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尖閣諸島・南小島。
そこに中国人3名の男性が上陸。
中国人漁師が遭難してしまったと思われるものの工作員の可能性もあるとして、その場に駆け付けた海保特警隊も用心。
その事は、東京の首相官邸の官邸地下危機管理センターにも報告が入ります。
中国国旗を示し中国人であることを主張し、救助を申し出た海保特警隊に、自国の救助を待つと拒否したと。
その話に、内閣官房長官・石渡俊通は、遭難を偽装した工作員の可能性があるとして、「メディアに悟られぬよう、軍民双方の可能性を考えて対処すべきだ」と発言。
これに日本国首相・垂水慶一郎は、佐世保基地の護衛艦を調査目的で派遣し警戒監視活動の強化を指示しつつ、「流血騒ぎだけは起こさぬよう、慎重に説得にあたるように」と指示を出します。
第11管区の各港から海上保安庁の巡視船が応援のため出航。
さらに、海上自衛隊佐世保基地から「あたご」「てるづき」が調査目的と言う名目で出航。
「あたご」艦長の湧井継治一佐の元に、那覇の早期警戒機より青島基地から出航した中国艦艇3隻が、東シナ海琉球海域に接近中という報告が入ります。
その事からも、北海艦隊空母「遼寧(りょうねい)」が出てきたことを察し、警戒を強める湧井。
空母「遼寧」が尖閣に向かった事は首相官邸も知るところとなり、中国政府の動きに「何を考えているのか!」と不安を隠せません。
中国大使館に問い合わせても、「中国政府は自国領土に漂着した自国民を救助する意向である」と、尖閣はわが領土と主張するばかり。
米政府の反応をうかがうも、極東及び日本の領土問題に関しては積極的介入はしないという意向。
つまり、アメリカは中国と事を構えない方針であるという事で、あくまでも自国で判断しないといけない状態に。
翌日になっても、南小島での上陸者と海保特警隊のにらみ合いが続く中、ついに中国海警局艦船が領海侵入。
これを阻止しようとした海保巡視船と衝突してしまうという事態が起こってしまいます。
これを受け、空母「遼寧」から艦載機が発艦。
「あたご」に近づくと高度を下げ突入し、反転して再度突入した際にはミサイルを威嚇発射!
ミサイル発射の話を受け、遭難した中国漁民3名を引き渡す事を大使館を通じて中国政府に伝えるように指示する垂水総理。
その指示に、「一発の威嚇ミサイルで日本政府が屈服したと全世界にぶちまけることになりますぞ!」と政権へのダメージを懸念する声が上がりますが、垂水総理は「政権のダメージはいくらでも取り戻せる。だが今、戦争になったら、日本が受けるダメージは回復不能だろう…」と。
その垂水総理の言葉に誰も何も言い返せないのでした。
そして、日本政府の申し出を中国政府は受け入れ、尖閣南小島に上陸した3名の身柄は中国海警局に引き渡されることになります。
マスメディアからは、現政府の危機管理の甘さを突きつつ、領土問題を巡る日中両国の軍事衝突を懸念する報道がされたのでした。
ノーフォーク米軍基地。
二等空佐・秋津竜太が退出すると、先日の尖閣諸島に上陸した中国人の話を始める、アメリカ兵と二等海佐・新浪歳也。
「威嚇に屈した今回の幕引きは、禍根を残したな」というアメリカ兵の言葉に、海上自衛隊の発足以来60年、戦争はおろか一人の外国兵も殺傷していないと、「それが誇りです」と言い切る新浪。
部屋を退出した新浪は、操縦席でヘルメットをかぶり瞑想中の秋津の元に向かいます。
思った通りに瞑想中の秋津を見つけると、「何がみえる?」とやおら自分の存在を伝えます。
秋津はヘルメットをとると、「ペガソス…」と。
そして、先日の一件でペガソス計画が急ピッチで進むこと、帰国すれば自分か新浪のどちらかが新型艦の艦長になると、この研修後の展開を話し始めます。
ただ、自衛隊の幕僚が習うのは米軍の伝統なので、空母艦長はパイロット出身の自分になると宣言。
さらに、自分と新浪は性格は違うが、日本を守りたいという気持ちは同じだといい、その場を去っていきます。
その言葉に、「本当に同じなのか!?」とつぶやく新浪。
東京の夜景をみながら、再来年の春に予定していたペガソス計画を早める必要があると話す内閣官房長官・石渡。
それとは反対に、極東海域の抑止力となるのか、それとも軍事衝突の引き金になるのか…今回の事件でわからなくなったと、すこし弱気の垂水総理。
「極東アジアの海の安全は、アメリカにはもう頼れぬ!」と力説する石渡に、官房長官と総理では見える景色が違うといいつつ、来年の秋に計画を早めることを決めます。
尖閣上陸事件より1年後。
コードネーム・ペガソス、新型護衛艦「いぶき」就役。
海上自衛隊に新編成された第5護衛隊群旗艦として、初の演習航海のため鳥島沖へ向け横須賀基地を出港。
予言通り、艦長は秋津。
副長兼航海長は新浪。
軍司令は湧井。
新浪は、先日おこなわれた「いぶき」艦内での、政府・防衛省高官・各国大使・マスコミを招いた壮行会において、総理に対して「いぶき」を“玩具”に例えた秋津の事を思い出していました。
そして迎えた、自衛隊初の空・海協同運用。
数か月に及ぶ模擬着艦訓練を重ねたとはいえ、洋上では初の試みです。
難しい着艦に失敗してしまいます。
それが原因で、格納庫で飛行隊と艦が訓練ミスを巡って責任の所在を争うというもめごとが勃発。
新浪が駆け付けると、そこには瞑想中かと思われたた秋津が仲裁に入っていました。
「誰のミスでもない。皆のミスだ。今日のミスを糧として明日からの訓練にいかせるよう、海自・空自、手を握ってもらいたい」と、その場に駆け付けた航海長・新浪と第92航空団団指令・淵上一佐に、頭を下げて促します。
艦長が頭を下げての事に、二人も無言で握手を交わします。
第5護衛隊群新型護衛艦「いぶき」。
艦隊防衛は、全て艦隊を組みます。
「あたご」「ちょうかい」「ゆうぎり」「せとぎり」「けんりゅう」「おうみ」の全6艦に委ねられています。
第5護衛隊群は、鳥沖中における初の慣熟訓練は、明日に予定されている艦長会議に向けて昼夜を徹して行われていました。
その頃、国会では垂水総理が、空母いぶきに関して厳しい追及を受けていました。
その答弁は街頭ニュースでも流され、各関係者が食い入るように見ています。
アジア大洋州局参事官・沢崎勇作もその一人。
外務省アジア大洋州局局長・高見沢と共に首相官邸を訪れた沢崎は、「いぶき」就役に対してのASEAN各国の反応について、おおむね攻撃的に受け止めている事を垂水に伝えます。
中国政府の反応にも注意深く言及。
「いぶき」就役を半年前倒しにしたのは、先の尖閣諸島でのミサイル発射を誤作動によるものと公表した中国政府の発表を信じないと、世界に向け公表したようなものだと。
これに対して垂水は、上陸した3人が工作員である証拠はあり、「いぶき」就役を早めたのは当然の対応であるときっぱり。
次に、中国海軍の新型空母の訓練が終わり、青島基地に帰投したと沢崎が伝えると、その速さに驚く垂水。
「これは明らかに、中国海軍のいぶきに対応した動きです」と言う沢崎。
「いぶき」就役が中国海軍に絶好の口実を与えたかもしれないことを懸念していると付け加えるのも忘れずに言うと、垂水は「アメリカの軍事プレゼンスが退きつつある今、日本独自の国防システムを作らないといけないんだ」と、沢崎に協力を求めます。
第5護衛隊群各艦長が「いぶき」に集合。
演習航海初の艦長会議が開かれました。
話題はもっぱら中国。
中国政府が設定した第一・第二列島線の突破。
西太平洋の支配権の確立。
それを防ぐ使命があると。
また別の艦長…潜水艦「けんりゅう」の滝隆信一佐は、中国の潜水艦はとらえきれなくなっていて、宮古水道を自由航行するのは時間の問題。
そもそも、潜水艦の数が足りなさすぎると。
それに対して、第92航空団指令兼飛行機長・淵上は、戦闘機の数も足りない、結局は搭乗員の技能、練度を上げるしか手はないと。
白熱する議論に、「危機感をもって訓練ん挑んでいるようで結構だ」と「あたご」艦長・浦田鉄人一佐が、改めて海上自衛隊の役割を強調します。
そして、秋津に向け「いぶき新任艦長として、わが第5護衛隊群はどのような艦隊でありたいとお考えか?」と聞きます。
その問いに対して、秋津は「アジア最強」と。
「アジアを守らなければ、日本は守れないということです」と言う秋津に、「中国が力で出てきたら力で叩くということか?」と再度聞く浦田。
「たとえどんな国が戦闘を仕掛けてきたとしても、武には武で答えるのが我々の使命でしょう」と答えます。
そんな秋津の答えに、隣に座っていた軍司令は湧井が、軍事衝突など絶対にあってはならぬ事だと言いつつ「わが国土、国民のために命を賭ける覚悟がなくては、我々は自らを軍人とは呼べぬ」と〆ます。
艦長・秋津一佐の判断で、燃料を半分にして通常の100キロコースを飛ぶという話を聞いた新浪は、あわてて現場に駆け付けます。
駆け付けた新浪に、「これからはより実践に近い訓練とする」と、艦の全てを把握するには自ら飛ぶのが一番早いと宣言する秋津。
持ち前の優れた技術でやりとげます。
それをみていた湧井は、「さすが空自始まって以来と言われるエースファイター…」と。
対して新浪は、自衛官に問われる覚悟は、戦争への覚悟ではなく戦争を阻止する覚悟だと、秋津の飛行訓練を見ながら強く思うのでした。
観測史上最大の大型台風が接近しているニュースが入り、秋津・新浪・湧井はCICで対策を協議。
「いぶき」はまだ台風経験がなし。
「戦時下であれば台風だからといって戦闘を中断するわけにはいきません」と、この大型台風による経験も必要と判断する秋津。
湧井も「台風下での航海訓練は必要」として、進路を変えずこのまま進むことを決断します。
秋津は台風下での航行経験がない為、「いぶき」の操艦指揮を新浪に委ねると、艦長命令としてお願いします。
そして、台風直撃!
船内は緊迫した状況。
慌ただしい各所で指示が飛び交います。
はげしく揺れる艦内。
倉庫の固定ワイヤが切れてしまい、荷物が落下、負傷者がでるといったトラブルが発生。
重傷者(骨折)1名、軽傷者3名と報告を受けた新浪は、軽傷者から医務室に搬送することを伝えます。
その指示に「重傷者からの手当てでは!?」と聞く秋津。
「戦闘中の艦においては、現場復帰が見込める軽傷者が優先です!」と新浪が答えると、「優先すべきは戦闘員確保か!なるほど!!」とうなずくのでした。
…と、気が付けば秋津の姿がなし。
「だから体験すべきです」と言っていた秋津の言葉を思い出し、船務長に任せてその場を離れる新浪。
向かった先は、秋津がいると思われる甲板。
秋津は、迫りくる荒波に負けそうな自分の心を克服しようと、あえて甲板にでていたのです。
そこに大津波が二人を飲みこむかのように襲ってきます。
なんとか海に放り出されずに済んだものの、秋津は背を強打。
秋津に肩をかしつつ新浪には、秋津には自衛官がもってはならない野心があることを確信します。
大型台風下の演習を終えた新浪は、自衛艦隊司令官・水谷敬吾海将に呼ばれていました。
その目的は、副長として艦長・秋津一佐をどう見るか?
どうやら、「あたご」艦長・浦田あたりから適性を問題視する声があったようです。
自衛官とは思えぬ意思、あるまじきリスキーな行動など…確かに気になるところはあるものの、秋津の命がけの意思が何なのかを見極み切れていない。
その事からも、秋津一佐は一日も早く「いぶき」の艦長になろうと日々努めている。
操艦・乗員掌握の熱意についても、今のところ問題はないと思いますと返答するのでした。
アジア大洋州局参事官・沢崎は、ホテルのカフェで東都新聞政治部記者・一ノ瀬一と待ち合わせ。
話の内容は「いぶき」。
先日、基地ゲートに500人ほどのデモが出ていることからも「あんなもの作ってどうすんの?」と問う一ノ瀬。
それに対して沢崎は、「自国は自国で守る」とアメリカの後退と中国の太平洋進出についても言及しますが、「軍事じゃ止められねーよ」と却下されてしまいます。
さらに、反軍キャンペーンをとことん打って「いぶき」を潰すと宣言する一ノ瀬。
と…
近くにいる中国人に目を向ける二人。
中国人観光客が増えているとの話に、「おかげで中国国内の対日感情が急激に好転してってよ」と好意的に受け止めている一ノ瀬とは違い、沢崎は「危ないな」と否定的。
その理由は、親日派の増加を党が許すはずもなく、党も軍も危機感を募らせていると。
先日の尖閣諸島の中国公専がまた現れた話を持ち出すと、「まぁ尖閣は中国政府の国民向けプロパカンダだ。変わらねえな」と軽い調子で受け流す一ノ瀬。
それとは逆に、沢崎は不安視していることをつぶやくのでした。
とある高級寿司店。
「うまい!」とその味を絶賛する中国人男性。
同伴している女性が「魚も情報も鮮度が命です」と、男性にUSBを差し出します。
「味は保証します」と。
USBを受け取った男性が向かったのは、中国大使館・駐在武官事務室。
男性は、人民解放軍海軍駐在武官・馬大奇大校。
さっそく受け取ったUSBの中身をパソコンで確認すると、そこには与那国島久部良地区、陸上自衛隊第303沿岸監視隊分屯地の配置図が。
北海艦隊司令部政治委員・王志強中校に電話で、「予約切符を入手。準備は整った」と連絡を入れます。
第5護衛隊群の4度目の演習航海。
横須賀基地を出航し、演習海域・南鳥島沖を目指していました。
モニターを見ながら話す秋津と新浪。
話題は、秋津に中国人の尾行がついている話。
先の休日では3人まで動員されていることからも、中国海軍は第5艦隊を丸裸にしようと必死になっていることがうかがえると。
軍艦の真の力を知るには、軍事行動を起こすしかない。
それには、尖閣から遠く離れている今がチャンスだと言う秋津。
新浪も、「中国政府は、2012年日本が尖閣を国有化して以降、日中開戦もやむなし、適切に処置すると明言しています」と不安視している様子です。
一方、那覇の海保11管区からの連絡に不安を募らせる沢崎。
昨年の一時期、漁船も海警も出没しない時期があり引っかかっていたのですが、またゼロになったとの報告を受け、中国船の動きを怪しみます。
その2日後。
明け方前の与那国島、海上自衛隊第303沿岸監視隊レーダーサイトにて、戦闘機が確認。
その直後、レーダーサイトにミサイルが撃ち込まれ爆破されるという事態発生!
その爆発音に自衛隊員だけでなく、島の住民も反応。
空から無数に落ちてくるパラシュートを見て、なにやらただ事でない事を察知します。
攻撃を受けた事は首相官邸にも火急の報告として入ります。
その頃、与那国島には空からだけでなく、海上からもぞくぞくと上陸を目指し船が向かっているのでした。
【次巻】