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クジラの子らは砂上に歌う 1 (ボニータコミックス) [ 梅田阿比 ] 価格:463円 |
最初は「?」という感じ。
登場人物たちの世界を理解するのに費やされた感がありました。
読み終わる頃に、やっと「クジラの子らは砂上に歌う」の世界観を理解し、物語が一気に進んでいきます。
主人公は、チャクロ。
砂の海を漂う船・泥くじらで生活する、14歳の記録係です。
この船には500ちょいの人口が住んでおり、その9割は不思議な能力を持つ「印(シルシ)」。
感情を発動源とする、情念動(サイミア)の能力者です。
物語は、主人公と能力について、そして島の生活について語られていきます。
ある日、半年ぶりに島を発見。まずは偵察隊を派遣して、危険がないかいどうかを探る事になりました。
チャクロもそのメンバーに選出され、島へと上陸します。
そこでチャクロは、ボロボロに衰弱している少女・リコスと出会います。
サイミアで襲ってくるも、衰弱から気を失ってしまうリコス。
リコスになついている動物も一緒に、ひとまず泥クジラに戻ります。
泥くじらでは、初めて出会う外の人間に皆興奮!
そんな中、気が付いたリコスは、「捕虜になったのね。抵抗はしない」と大人しく投降すると言います。
とりあえず、医務室にリコスを連れていくチャクロ。
医務室には若い「印」の人たちがベットで寝ていました。
印は短命で、30前には能力も体力も落ちて寝たきり状態になってしまうのです。
その様子を見たリコスは、「ここは“ファレナ”なの?」と聞きますが、チャクロたちには聞き御覚えのない言葉でした。
そこに、島の代表であり首相のタイシャが来て、リコスを長老会に連れていきます。
タイシャから「“体内モグラ”の方をお願い」と頼まれ、スオウと共に地下に向かいます。
そこに収監されているオウニ達グループを、これから赦免するのです。
泥クジラでは、決まりを破ったり罪を犯したりすると、地下の“体内”と呼ばれる場所に幽閉されます。
ここではサイミアが使えません。
オウニ達グループは、何度も決まりを破る常習犯から、「体内モグラ」と呼ばれていました。
スオウの立ち合いの元、檻から出されるオウニ達。
流島で人が見つかったことを伝えると、「やっぱり外の世界はあったのか!?」と興奮するメンバー。
リーダー格であるオウニも、「俺たちは出ていく」と宣言します。
オウニの言葉に不安を感じたチャクロは、リコスが呼ばれた長老会へと向かいます。
壁塗り用の杭から部屋に近づくと、窓からリコスと長老会の姿が。
首相や側近がいないことに違和感を覚えたチャクロ。
その会話も、チャクロには意味がわからないものでした。
「本国から派遣されてきたのか?」と問う長老会に、「ここは“ファレナ”ですか?」と聞くリコス。
どちらも先に答えない限り何も話さない…平行線。
島の仲間はどうしたと聞かれたリコスは、全員死んだと告げます。
そんなリコスの表情から、「人形(アパトイア)か」と言う長老会。
「まだ世界は昔のままだったか…」と気になるセリフを言い、リコスを拘束します。
その様子を窓からじっと見ていたチャクロの背後に、いつの間にかオウニが。
サイミアを使って長老会に乱入し、リコスとチャクロを連れて、リコスがいた島へと向かいます。
島の様子を見たオウニは、「ただの廃墟じゃないか」と怒り気味。
その様子に、リコスは「本当に何もしらないのね」と言います。
リコスの誘導で行った先には、剣を刺したたくさんのお墓が。
その先にある建物の中には、奇妙な形をした「魂形(ヌース)」がありました。
ヌースは人間の感情を吸収して喰べる生き物で、リコス達は自分の感情を栄養分として与え続けていたと語ります。
感情の希薄な人たちが、心のない人形兵士(アパトイア)を使って戦争を続けているのが外の世界だというのです。
帰れというリコスに、「泥クジラから出れるなら、俺の感情なんかいくらでもやる」とヌースに触れるオウニ。
慌てて止めるに入ったチャクロが触れてしまい、見た事のない景色が頭の中に流れ込んできます。
記憶を消したくないと願うチャクロを現実世界に引き戻したのはリコスでした。
でも、しばらくは放心状態。
そのまま、追いかけてきた泥クジラの人たちによって連れ戻されます。
リコスは監禁され、チャクロとオウニは長老会の尋問を受けたのち体内送りになります。
が、チャクロはオウニに無理やり連れていかれたという目撃証言から釈放されます。
外に出ると、チャクロが親しくしている友人たちが待っていました。
今日は珍しい自然現象が見れる日で、皆がそれを楽しみにしていたのです。
チャクロはリコスにも見せてあげたいと、こっそり監禁室から連れ出します。
坂道を登っていく途中、周囲の人の親しげな様子をみて、家族の事を思い出すリコス。
「なぜ、こんなにも苦しくなるの…」と涙が頬をつたいます。
チャクロは、島に帰って心を吸収してもらいたいと言っていたリコスに、「君にも心はある。一緒に暮らそう」と言います。
そんなチャクロの優しい言葉に、リコスは決心したように“ファレナ”の事を話そうとするのですが、ちょうど自然現象が始まってしまいうやむやになってしまうのでした。
翌日。
サミと共に畑に向かうチャクロ。
サミの兄であるスオウは、二人に任せて塔で仕事をするべくに戻ります。
そこで、不安そうにうろうろしているネリに会います。
リコは、リコスの身の回りの世話をしている世話人。
リコスが長老会の話があると切迫した様子でいるのだけれども、長老会は会う事を拒否しているという話を聞き、門番をうまく言いくるめてリコスに会います。
「ここから逃げて!この島は…ファレナは」とリコスが話そうとした瞬間、砂の海から船が次々と出てきます。
武器を持ったピエロのような恰好をした兵士たちが、島の民を次々と虐殺していきます。
「皇帝陛下直属の兵が、あなたたちを滅ぼしに来る」と告げるリコス。
なんのことかわからず問い返すスオウは、外の騒ぎに気がつきます。
リコスは「この人たちは滅びていい罪人ではない!」といいサイミアで応戦。
一方、撃たれたサミを抱き上げ必死に逃げるチャクロ。
敵に追い詰められてしまい、戦うしかない状況に…。
次巻!
【次巻】