶからの応援(挑発?)効果からも、9日後に炭治郎と同じく全集中の呼吸・常中を会得。

 

その頃になって、炭治郎と伊之助のところに打ち直してもらった刀が届けられます。

「よくも折ったな、俺の刀を!」と、怒り狂っている鋼鐵塚。
炭治郎の姿をみると、包丁で追いまわします。

「俺も本当に死にそうだったし、相手もすごく強くって…」と慌てて説明するも聞く耳持たず。
1時間、追い回されます。

伊之助の刀は、鉄穴森(かなもり)さんが作ってくれた刀を手にすると、岩で刀を滅多打ち!

思いがけない行動に「ぶっ殺してやる、この糞餓鬼!」と怒る鉄穴森さんを必死に炭治郎が止めます。

その場にいない善逸は、禰豆子が入る箱の隣にすわり、訓練の事や炭治郎をほめたりと(一方的に)おしゃべりを楽しんでいたのでした。

 

新たな刺客

琵琶の音に、気が付けばからくり屋敷のような場所に呼び寄せられた十二鬼月の下弦、4名の鬼。

そこに鬼舞辻が女性の姿で姿を現します。

怒り心頭の鬼舞辻は、下弦の伍である累が殺されたことを告げます。

「私が問いたいのは一つのみ。何故に下弦の鬼はそれほどまで弱いのか。何度入れ替わった?」

鬼舞辻の言葉に、「そんなことを俺たちに言われても…」と心の中でつぶやく鬼の一人。
有無を言わさず殺してしまいます。

己の血を分け与えた者の思考を読み取ることができる鬼舞辻は、姿が見える距離ならすべての思考の読み取りが可能。
離れれば離れるほど、鮮明には読み取れなくなるものの、位置は把握可能。

それはつまり、禰豆子についてもおなじことがいえ、通常であれば鬼殺隊の本拠地である産屋敷邸が鬼舞辻に知られてしまっていることに。

ところが、珠世に続き禰豆子も鬼舞辻の呪いを外してしまっている。

「もはや十二鬼月は上弦のみで良いと思っている。下弦の鬼は解体する」と、次々に殺される下弦の鬼。

 

最後に残った鬼…下弦の一。

「最後に言い残すことは?」との鬼舞辻の問いかけに、うっとりとした表情で感謝を述べる下弦の一。

「私は夢見心地でございます。貴方様直々に手を下していただけること。他の鬼達の断末魔を聞けて楽しかった。幸せでした。
人の不幸や苦しみを見るのが大好きなので、夢に見るほど好きなので。私を最後まで残してくださってありがとう」

そんな下弦の一の言葉に「気に入った」と、自分の血を分け与える鬼舞辻。

「鬼狩りの柱を殺せ。耳に花札のような飾りをつけた鬼狩りを殺せば、もっと血を分けてやる」

そう告げると、その場から去ります。

 

鬼舞辻の血に順応するべく耐える下弦の一。
のたうち回りながら、いつしか元の世界に。

下弦の一の脳裏に、炭治郎の姿が…。

「うふ、うふふ…柱とこの子どもを殺せば、もっと血を頂ける…夢見心地だ…!!」

うっとりした表情でつぶやくのでした。

 

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