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体の堅い鬼に苦戦する炭治郎と伊之助。
懸命に技を繰り出しますが斬り込むことができず、炭治郎は遠くに吹っ飛ばされてしまいます。
「俺が戻るまで、死ぬな!!」と叫びながら遠ざかる炭治郎。
鬼と伊之助の一騎打ちです。
その頃、力を使い果たし力尽きている善逸のところに、軽やかに舞い降りる一人の剣士の姿がありました。
伊之助の記憶
なんとか着地した炭治郎でしたが、そこはちょうど鬼がいるところ。
蜘蛛の鬼の前に、姉役の鬼が血を流して座り込んでいます。
「何してるんだ!仲間じゃないのか!」と怒る炭治郎に、「そんな薄っぺらいものと同じにするな」と、自分たちは家族であるという蜘蛛の鬼。
そんな蜘蛛の鬼から恐怖と憎しみ、嫌悪の匂いをかぎ取った炭治郎は、「家族も仲間も、強いきずなで結ばれていれば、どちらも同じように尊い。お前たちは紛い物…偽物だ!」と、強く糾弾します。
そこに、隊士の一人が乱入してきますが、炭治郎の言葉に怒った蜘蛛の鬼によって瞬殺されます。
「おまえ、いま何て言ったの?」と、凄まじい威圧感を見せる蜘蛛の鬼。
その頃、伊之助は苦戦していました。
木の陰に隠れ、「どうする…考えろ!」と必死に打開策を見つけようとしているところに、鬼の強烈な一撃が。
なんとかかわし、「あいつが戻るまでなんとか…」と考えながら鬼から離れた瞬間、ハタと我に返ります。
いつのまにか炭治郎と同じ思考回路に汚染されていると気が付き、踵を返し鬼に向かって突進。
「考える俺なんて、おれじゃねぇ!!」と、力まかせに2本の剣で鬼の腕を切り落とすことに成功します。
「一本で切れないなら、二本で斬ればいいんだ!最強!」と喜ぶ伊之助。
…と、鬼が逃げていきます。
見つけた先は、木の上。
鬼は激しく全身を震わせたかと思うと、脱皮。
巨大な姿となって、伊之助の元へと飛び降りてきました。
その姿と鬼からの“圧”に、自分の死を悟る伊之助。
瞬間、炭治郎と藤の花の屋敷のおばあさんの言葉が思い出され、気持ちをもちなおします。
でも、猛然と飛び掛かってくる鬼の力はすさまじく、さすがの伊之助も首根っこをつかまれて持ち上げられてしまい大ピンチ。
頸椎を握りつぶされる直前の瞬間、走馬灯をみます。
泣いて謝る女性と赤ちゃん。
心配そうな顔をする炭治郎と善逸。
藤の花の屋敷のおばあさん。
手にとまったトンボ。
自分を見下ろしている女性の姿…。
「誰だ…」と思っていると、鬼の腕が斬られ伊之助は地面に落下。
視線の先には、鬼殺隊の姿が…冨岡義勇でした。
素早い動きと、あんなにも切れなかった鬼をスパッと斬り倒す冨岡の姿に見とれる伊之助。
心はワクワクが止まらず、冨岡に勝負を挑むも、あっさりと縄で縛られて木に吊るされてしまいます。
蜘蛛の鬼が欲しいもの
「さっきの言葉を取り消せば、一思いに殺してあげる」という蜘蛛の鬼の言葉に、「取り消さない。俺の言った事は間違ってない!」と返す炭治郎。
蜘蛛の鬼が繰り出す糸によって、刀が折れてしまいます。
生きているように動く糸の攻撃。
折れた刀。
追い詰められ、よけきれないと悟った瞬間、禰豆子が箱から飛び出て炭治郎を庇い全身を糸でズタズタにされてしまいます。
禰豆子を抱えると、木の陰に避難する炭治郎。
「兄ちゃんをかばって…ごめんな…」と禰豆子の傷を見る炭治郎たちの様子に、蜘蛛の鬼は「妹は兄を庇った…身を挺して…」と、その動きをとめて二人の様子に見入っています。
そして出た答えが「本物の絆だ!ほしい!!」。
そんな蜘蛛の鬼の様子に、姉役の鬼が「私が姉さんよ。姉さんを捨てないで!」と迫りますが、「うるさい!」という一声と共に首を切り落とされてしまいます。
それでも懇願する姉役の鬼に「だったら今、山の中をちょろちょろする奴らを殺してこい」と命令。
姉役の鬼は首を拾うと、「わかった…殺してくる」と森の奥に消えていきました。
姉役の鬼の姿が見えなくなると、蜘蛛の鬼は炭治郎に「話をしよう」と語りかけます。
炭治郎と禰豆子の絆に体が震えた。
この感動を表す言葉は、きっとこの世にはないと思うと、二人の絆についてとつとつと自分の思いを打ち明ける鬼。
そして、「君の妹を頂戴」と。
「恐怖の“絆”を繋ぐから大丈夫。逆らうとどうなるかちゃんと教える」と持ち掛ける蜘蛛の鬼に激怒する炭治郎。
「恐怖でがんじがらめに縛り付けることを家族の絆とは言わない。その根本的な心得違いを正さなければ、お前の欲しいものは手に入らないぞ」と言うも蜘蛛の鬼には伝わらず。
「殺して獲るからいいよ」と言った蜘蛛の鬼は、自分が十二鬼月であることをその証拠(瞳に刻まれた“下伍”)と共に示すのでした。
蜘蛛の鬼が繰り出す糸によって、鬼の元に引き寄せられた禰豆子。
禰豆子の一撃でひるんだすきに炭治郎が攻撃を仕掛けますが、避けた直後、禰豆子が糸にがんじがらめにされている状態に。
全身から血を流す禰豆子。
蜘蛛の鬼の糸を連撃技で切り詰めていく炭治郎ですが、血鬼術の前に死を悟ります。
流れるようにこれまでの場面が思い浮かびは消えていく走馬灯。
「炭治郎、呼吸だ。息を整えて。ヒノカミ様になりきるんだ」という父の姿が鮮明に思い出されます。
子どもの頃にみた、父の舞。
体が弱い父が、雪の中で長時間にわたって舞を舞えるのが不思議だった炭治郎に、父は「息の仕方があるんだよ。どれだけ動いても、疲れない息の仕方」と教えます。
そして、「この神楽と、耳飾りだけは必ず途切れさせず継承していってくれ。約束なんだ」と。
ヒノカミ神楽を繰り出す炭治郎。
糸が切れるも、新しい糸が瞬きする間もなく張らる状態に苦戦。
禰豆子を守るため、相打ち覚悟で斬り込んでいきます。
宙に吊るされた状態の禰豆子。
深い意識の中、母が禰豆子の名を呼びます。
「禰豆子…お兄ちゃんまで死んでしまうわよ…」と、涙を流す母の言葉に、意識が目覚める禰豆子。
咄嗟に兄の危ない状態をみるや、血鬼術で糸に火を放ちます。
炭治郎からの思わぬ反撃を防ぐため、禰豆子を吊っているのと同じ糸を使っていた蜘蛛の鬼。
染み込んだ禰豆子の血を燃やすという異能を発揮したのです。
糸が切れ、折れた刀が鬼の首に。
その刀には禰豆子が炭治郎を身を挺して庇ったときの血が付着していたため、禰豆子の血が爆ぜ、日輪刀の力が加速。
堅い鬼の首を切り落とします。
蟲柱・胡蝶しのぶ
森の中を走る、姉役の鬼。
「しくじった…この家族ごっこを!」と、その表情は顔面蒼白です。
家族な皆、血のつながりはなし。
鬼狩りが怖くて、仲間が欲しくてあつまっただけの寄せ集めでした。
能力はすべて蜘蛛の鬼…累(るい)から分けてもらったものであり、そうした事が許されていたのも、鬼舞辻無惨のお気に入りだっため。
家族になる為には、まず顔を変えなければいけない。
累に似せるために。
累の家族ごっこの要求や命令に従わない場合、切り刻まれたり、知能を奪われたり、吊るされて日光に当てられるなど、これまでの数々の悲惨な最期にをみてきました。
自分の立場が危ういことを自覚している姉役の鬼は、隊士を見つけると有無を言わずに術を掛けます。
と…
背後に人の気配。
「こんばんは。今日は月がきれいですね」とにっこり微笑む女性剣士の姿が。
蟲柱の胡蝶しのぶでした。
鬼は咄嗟に繭糸を繰り出しますが、ひらりひらりと避けられてしまいます。
「わたしと仲良くするつもりは、ないみたいですね」と微笑むその剣士から“死”の気配を感じた鬼は、とっさに「私は無理矢理、従わされているの!助けて!」と懇願します。
それを聞いたしのぶは、「可哀そうに。助けてあげます。仲良くしましょう。協力してください」と、仲良くするための質問をします。
「かわいいお嬢さん。何人、殺しましたか?」
しのぶの質問に「5人」と、嘘で答える鬼。
しのぶはにっこり微笑むと、「80人は食っていますよね?」と問い詰めます。
そして、「お嬢さんは正しく罰を受けて生まれ変わるのです。そうすれば私たちは仲良しになります」と。
真っ青になる鬼。
それはつまりは、殺した人の数だけ拷問を受けるという事だからです。
「大丈夫!お嬢さんは鬼ですから、死んだりしませんし、後遺症も残りません!」というしのぶの言葉に、「冗談じゃないわよ!」と攻撃をする鬼。
でも、しのぶの持つ刀から毒を注入され、あっけなく死んでしまうのでした。
累の願い
なんとか累の首を切り落とした炭治郎。
力を使い果たし、動くこともままなりません。
禰豆子の元に気力を振り絞って近づいていく炭治郎の後ろで、首を切り落とされた累の身体が起き上がり、糸を使って自分の首を引き寄せます。
鬼が消えていく時の灰のような匂いが感じられず、禍々しい気配に累がまだ息絶えていないことを察する炭治郎。
ですが、体がまったく言う事を聞かない状態。
「もういい。お前も妹も殺してやる。こんなに腹がたったのは久しぶりだよ」と、血鬼術で炭治郎の身体を切り刻もうとする累。
間一髪のところで、冨岡が到着し糸を断ち切ります。
そして、累の首をすっぱりと斬り落とします。
首が落ちる瞬間、禰豆子を庇うように体を乗せている炭治郎の姿が目に入ります。
「累は何がしたいの?」
家族役の鬼から言われた事が思い出される累。
その質問に、答えられなかったことも。
なぜなら、人間の頃の記憶がないから。
本物の家族の絆に触れたら、記憶が戻り、自分が欲しいものがわかると思っていた累。
その刹那、自分の鬼になった時の記憶が呼び覚まされます。
生まれつき体が弱かった累。
鬼舞辻無惨によって強い体になったけれども、日の光に当たれず、人を喰わねばならなくなった。
両親は嘆き悲しみ、累を殺そうとしました。
川で溺れた我が子を助けるために死んだ親もいるのに、なぜ自分の両親は自分を殺そうとするのか?
包丁で自分を殺そうとする父。
泣くだけで、殺されそうな自分を庇ってくれない母。
この家族は偽物だった、絆は本物じゃなかったと、両親を殺してしまう累。
ぼんやり月を眺めていると、死にかけの母が何かつぶやきます。
その言葉を聞いた瞬間、「大丈夫だ、累。一緒に死んでやるから」と、襲い掛かってきた際に言っていた父の言葉の意味も理解。
自分自身で本物の絆を断ち切ってしまったことに気が付き、自分を責める累。
自分のしてしまった事を正当化し耐えるため、「すべてはお前を受け入れなかった親が悪いのだ。己の強さを誇れ」という鬼舞辻無惨の言葉を受け入れるのものの、毎日、父と母が恋しくてたまらない。
偽りの家族を作っても虚しさはなくならず、強くなればなるほど人間の頃の記憶も消えていく。
自分は一体何がしたかったのか?
ふらふらと炭治郎のところに歩き、手を伸ばす累の身体。
そんな累から抱えきれないほどの大きな悲しみの匂いをかぎ取った炭治郎は、倒れた背中にそっと手をのせます。
背中から伝わってくる、日の光のような優しい手。
そのぬくもりから、はっきりと思い出す累。
自分は、謝りたかったのだと。
「山ほど人を殺した僕は…地獄に行くよね…父さんと母さんと同じところには行けないよね…」と灰になりながら、つぶやく累。
と…
座り込む累の背中に、大きな手が置かれます。
顔を上げると、そこには両親の姿が。
「父さんと母さんは、累と同じところに行くよ」
その言葉に、累の髪と瞳が人間の頃の姿に戻っていきます。
灰と化した累。
その残った服を踏みつける冨岡。
「人を喰った鬼に情けをかけるな。子どもの姿をしていても関係ない」という冨岡に炭治郎は、「もちろん俺は容赦なく鬼の頸に刃をふるいます。だけど、鬼である苦しみ、自らの行いを悔いている者を踏みつけにはしない。鬼は、俺と同じ人間だったんだから」と反論します。
見下ろす冨岡は、炭治郎が庇っているのが禰豆子だと気が付き、一瞬おどろきの表情を浮かべるものの、すぐに別の気配を察知。
その瞬間、冨岡が刀を抜き何者かの攻撃を防ぎます。
炭治郎と禰豆子を庇うように刀を構える冨岡。
なんと、攻撃してきたのは胡蝶しのぶでした。
禰豆子の鬼の気配を感じ取っての攻撃の様子。
でも冨岡に邪魔をされ、ちょっとお冠です。