あなたは嘘を見抜けない (講談社タイガ) [ 菅原 和也 ] 価格:745円 |
「あなたの罪を数えましょう」ですっかりはまってしまった作者さんの作品。
順番が逆ですが、「あなたは嘘を見抜けない」が先ですね。
はい。
グロテスクな表現はありませんが、最後のどんでん返しはなかなか爽快です。
登場人物の誰かがとんでもない嘘つきです。
誰が嘘つきなのか…読みながら考察するおもしろさもあります。
ストーリーは、恋人を亡くした青年目線と、廃墟ツアーに参加した青年目線が交互に展開されていきます。
ストーリーはこちら↓
僕の彼女は「嘘つき」たちに殺された。
廃墟ツアーで訪れた無人島で死んだ最愛の人・美紀。
好奇心旺盛で優しい彼女は事故に遭ったのだ。
僕は生きる意味を喪い、自堕落な生活を送っていたが、美紀と一緒に島にいた女と偶然出会いある疑いを抱く。
美紀は誰かに殺されてしまったのではないか。
誰かが嘘をついている。
嘘と欺瞞に満ちた血染めの騙し合いの幕が開く。
*裏表紙より抜粋
始まりは、恋人の唐橋美紀を、1年半前の廃墟ツアーで亡くした高辻。
美紀がいなくなってから、精神的に病んでしまい、今は病院でもらった安定剤を飲んで過ごす日々。
いつものように病院で薬をもらった帰り道、美紀の友人・花村郁美に会います。
以前働いていたレストランの同僚でもあります。
美紀との出会いは郁美に紹介されて。
一目ぼれでした。
家に帰ると、何をするまでもなくベッドでぼんやりと過ごす高辻。
美紀との思い出に浸るのでした。
場面は変わって廃島ツアー。
参加者は7名。
ゴムボートで島に上陸すると、おしゃべりや写真撮影をしながらテイコウ鉱山村に。
まるで時が止まった、何年も前の昔にタイムトラベルしてしまったような様子に興奮するメンバー。
まずは公民館へと足を踏み入れます。
公民館を探検している際に、亮太(カントク)のミスでトラブル。
座ろうとしたパイプ椅子の金属部分が腐食しており、崩れた拍子にノラニンジンの手をつかんで転倒。
ノラニンジンが足をねん挫してしまいます。
廃墟ツアーになれているルインとUTの応急処置で事なきを得ますが、この状態動くのは厳しいということで、ミノスの提案から各自が自由行動をとることに。
そもそもの原因を作ったカントクは、動けないノラニンジンに付いていることになります。
1時間後に集合することを決め、各自が思い思いに探索に。
最後のミノスが出ていくと、ノラニンジンも脚を引きずりながら歩き始めました。
慌てながらも付いて行くカントク。
淡々と進むノラニンジンの先には、ミノスの姿。
辿り着いたのは社宅でした。
場面は高辻に。
コンビニに買い物に出たところで、偶然、美紀が死亡した廃墟ツアーに参加していた女性をみかけます。
美紀がどうして死んでしまったのか話を聞かせてほしいと連絡をとり、一度だけ会ったことがある田辺と名の女性。
恋人と思われる男性と電話で話している様子に、激しい怒りを覚える高辻。
次の瞬間、近づいたトラックに向けて田辺を思いっきり突き飛ばしていました。
騒然とする現場から、静かに立ち去る高辻。
これまで感じた事のない感覚に、美紀の死の真相を探ろうと決意するのでした。
場面は変わって、社宅で動くことなくその場に佇むノラニンジンとカントク。
30分立った頃、ノラニンジンの「ミノスが入って30分立つ。上で何をしているのかな?」と。
いぶかしげに思うカントクに、「出入り口を見張っていて」といいミノスがいるだろう場所に。
戻ってくると携帯で皆に社宅に来るように連絡します。
なんと、ミノスが首を吊っていたのです。
しかも、その胸には包丁が刺さった状態で…。
登場人物はこちら↓
高辻裕樹…恋人の美紀が亡くなってから、精神安定剤に頼る日々を送る。ある事をきっかけに事件の解明と復讐に生きる意味を見出すようになる。
唐橋美紀…高辻の恋人。一年半前の廃墟ツアーで事故死。
花村郁美…美紀の友人。なにかと高辻を心配している。
田辺蓉子…美紀が参加した廃墟ツアーに参加。
内柴敦…美紀が参加した廃墟ツアーに参加。
前園勝…美紀と一緒に亡くなった男性。
カントク…廃墟ツアーの語り部であり、名前は亮太。自主製作映画(映画研究会)の参考にするため参加。
ノラニンジン…およそ廃墟ツアーには不釣り合いな感じ。
ルイン…見た目が熊の廃墟マニア。リーダー的存在。
UT…ルインとは昔からの廃墟ツアー仲間。
カミオカ…ちょっと軽い感じの30代男性。
エリエリ…愛嬌ある系の女性。
ミノス…静かな感じの男性。胸に刃物が刺さり、首つり状態で発見される。
同時に進む2つのストーリー。
探偵役が「解決編だ」という言葉と共に、2つの時間系列が判明します。
そして、両方の現場にいたある人物の言葉によって、2つの事件を解かれます。
一気に霧が晴れ視界が開けて、自分がこれまで見ていたのとは全く違う、正しい道筋が表れるのは爽快です。
今回もやってくれたなぁ~といった感じ。
最大の嘘つきはあの人でしたか…って感じです。
タイトルもうまい感じにつけているなと感心いたしました。
わかんないわ、これ…。
<菅原 和也さんの作品>
「あなたの罪を数えましょう」
山奥の廃工場で見つかった、多数の惨殺死体。
ここで何が起こったのか!?
過去と未来が同時進行で進む、ホラー色たっぷりのミステリー。
「殺人鬼」や「館シリーズ」で有名な綾辻行人さんが激推!