【中古】 金田一少年の事件簿(文庫版)(File7) 講談社漫画文庫/さとうふみや(著者) 【中古】afb 価格:150円 |
クリスマスも近い冬の北海道。
事件は函館異人館ホテルにておこなわれた、劇団「アフロディア」による推理マニアイベント「ミステリーナイト」。
2回に分けて劇が上演されるミステリーナイトでは、まずは推理劇を上演し宿泊客が推理。
数日後に解答編を上演されます。
ところが、開催前に「赤髭のサンタクロース」と名乗る怪人物から劇の中止を要求する脅迫状が。
事件を担当する俵田刑事は、「六角村」でのはじめの推理からも手伝ってほしいとはじめに来るように声をかけます。
その話を聞いたはじめは、美幸とともに函館異人館ホテルへと向かったのでした。
そこには、俵田刑事だけでなく、別件で来ていた北海道警警視・不破鳴美も。
さらに、後輩の佐木もいつのまにかちゃっかりついて来ていました。
決して歓迎しているわけではない不破警視によって、はじめと佐木はいわくつきの315号室に宿泊する事に。
部屋中真っ赤に塗られた315号室は、かつて事件があった部屋。
今回の脅迫状の送り主である赤ひげのサンタクロースが長い間、泊まっていた部屋であり、100年前には館の主人が自殺しているといういわくつき。
そうしたことからも、今では使われていない部屋だったのです。
劇団アフロディア関係者も全員到着。
万代鈴江…劇団長であり、戦後最大のスター女優。
虹川幸雄…脚本家兼男優。
文月花蓮…女優であり、万代鈴江の門下生。家族を失い、万代鈴江が引き取った。
榎戸あきら…男優、ピエロ役。
辺見魔子…劇団の若手ナンバーワン女優。顔に大きな傷があるが、舞台ではメイクで隠して超絶美人。花蓮に気がある。
市川玉三郎…男優。人形使い役。一切話さず、腹話術ではじめたちに情報を伝える。
準備にいそしむ中、赤髭のサンタクロースから切断された猫の生首が届き、劇の控室も滅茶苦茶に荒らされ、壁には警告文。
万代鈴江は、それに怖気ることなく劇を遂行すると決定します。
そしてその日の夜。
推理劇の前編終了間際。
舞台の上で予告通りに殺人事件が発生するのでした。
劇団長である万代が、舞台上で毒を飲まされ死にます。
第2の殺人
無造作にとられたグラスから、死んでしまった万代鈴江。
劇団員を無差別に狙った無差別殺人かもしれないと推理するはじめの言葉に、激しく動揺する榎戸あきら。
さりげなさを装ってその場から榎戸を遠ざけようとする虹川幸雄の態度から、何か隠し事を感じとります。
調査の手始めとして、異人館ホテルの支配人・雪村剛造から、315号室に泊まっていた赤髭のサンタクロースについて話を聞くはじめ。
赤髭のサンタクロースがやってきたのは10年前。
10年間、315号室を貸し切りたいと指定。
部屋を真っ赤にして、そこに住み始めます。
以後、なぜか隣の316号室を指定して泊まるお客さんが増加。
その中に、万代鈴江らしき人もいたような気がすると話す雪村。
ところが1年前に、親戚と名乗る者から「事故で亡くなった」という電話があり、それ以来、315号室は使われていないと。
しかも、315号室は赤髭のサンタクロースのものではなくなるのが、ミステリーナイトの最終日である殺人劇の解答編が上演されるイブの夜だと。
さらに、3ヵ月前にどうしても315号室を使いたいという客の話も。
長いコートに包帯で顔をぐるぐる巻きにし、会話はすべて筆談といったいでたちで、その姿はまったく確認できなかったと。
話を聞き終えると、今度は赤髭のサンタクロースがよく足を運んでいたという喫茶店に向かいます。
喫茶店のマスターから、コーヒーに入れる砂糖が尋常な量じゃなかった事、よく呼び出しの電話がかかっていた事を聞きます。
ホテルに戻ったはじめと美雪は、ちょうど食事をしていた花蓮から劇団フロンティアの人間関係について聞きます。
その夜。
野外プールに呼び出しを受けた虹川。
犯人によって殺されてしまいます。
第3の殺人
市川から、万代と虹川が二人でよく異人館ホテルを訪れており、決まって316号に泊まっていたという話を聞いたはじめ。
さらに不破警視からも、赤髭のサンタクロースが麻薬密売人であることを教えてもらいます。
不破警視が異人館ホテルに来ていたのは、赤髭のサンタクロースが密売人である証拠と麻薬のルートを見つけ出すため。
脅迫状が届いたことで、まだ赤髭のサンタクロースは生きていて、その尻尾を掴めるかもしれないと思ったとの事でした。
その頃、ハンディカムの映像を整理していた佐木は、偶然映った映像から万代を殺したトリックを知ります。
その事をはじめに伝えようとしますが、一足先に気が付いた犯人によって殺されてしまいます。
しかも、佐木が殺された現場・315号室は蜜室で、異変に気が付いてかけつけたはじめは薬で眠らされ一緒に閉じ込められるという状況。
そのため、犯人として手錠をかけられてしまいます。
第4の殺人
佐木が殺されたことで茫然自失状態のはじめでしたが、「しっかりしろ、金田一。こいつは犯人の罠だぞ!」と気力を立て直すと、俵田刑事の力を借りて調べ始めます。
ところが、不破警視から「真犯人が名乗り出た」と手錠を外されます。
なんと、犯人は花蓮。
遺書を残して青酸カリで服毒自殺していたのでした。
同時に、315号室から316号室への抜け穴も見つかり、赤髭のサンタクロースの取引方法まで判明。
なぜはじめが疑われている状態で自殺したのか?
その答えは、佐木の爪に残っていた皮膚。
DNA鑑定ですべてが露見する事からも逃げられないとして、覚悟の自殺をしたというのが、不破警視の見立てだったのです。
真犯人
花蓮が犯人とは思えないはじめは、もう一度調べ始めなおします。
そして、佐木が持っていたビデオの中から事件の真相にたどり着きます。
真犯人を突き止めたはじめは、不破警視の妨害を阻止するため、明智警視と剣持警部を呼び寄せます。
真犯人に名乗り出てもらうため、雪村オーナーや美雪、不破警視に代役を頼み、最初に作られた台本通りの解答編を上映。
そこで明らかになった犯人は、不破警視。
しかも、不破警視は行方不明になっていた文月花蓮の双子の姉であることが判明します。
幼いころ、両親が事故死。
別々の家に引き取られた不破警視…もとい北見蓮子は、高校2年生の時に家出。
札幌で知り合った男性に麻薬付けにされ、抜け出すために殺してしまいます。
自殺しようと訪れた崖で、先に投身自殺した女性の遺書と靴、カバンをみつけた蓮子。
遺書からその女性には身寄りがないことをしり、戸籍を乗っ取ります。
整形して顔を変え、死に物狂いで勉強して東大入学。
自分をどん底に落とした麻薬密売人を取り締まるため警察に。
ひき逃げで死亡した赤髭のサンタクロースは、誰かに殺されたのではないかと疑い捜査を続行したところ、そこで万代や虹川に行きつきます。
ところが、そこにいたのは花蓮。
顔を変えて戸籍も乗っ取っている事を万代や虹川に知られてしまい、自分たちを見逃すこと、さらには警察が押収した麻薬を横流ししろとまで脅迫を受けることに。
実は、万代や虹川は赤髭のサンタクロースを殺してしまったものの、麻薬ルートがわからず麻薬が手に入らず困っていたのです。
花蓮を殺したのは、自分が夢見ていた女優として輝いていたから。
しかも、もう少しで万代や虹川を逮捕できると思ったのに、花蓮の態度からすべてバレてしまって、これまで築いてきたエリート刑事としての地位までめちゃくちゃにされたからだったのでした。
最後の謎
佐木から受け取っていた本から、赤髭のサンタクロースの麻薬ルートを見つけるはじめ。
さらに数か月後。
北見蓮子に会いにいきます。
そこには、再手術で元の顔に戻っていた北見蓮子の姿が…。
「もう誰にもブスなんて言わせないわよ!」とくすくす笑う蓮子に、はじめは「あんたの心は誤った醜い思い込みに満ちている」と、あるものを見せます。
それは、花江(花蓮)の遺品の中にあったデザイン事務所の社員証。
花江の夢はデザイナー。
いつか、女優となった姉の衣装デザインするのが夢でした。
行方不明の姉・蓮子が戻ってきたときに、舞台女優として生活できるように、女優とデザイナーの二重生活を送っていたのでした。
その事実に、衝撃を受ける蓮子。
自分が犯した取り返しのつかない過ちに、泣き叫ぶのでした。