一の悲劇 長編本格推理 (祥伝社文庫*NON POCHETTE) [ 法月綸太郎 ] 価格:699円 |
著者と同名の探偵・法月綸太郎が活躍する、シリーズの4作目。
でも主人公ではありません。
こちらは2016年9月23日にフジテレビの金曜プレミアムでドラマ化されています。
法月倫太郎役に長谷川博己さん。
話のメインとなる山倉史郎役に伊原剛志さん。
奥さんの山倉和美役に富田靖子さん、不倫相手の富沢路子役に矢田亜希子さん、その夫である富沢茂役に神尾佑さん。
うーん、ぴったり!
ストーリーはこちら↓
「あなたが私の息子を殺したのよ!」
山倉史郎は発狂する富沢路子の前に絶句した。
それは悲劇的な誤認誘拐だった。
犯人は山倉の子と誤って、同級生の路子の子を拉致したらしい。
しかも身代金授受に山倉は失敗、少年は骸となって発見されたのだった。
鬼畜の仕業は誰が、なぜ?
やがて浮かんだ男には鉄壁のアリバイがあった。
名探偵・法月綸太郎と共にいたというのだ…。
*「一の悲劇」背表紙より抜粋
主な登場人物はこちら↓
山倉 史朗…「新都アド」SP局長。奥さんを溺愛している。
山倉 和美…史朗の妻。8年前に急性妊娠中毒症で子供を死産。
山倉 隆史…三浦と次美の子。史朗と和美夫妻と養子縁組。
冨沢 耕一…温和でしっかりした男性。
冨沢 路子…耕一の妻。元看護婦で、和美の妊娠・出産で知り合う。
冨沢 茂…史朗と路子の子供。犯人に誘拐され殺害される。
松永…青梅警察署の刑事課長。
久能…警視庁刑事部捜査一課警部。
法月警視…綸太郎の父。
門脇 了壱…和美の父親。「新都アド」の専務で史郎の上司。
三浦 次美…和美の妹。隆史を産んだときに出血によるショックで亡くなる。
三浦 靖史…次美の夫。
本間 万穂…女子大生。三浦のガールフレンド???
法月 綸太郎…警察とも懇意にしている推理小説家。三浦のアリバイ証人。
富沢茂の遺体が発見されたとの連絡を受け、山倉史郎・富沢耕一と路子夫婦を乗せたパトカーが病院に向かいます。
夜間侵入口には、事件を聞きつけた記者が集まっており、それをかき分けながら院内に。
霊安室には遺族しか入ることができないため、山倉史郎は廊下で、ただ聞こえてくる富沢路子の泣き声を聞いているしかありませんでした。
そこに刑事がやってくるのですが、誰もかれもが冷ややか対応。
史郎がおかした失策を暗に責めているかのようです。
刑事から冷ややかな対応を受けていると、いつのまにか路子が廊下に。
「あなたが茂を殺したのよ!」とつかみかかるのでした。
◇
殺風景な個室で待たされる史郎。
妻の和美との出会いや路子との不倫に至った時の事を回想しながら、愛する妻を守るために絶対にこの秘密を隠し通さなくてはいけないと固く心に誓う史郎。
そこに、刑事と山倉耕一がやってきて、一緒に茂の発見現場へと向かいます。
町から遠く離れた人寂しい場所に、雨が降る中、ビニール袋に入れられて放置されていた茂くん。
犯人が場所を言わなければ、なかなか見つかりにくいところでした。
泥で汚れるのも構わずその場にひざまづき、額を地面につけている富沢耕一。
史郎は、「憎むべき犯人を暴き、裁きの場に引きずり出してやる」と、こみ上げる激しい怒りに誓うのでした。
◇
事の始まりは、仕事中の史郎の元にかかってきた妻・和美からの奇怪な電話。
「隆史を誘拐した」という電話がかかってきたのだが、当の本人は、その日は風邪気味で学校を休んで部屋で寝ている…と。
支離滅裂な話にとりあえず急ぎ家に帰ると、そこには真っ青な顔をした富沢路子が…。
なんと、路子の息子の茂が間違って誘拐されたのです。
しかも、史郎が戻る前に和美が独断で警察に連絡。
宅配業者を装った警察がきて、内部に誘導。
たちまちリビングは警察に占められたでした。
そこに、犯人から電話が入ります。
夕方までに6千万円用意しろという指示に従い、お金を用意する史郎。
次の指示が入るまで落ち着きなく待っている中、出張から戻ってきた富沢耕一も山倉家にやってきます。
◇
夜の10時少し前に、犯人からの受け渡しの指示が入ります。
受け渡し方法は、山倉史郎に持ってこさせる事。
警察は史郎に似た男性を代わりに行かせると提案しますが、「子供に何かあったらどうするんだ!」と断固拒否。
犯人にあっちこっちと振り回され、警察の存在に気が付いた犯人からの要求を呑から尾行もストップさせる史郎。
警察の言葉も耳に入りません。
最後の指定場所に向かいますが、途中で思わぬアクシデントが発生。
史郎は犯人との取引に失敗。
子どもは、死体となって発見されたのでした。
◇
週明けの月曜日。
会社に出社した史郎の元に、警視庁の久能が訪ねてきます。
そこで、事件について思っても見なかった話が。
なんと、茂君が殺されたのは、身代金の受け渡し方法について連絡が入るよりも前だというのです。
死因は絞殺。
法医学的にも間違いのない事。
つまり、史郎が身代金を渡すべく出発した時点ですでに茂君は殺されており、身代金の受け渡しが成功しようがしまいが結果は変わらなかったのです。
さらに、不審な車の目撃情報の話も。
久能から聞いた車の車種に聞きおぼえがあるものの、知らないふりをする史郎。
久能が帰った後、車の持ち主を訪ねるのでした。
話の中心になるのは、一流企業に勤める、将来を約束されたバリバリのエリート山倉史郎。
なんだけど、自身の甘さが原因で事件に発展と、女の敵みたいな奴です。
「自分が悪い」と言いつつも、隠したり逃れたりとまぁ…往生際が悪い。
自己保身に一生懸命で、今回の事件もすべて「お前のせいだろ!!」とイラっとした主人公(?)です。
史郎が犯人と疑う人物のアリバイを証明したのが法月綸太郎。
茂君を殺した犯人は「あーーー…」と納得できる人物でありますが、思うだけならまだしも実行してしまったのは鬼畜としかいいようがない。
また、殺害現場があそこというのも…まさに鬼畜!
浮気から起こったこの事件。
史郎もクズだけど、路子も自分勝手で茂をつかって史郎にちょっかいを出しているところはクズだなぁと。
路子の夫の耕一さんは、息子も妻も大事にする優しい人。
血はつながっていないけど、最後まで自分の息子と言いきるほど素晴らしい人なのに、何が不満なんだか…。
今回の事件の一番の被害者である茂君が、不憫でなりませんでした。
不倫はダメ!
絶対!!