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2019年1月25日公開と映画化でも注目を集めている「十二人の死にたい子どもたち」。
衝撃的なタイトルに、今の時代ならあってもおかしくないといった事からも、手に取って読み始めてしまいました。
なにせ、思春期前の娘がいるものですから。
気になる!
映画の宣伝キャッチフレーズは、「未体験リアルタイム型・密室ゲーム」。
そのキャストも発表されたわけですが、「豪華すぎる」とSNSなどでこれまた話題に。
まぁ、帯に塗りつぶされた顔がズラリと並んでいたわけですから、それだけでも話題を呼んでいましたしね。
気になっていた人も多かったのではと思います。
この「十二人の死にたい子どもたち」は、第156回直木賞候補になっており、その作者である冲方丁さんは「天地明察」などのベストセラーを生み出しているお方です。
ストーリーはこちら↓
廃病院に集まった十二人の少年少女。
彼らの目的は「安楽死」をすること。
決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。
だが、病院のベッドには“十三人目”の少年の死体が。
彼は何者で、なぜここにいるのか?
「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。
互いの思いの交錯する中で出された結論とは。
*「十二人の死にたい子どもたち」背表紙より抜粋
物語の舞台は、今はもう使われていない廃病院。
かつては産婦人科・小児科・内科の総合病院でした。
そこに、ネットで応募し、数ある人数の中から選ばれた12人の自殺志願の子どもたちが、一人…また一人と集まってきます。
集団自殺の場所は、地下の多目的ルーム。
1階受付カウンターに主催者が用意した、時計番から外された数字を一つずつ取っていきます。
そのまま地下室に行く者もいれば、ぶらぶら探検(?)しながら地下に行く者、メイクを整えてから行く者と…それぞれが自由に、集合時間に合わせて集います。
その間、病院内でちょっと気になる、小さな不可解な事が起こります。
そして、最初に多目的ルームに到着したのは「2」の番号を持つケンイチ。
12台のベットが時計の数字のように置かれているなか、1番のベットにすでに誰かが寝てるのを見つけます。
近くのテーブルには、薬剤の包装シートと飲みかけのペットボトル。
続々と集まるメンバーたちは、その様子をみて主催者がいち早く自殺をしてしまったと思います。
ところが、12人集まったと思ったところに、もう一人現れて…。
最後に来た少年こそが主催者であり、1番の数字を持つサトシ。
では、ベットに横たわる少年は一体誰なのか?
予想外の13人目の出現に、皆で決を取りながらどうすればいいのかを議論していきます。
正体不明の少年はゼロ番と名付けられ、誰が連れてきたのかを探っていきます。
登場人物はこちら↓
ゼロ番…1番のベッドに横たわる正体不明の少年。
サトシ…1番。この会の主催者で、中学2年生(14歳)。家族にまつわる凄惨な過去があり、会場である廃病は、もともと父親が院長。院実はある秘密を隠している。
ケンイチ…2番。陰鬱な表情をした16歳の少年。いじめから起こる負のループに疲れて来た。
ミツエ…3番。ピンクの派手なゴシック衣装の少女。好きな人の後を追う為に来た。
リョウコ…4番。マスクとサングラス、帽子で顔を隠した少女。素顔を隠すのにはある理由が…。
シンジロウ…5番。ハンチング帽をかぶった17歳の少年。考えをまとめるのが好きな探偵役。重い病気を患っている。
メイコ…6番。小柄で髪留めをした少女。父親に、自分を忘れさせないために来た。
アンリ…7番。背の高い黒服の少女。生まれついてのある事情から、この会に参加。
タカヒロ…8番。痩せた少年で、常にペットボトルを持っている。薬を常習的に服用しているらしいが…。
ノブオ…9番。丸坊主でメガネをかけた少年。秘密を抱えているのに耐えられずに来た。
セイゴ…10番。煙草を吸う、体格の良い15歳の少年。生活環境が悲しいほど最悪。親への復讐(抵抗?)の為にこの集いに参加。
マイ…11番。金髪の少女。天然級の明るさがあり、時に爆弾発言をする(本人に自覚なし)。不治の病気持ちというが…。
ユキ…12番。小柄な少女。交通事故による後遺症から楽になりたくて来た。
病院内で話が進行していき、少年が誰なのか、どうしてここにいるのかを明らかにするのですが、それと同時に皆の自殺理由も明かされていきます。
単調といえば単調ですが、最後まで読んだときに「なるほどね」とこの集団自殺を企画した少年の思惑がわかり、もう一度読んでみたくなる面白さがあり。
これを映画でどうみせていくのか…監督や脚本家の腕が問われるのではと思ったりして。
いずれにしろ、集団自殺という親からしてみればショッキングな話。
それぞれの自殺理由を聞くと、若さゆえの~…的な感じもなくもない。
その世代にとっては重大なんだろうなと、そこに危うさを感じました。
(重大な病気を理由にしている子は別として…)
誰でもいいから、そばにいる人が気が付き、話を聞く事ができたら自殺なんて選択肢をとらなかったのではと思う子も。
逆に、胸の内を話せる人がいなかった…というのも、周囲の大人の責任にも感じました。
特に、親が虐待やネぐレストならなおさら。
自分の子には、誰でもいいから、話せる人がそばにいてくれるといいな。
私がそれであればいいのだけれども、逆に距離が近すぎて離せないことや、親子だからこその壁もあったりして…難しい。
ただ、陰ながら見守るのは常に忘れちゃいけないなですね。