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「このミステリーがすごい!」
「史上初、デビュー作にして3冠!」
「21世紀最高の大型新人による、前代未聞のクローズド・サークル」
…なんて書かれた帯に惹かれて読み始めました。
しかも、綾辻行人さんをはじめとする人気作家さんからのコメント付き。
特に印象的だったのが、知念実希人さんの
「久しぶりにがっちりとした本格ミステリー(○○○は出てくるけど)を読んだ気がする。」
なんてお言葉に、読む前は「?」と思いつつ、読んだ後は「なるほど、そういう事か」とうなずいたのでした。
ストーリーはこちら↓
神紅大学のミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究部の夏合宿に加わる為、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿1日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。
しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった…!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか!?
奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!
物語は、事件後の手紙から始まります。
それは、剣崎比留子宛の手紙。
なにやら極秘に調べた事の報告らしく、今回の事件のキーとなる班目機関について記載されています。
そして、時間は遡って事件より数週間前。
葉村譲の視点で語られます。
学食で「あの生徒は何を注文したか?」という推理勝負をしていた、葉村譲と明智恭介。
その際、明智が映画研究部の夏の合宿に参加しないかと葉村を誘います。
ただ、映研の部長の許可がなかなか下りないので、どこまで実現するかはわからない…。
何度も「参加させてくれ!」と映画研究部の部長・進藤にトライする明智。そこに、剣崎比留子が「一緒に参加してくれませんか?」と声をかけてきます。
剣崎は、明智の参加が認められない理由と、最近状況が変わって自分と一緒の申し込みであれば参加できるといった話をします。
数日前、何者かの手によって部室に警告文が置かれるといった怪事件が発生。
どうも、昨年の合宿で起った出来事と関係しているようです。
自殺者も出ている事から、恐れをなして参加を取りやめにする人続出なのだとか。
映研の部長は、OBの事もありいまさら中止にできないと人数集めに躍起になっているので、剣崎と一緒であれば、今なら参加が認められる可能性が高いというのです。
どうやら、コンパという目的もあるようです。
明智はこれはチャンスだとばかりに、葉村と共に剣崎の誘いに乗ることにするのでした。
場面は変わって山中の廃ホテル。
浜坂と呼ばれる男に、仲間の男から研究室に警察が押し入ったことが伝えられます。
そこには、坂上以外にも、ある計画の為に集められた5人の男性の姿が。
坂上の指示で、計画を実行するべく動き始めます。
同じ日、葉村と明智は希望が叶って合宿に。
車中で、そして紫湛荘で今回の合宿参加者と顔を合わせます。
OBが3名、管理人、そして学部も学年もバラバラの10人の学生です。
顔合わせが一通り済んだら、いよいよ撮影へと向かいます。
場所は、山中の廃ホテルです。
その頃、坂上達は紫湛荘からそう遠くもな自然公園に設営されたライブ会場にいました。
道いく人々に、そして自分たちにも仕掛けを施すと、颯爽とライブ会場の中に。
数時間後に、ここが恐ろしい事件現場になります。
そして、ライブ会場の事件が紫湛荘をクローズド・サークルに。
ひいては、これをチャンスを見た犯人によって、連続殺人が実行されるのでした。
登場人物はこちら↓
葉村譲…経済学部1年。ミステリ愛好会会員。
剣崎比留子…文学部2年。実績もある探偵少女。
明智恭介…理学部3年。ミステリ愛好会会長で、「神紅のホームズ」と呼ばれている。
進藤歩…芸術学部3年。映画研究部部長。
星川麗花…芸術学部3年。演劇部。進藤の恋人。
名張純江…芸術学部2年。演劇部。
高木凛…経済学部3年。映画研究部。ある目的の為、合宿参加。
静原美冬…医学部1年。映画研究部。
下松孝子…社会学部3年。映画研究部。
重元充…理学部2年。映画研究部。○○○に詳しい。
七宮兼光…映画研究部OB。紫湛荘オーナーの息子。
出目飛雄…OB。七宮の友人。
立浪波流也…OB。七宮の友人。
恵…元七宮の恋人。自殺している。
遠藤沙知…立浪の元恋人。大学は中退。
管野唯人…紫湛荘の管理人。
浜坂智教…生物学准教授
班目栄龍…岡山の資産家。班目機関の創立者。
想像上の話とミステリが合体したような話で、半分「バ○○○○ー○」の世界。
どちらかというと、若い人向けのミステリかな。
個人的には殺人トリックなどはおもしろかったけど、クローズド・サークルに○○○を持ってくるのはちょっと…。
私好みではなかった。
もう少し現実的な状況設定がよかったなぁと思いつつ、でも○○○がないと殺人トリックはできないし、犯人の気持ち的にも都合がいいしなぁ~とも思って納得したりして。
デビュー作という事で、文章に若々しさを感じました。
が、それとは逆にしっかりした推理の構築で、最初がこのレベルでは、次のミステリはどんなトリックを仕掛けるのか!?
これからどう化けていくのか楽しみな、絶賛成長中という印象の作品でした。