22巻:キングダムー輪虎の死、廉頗の想いー

キングダム 22【電子書籍】[ 原泰久 ]

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「必ず廉頗を仕留めるのじゃ!」という蒙驁の掛け声のもと、魏軍を追い詰める秦兵。

ところが、廉頗は死角になる場所をみつけ、旗を逆手に思い込ませて外側に回り込み、秦軍を逆に罠に落としてしまいます。

「この砦は本当によくできているぞ」と褒めつつ、蒙驁の元へと一気に駆け上がります。

その頃、信は輪虎と激しい戦いを繰り広げていました。
渕や楚水のサポート、そして信の影響で秦軍の士気が高まっている事で、輪虎のペースに持ち込むことができず。

が、馬同士がぶつかった事でよろめいた隙をみて、信の太ももに剣を深々と突き刺し流れを変えます。

 

脚を負傷したことで馬上での戦いが厳しい状況に追い込まれた信は、輪虎の一撃を避けたすきに飛び掛かり馬から落とし地上戦へ。

「イチかバチかでこっちに切り替えた判断は誤ってない。といっても、僕の圧倒的有利は変わらないけどね。その足で立ち上がれるのかい」という輪虎の言葉に、痛みをこらえて立ち上がった信は「無問題!片足の状況も、きっちり漂と特訓済みだ」と不敵な笑みで返します。

一方、王賁・蒙恬の方も、死に物狂いの魏兵の強さに持ち場を離れることもできず。
信が持ちこたえてくれるのを祈るばかりでした。

 

輪虎の最後

降りしきる雨の中、なかなか決着がつかない信と輪虎の一騎打ち。
その周囲で戦う仲間の誰もが助けに入りたいものの、そうはしませんでした。
なぜなら、武将にとって一騎打ちは重いものだから。

ところが、魏兵の一人が「今、それよりも重大なものを我々は抱えておる」と、斬られる覚悟で加勢に。
それに気が付いた楚水がいち早く止めます。

が…

阻止するべく近寄ったがために、目の前に郭備の仇である輪虎が。
瞬間的に沸き起こった楚水の殺気が、これまた反射的に輪虎を動かし楚水に一太刀。

その信への注意が外れたほんの瞬きほどの瞬間を信は見逃さず、輪虎に重い一撃を食らわせます。

 

膝をついた凛虎にもう片方の脚を切られた信は、その場に尻もちをついてしまいます。

「殿が待っている…こんなところで負けられない。僕は…天の与えし廉頗の剣だからね」と、気力を振り絞るように立ち上がる輪虎。

以前、輪虎と会った時に聞いた「天に寵愛される武将は一握り」という言葉が頭をかすめる信。

「だから何だっつんだ、その天って」と聞く信に、輪虎は廉頗と出会った頃の事を話します。

 

戦火に巻きこまれた小さな村。
かろうじて生き残り、通りかかった廉頗に助けられます。

戦いの才があった輪虎はめきめきと頭角を現します。
まさに「戦いの天才」が「戦いの大天才」に拾われのは偶然じゃない。

天に寵愛される武将は一握り。
その一人である廉頗に、天が出会わせた剣が輪虎だと。

 

「だからこんなところで負けるわけにはいかない」という輪虎に、「下らねぇ!それじゃまるで全部が天任せじゃねぇかよ」と真っ向から否定。
「廉頗の剣であるべく、命がけで戦いまくってきた結果だろうが」と。

ただ、人との出会いは重要なのはわかるという信。
そんな信の言葉に、尾平たち同じ村の者が、信の隣に漂がいるような錯覚をみます。

「おれは関わった奴との思いを背負って前に進むだけだ。自分の子の足で。輪虎、お前と戦ったこともでっけぇ糧にしてな」と言い切ります。

 

信と刃を交えながら、信の言葉を心に受けれいる輪虎。
時代は次の戦乱の世へ移ろうとしている事を思いながら、信の一撃に倒れるのでした。

 

羌瘣の秘密

敵将である凛虎を倒した飛信隊。
一安心したのもつかの間、残してきた羌瘣たちがいる一帯に人影が全く見当たらない事に気が付きます。

倒れている魏兵の「凛虎将軍は、本軍の横に別働予備隊を置いていた。今頃一人残らず踏み殺されているだろうよ。なにせ、四天王筆頭・介子坊将軍の私兵だからな」という言葉に真っ青になる飛信隊。

すかさず馬にのって羌瘣のいる方角に走る信。

 

辿り着いた一帯は、死体の山。
まだ息のある兵に話を聞くと、羌瘣が一人で戦ってくれたと。

探し回っていると、屈強そうな兵士が全員ズタボロになって倒れている一帯が。息がある兵士が「ひ…人じゃねぇ…」とつぶやいています。

降りしきる雨の中、目を凝らしながら見つめた先に、固まったように立っている人影が…。

近づくと、それは羌瘣でした。

「…なんだ、お前か」と安心したように倒れる羌瘣を、あわてて抱き留めます。

 

羌瘣が生きていた事に駆け付けた飛信隊もほっと一安心するのですが、切れた衣服からさらしを巻いた胸元があらわになっていることから、羌瘣が本当は女性であったことを知ります。

激しく動揺する飛信隊。
「どう言う事だ!?」と信に詰め寄る中、「ピーピーうるせぇぞ」と一喝する田有。

「今まで羌瘣にどれだけ命を救われてきた。
今さら女だろうか何だろうが関係ねぇ。
大人なら少しは察してやれや。
女の身でこんだけの剣技を身につけ、男に混じって戦場にきてるってのは、よっぽどでっけぇ何かをしょってるんだろうなって…」

そういう田有の言葉に、皆が黙ります。

そんな田有の言葉に「逆だ。羌瘣は空っぽなんだ」と、羌瘣が飛信隊になぜいるのかをとつとつと話し始める信。

「最近、こいつは少しずつ変わろうとしている。敵討ち以外にも生きる場所がようやく見つかろうとしているんだ。それが飛信隊だ」と、今ままで通りに接してくれないと頼む信。

その言葉に、皆がうまずきます。

信は羌瘣の手当てを頼むと、自分は足の止血だけし、蒙驁本陣へと向かうのでした。




 

廉頗と蒙驁

本陣にどんどん近づく廉頗と魏軍。
ついに山頂に到着。

「つまらぬ…やはりこんな戦では燃え上がらんのぉ」と言う廉頗に、「そう取り乱すな。勝負はこれからだ」と向かうは蒙驁将軍です。
まさかの登場に驚く秦兵。

皮肉・嫌味たっぷりの挨拶を交わす二人。
「この際、せっかくなので馬上でお主と語らいたいと思うてのぉ」と言う蒙驁に、「このバカが。儂がうぬと語ることなど何もないわ」とバッサリ。

秦・魏軍が見守るなか、将軍の一騎打ちです。

 

廉頗の圧倒的な力に押され気味の蒙驁。

「弱すぎる。そんな腕前で何ができると思うたか蒙驁」と言う廉頗に、「今の儂の武器は心じゃ」と、最初に廉頗と戦うと聞いた時は目の前が真っ暗になったと本音をもらします。

でも、ある青年(信)の言葉で考えが変わったと。

「紆余曲折した長き戦歴の総決算の場に立ち、ふとこうも感じておる。
祖国斉を捨ててまで立身出世を求め、秦国で何とか大将軍に上り詰めたのは、今この刻のためであったのかもとな」

そう言って振り上げた蒙驁の一撃は重く、さすがの廉頗も吹っ飛ばされるほど。

 

激しく応酬する二人。
刃を食らうのは圧倒的に蒙驁の方が多いものの、蒙驁の一撃を受けると必ず吹き飛ばされる。

そもそも、秦国でも怪力で通っている蒙武の父なのだから、力が強いのは当然と言えば当然。
単純な膂力だけなら、廉頗を上回っていても不思議ではない。

「本当はお主自身も気づいておるのだろうが。黄金の刻は去ったと、最強の敵、六将が去った刻、お主の火も消えたのじゃ!」という蒙驁の一撃は、廉頗が乗っていた馬の足を折り、廉頗は地上に。

最後の一撃とばかり振り下ろした刃が届く前に、廉頗の刃が蒙驁の腕を切り落としてしまいます。

ちょうど辿り着いた蒙恬が廉頗に向かうも、逆に馬を切られて地面に落とされてしまいます。

 

蒙驁の言葉に怒り心頭の廉頗。

「あの黄金時代を戦い抜いたこの金剛の身体、うぬのしみったれた40年の思いとやらで砕き飛ばせるとでも思ったのか。あまり儂らをなめるなよ、蒙驁」と、鬼気迫る廉頗。

その重圧を、痛いほど肌で感じる信。
まるで心臓を握られているかのよう。

今回の戦の狙いは王翦と桓騎であったが、実際に対峙して心に響くものは少なかったという廉頗でしたが、「王騎が討ち取られたことの憤りであろうが」と廉頗の本心をズバリと言い当てます。

「あ奴は六将・三大天の名を汚した愚か者よ」と言う廉頗の言葉に、とっさに「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」と憤る信。

「儂に物申したいならば、名乗れる名を手にしてからにしろ」という廉頗に、信は輪虎の剣を投げてよこすと、「輪虎をこの手で討ち取った飛信隊の信だ!」と名乗ります。

信に近づいていく廉頗。
「何してる信、早く逃げろ!」と叫ぶ蒙恬の声を無視し、廉頗の強烈な一撃を受け止めます。

一撃を食い止めたのもつかの間、次の一手で遠くに飛ばされてしまいます。
それでも立ち上がり、まっすぐと廉頗を見ます。

再び近づく廉頗を止めたのは、「いい加減にせぬか!」と叫ぶ蒙驁の声。

「時代は確実に次の舞台へと向かっておるのじゃ。じゃが、それは決してあの時代を色あせさせるものではない!」

蒙驁の言葉に、王騎と飲んだ日の事を思い出す廉頗。

 

「時代の流れなど、知った事か」と再び信に向かって歩を勧める廉頗。
同時に、これは一騎打ちではないとして、秦・魏両軍が入り乱れた戦いに。

身体が動かない信に一太刀浴びせようと掲げた時、「その者は王騎の最後に居合わせ、その矛を受け取った者じゃぞ!」と叫ぶ蒙驁の言葉に手を止めます。

そして、「ずっと気になっていたことがある」と、信に王騎の死に際の様子を尋ねます。

「敗戦の将となったが、武名を汚すほどのものではなかったのか…それとも、無念のうちに顔をゆがめて死んでいったのか…」

そう言う廉頗に、信はきっぱりと「どっちでもねぇ」と否定します。

「将軍は、強者が次の強者に討たれ、時代が続いていく。だから乱世は面白いって笑っていったんだ」

信の言葉に、王騎の心の内を悟る廉頗。

天を仰ぎ雨に打たれる廉頗に、「六将亡き今、お主の相手はもはやおらぬ。じゃがお主にとってこの戦いに意義をつけるとするなら、それは大将軍廉頗の矛を置く最終戦とすることじゃ」と蒙驁が声を掛けます。

 

何も言わず、考え込む廉頗。

そこに、「何をもたついておられるのですか!」と介子坊が兵を率いてやってきます。
勢いよく周囲の兵を蹴散らしていきます。

…と、魏の本陣から狼煙が上がっているのに気がついた一同。
すぐに、「蒙驁を討ち取って戦局を五分に持ち込むぞぉ!!」と判断した介子坊が再び戦闘態勢に入ります。

「蒙驁将軍を安全なところまでお逃がししろ!ここの難さえしのげばっ…本当に我らの勝ちだ!」と蒙驁を狙う介子坊の前に出る蒙恬。

介子坊が蒙驁に迫る中、それまで黙っていた廉頗がふいに介子坊に声を掛けます。

「儂らの負けじゃ」

廉頗はきっぱりと言い切るのでした。

 

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