価格:540円 |
衝撃的なほどに、立場が逆転!
いつのまにか主人公がやばい状況にまで追い詰められており、もはや形勢逆転は無理!
もやもやっと、すっきりしない終わり方です。
してやられた感が半端ない。
主人公と同じ立場だったら、本当に嫌だなと。
ストーリーはこちら↓
ミステリ作家の冴子は、友人・亜美から恋人タケルを紹介される。
第一印象からタケルに不穏なものを感じていた冴子は、一通のファンレターを契機に、タケルに不審を抱き、彼の過去を探ることに。
するとそこには数多くの死が…!
そしてその死は着実に冴子と亜美にも近づいていた。
逆転に次ぐ逆転。
鮮やかに覆っていく真実。
これぞミステリの神髄!
主人公は、そこそこに売れている作家・西野冴子。
友人は会えて作らない主義なのか敬遠されてしまうタイプなのか、あまり友達付き合いはありません。
そんな冴子にある日突然、高校時代の同級生・篠亜美から電話がかかってきます。
学生時代、勉強を少し教えてあげた覚えはあるけれども、そこまで仲が良かったとは言えない亜美。
わざわざ連絡を取ってきたのは、自分が作家になったからと思いつつ、六本木のバーで再会します。
数年ぶりにあった亜美は、高校の時よりもあか抜けておりオシャレ。
現在は家事手伝いと比較的時間が自由に使えるからか、それから月に1~2回ほど会うようになります。
ところが、半年ほど経った頃、亜美に恋人ができてから少し状況が変化。
そして、亜美の恋人を紹介してくれるということになりますがすっぽかされてしまいます。
その後、二人で会っている時に亜美が恋人に連絡。
やってきたのは、茶髪でズボンにチェーンを付けている軽そうな男性。
名前はタケル。
二人になれそめを聞くと、有楽町のアイリッシュパブで出会ったと…。
一目でタケルの事を毛嫌いする冴子。
心の中で「タケルとなんか別れればいいのに…」とまで思うほど。
そんな冴子のもとに、一通のファンレターが届きます。
白い便せんに記帳面な字で書かれたそれの差出人は、マンション住まいの主婦。
その手紙の内容は冴子の作品に関する感想ではなく、最近、身の回りに起こった事件の相談についてでした。
隣の部屋で自殺した南条萌について。
その主婦は死体発見時に現場に居合わせていたものの、特に不自然なこともなく自殺と断定されたそう。
後日、ご両親が遺体を引き取りに来て、今は空き部屋になっていると…。
どうしてこんな話を自分にといぶかしんでいると、そこにタケルという名前が。
しかもそのタケルに関した描写が、茶髪、ズボンにチェーンと亜美の彼氏のタケルと似通っています。
どうやらその主婦は、タケルという男性が南条萌の自殺に関わっているのではないかと疑っているよう。
ミステリを書いている冴子なら、犯罪捜査にも詳しいだろうから、自殺に見せかけた殺害方法などを知っているのではと手紙を出したのでした。
冴子としては警察が自殺と断定したことから疑う余地はないと思いつつ、タケルという名前にひっかかり、亜美が付き合っているタケルと同一人物かどうかを確かめるために、その主婦と会う事にします。
登場人物はこちら↓
西野冴子…小説家。友人はあまりいない。
篠亜美…高校時代の友人。写真嫌い。実は!?
タケル(鈴木健)…亜美の恋人。冴子の知り合いに通じている。
南条萌…タケルと付き合っていたことがあり、別れた後にストーカーされる。自殺。
主婦…南条萌の隣にすむ主婦。冴子に手紙を送る。
泉堂莉菜…未解決事件専門のジャーナリスト。過去に身内が大事件に関与。「鈴木家殺人事件の真実」作者。
白石唯…「鈴木家殺人事件の真実」を冴子に送る。亜美や冴子の従妹にも接点がある?
いとこ…奥さんが階段から突き飛ばされた件で冴子に相談。友人の知り合いのタケルが怪しと言う。
担当編集者…冴子にいろいろと力になってくれているのだけれども、内心ではよく思っていない?
小松長治…鈴木家殺人事件の関係者。
桑原銀次郎…泉堂莉菜を調べるジャーナリスト。
冴子さんがタケルを調べていくうちに、このタケルが冴子さんの知っている人のところにも現れていることを知る事になります。
タケルの目的はなんなのか?
必死に探る冴子さんですが、実はその裏には大きな罠が隠されています。
どんどんドツボにはまって、身動き取れなくなる。
急に自分の立場が逆転…ひっくり返された時は、読んでいるこちらも「えっ?」って感じです。
いつのまにそんな状況になってたのよ~!?
まさに、蜘蛛にからめとられた哀れなエサ。
異世界に放り込まれてしまったように、世界が急に反転します。
びっくり~!!
そこで読者はハッと冴子さんの思考から抜けて、一般の目線に。
そういうことだったのかぁ~と納得、恐怖。
冴子さんを嵌めた人、怖すぎ、頭良すぎ。
絶対にお近づきになりたくないわぁ~。
ちなみに、この後に「十五年目の復讐」という話があります。
これは、今回の事件に関わった人たちの話。
事件の裏側ではこんなことが起こっていたのかと。
「Mの女」を読んで、「十五年目の復讐」を読んで、また「Mの女」を読むと見方が変わっておもしろいです。
二度読みするのは面倒に感じるけど、最初に読んだ時とはまったく違う視点で読めるのでおすすめです。
是非、セットで!
<浦賀 和宏さんの書籍>
「眠りの牢獄」